村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【語り尽くされていないこと、見逃されていること49:文書破棄】捨ててしまいたいのは記録か過去か、それともその両方か

 このブログは、ラジオの国会中継を聞きながら書いている。あるはずの文書がないとか、誰も考えなかったFAXの紙が出てくるとか、文書の持つ意味の重さが今さらのように大きく浮かび上がる。

文書を捨ててしまえば何とでもなる?急場をしのげれば捨てたはずの文書が見つかることも・・・

 今さらでもないが、役所の文書というのは、いったいどういう扱い方になっているのだろうか。

 たぶん文書保存規則のようなルールがあって、文書の性質によって保存年限が決まっている・・・といったことにはなるのだろうが、最近のニュースを見ていると、やはりわからないことが多い。

 一つは、「文書」のイメージが昔と一変してきたことが関係しているのかもしれない。高齢化時代の今でも「文書」という言葉を紙に書いたイメージで考える人が多い一方で、ICレコーダーやパソコンのメモリーで記録することも珍しくない。目的も用途も公式のものばかりではなく、私的なメモも少なくない。

 ただし、手段や保存の形が違っても書き留めた内容を後で読み返して参照する目的は共通しているし、それが人間の忘れっぽさへの対応手段である点も変わらない。

 そういう事情があるから、何かあれば、すぐ《文書があるか、ないか》が大きな論点になる。文書の意味はとりも直さずそのまま人間の記憶と同意義化するわけだ。

 大阪の何とかいう素性不明な学校建設用の国有地が格安で処分されたケースや、自衛隊の派遣先の状況報告文書が破棄されていたはずだったのに後から見つかったというケースなどを考えると、そう思わざるを得ない。

 もっとも3月20日の東京都議会の百条委員会の中継を見ていたら、尋問する方が過去の文書でしきりに何かと問いかけているのに、元都知事の方は体調がどうだとか何だとか述べ立てて空とぼけっぱなしだったというケースもある。

 文書の有無が意味するものも、結局のところ、その文書に関わる当事者の人間性によってどうにでも変わってしまうこともあるらしい。

40年以上保管してきた自分のマンションの記録をどうしようかと思い悩む毎日・・・

 実は、いま思い悩んでいることがある。

 たまりにたまったマンション管理組合の関連文書をどうしたらいいか・・・。

 このブログにも何度か書いてきたが、竣工以来ずっと住み続けてきたマンションが来月で43年目を迎える。いま86歳の人間にとって、人生の半分をこのマンションで過ごしてきたことになる。

 それだけの年数を過ごしてきた人間が何年経つとマンションのどこがどうなるかを確かめてきた。11階建てが4棟、およそ600戸のマンションで、43年の歳月が住いとしての建物をどう変貌させたか、居住者が1000人をはるかに超える管理組合の実情をどう変えて来たかも、目の当たりに見つめ続けてきた実感がある。

 大規模修繕工事など管理組合の課題の乗り切り方も一通り確かめてきた。

 そんな歳月の記録がいま結構な量になっている。広報誌や総会資料だけでもなけなしのスペースをふさぐボリュームは小さくない。

 40年以上たって、居住者の顔ぶれも一変した。管理組合の役員などは親子ぐらいの世代差を痛感せざるをえない。管理会社も企業合併で縁もゆかりもなかった大企業系列になったから、実務的な対応で理詰めな感じが強くなってきた。

 こうなると、このマンションの過去のことは誰にもわからなくなる日が確実に近づいていく一方だ。マンションのここに、どういう考え方で、どういう工事をしたのかとか、管理組合のこのやり方はいつから始まったのかなど、日本神話さながら霞の向こうにぼやけて確かめようもないことがたくさん生まれ始めている。

 しかし、こんな思いのする文書を管理組合に寄付しようとは思わない。管理組合の実情を考えれば、間違いなく散逸してしまうことがはっきりしているからだ。

 いっそスキャンしてメモリーに入れたら・・とも思うが、年齢を考えると、時間とエネルギーがとても・・・と思う。

 いったい、どうしたものだろうか。考えあぐねている。

マンションが建ち続ける年月の長さに人間の記憶が追いつけないことがはっきりしているのに・・・

 こういう問題をどう考えたらいいか。今のマンション管理システムには全く答えがない。法律や仕組みにはそもそもこんな視点の問題意識がないから、まるであてにならない。こういう問題を考えている人など、いったいいるのかどうか。

 役人や学者はまるであてにならないし、さりとてマンション管理士や弁護士が頼りになるはずもない。

 そもそも、当の管理組合自身にこういう問題意識がない。管理会社には、もっとないだろう。

 もう10年ぐらい前に『マンションみらいネット』というのがあった。国交省やマンション管理センターが打ち出したマンション管理組合の履歴保管システムだ。

 この仕組みの考え方は間違っていいないと、今も思う。

 しかし、率直にいえば《机上の空論》に近い構想だった。それが証拠には、この仕組みは肝心の管理組合ではほとんど知る人がいない。

 それぞれのマンションに固有の建物修繕や管理組合運営に関する文書記録をネットの活用で実現できたら素晴らしい。

 でも素晴らしいことが実現するわけではない。素晴らしくても実現しない方がはるかに多い。当然ながら、そうなるだけの理由があるのだから。

 素晴らしい『マンションみらいネット』が実現しなかったのは、この仕組みの対象となる管理組合の実情に理由があったからだ。今も、そこは変わらないし、むしろ内攻して複雑化している。

 マンションは長寿命の建物なのに、そこに住む人間の記憶の方が追いつかない。建物だけがボロボロになって建ち続けても、人間の記憶も記録も確かめようのない状態でぼやけていくばかり。

 そのことだけは空恐ろしいほどはっきりしている。・・・・

 もう、これ以上,書きたくない。

 むなしいから。

| muraitadao | コラム | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること48:災害のイメージ】大災害は人の数だけイメージが違う。マンションではなおさらだ

同じ「東日本大震災」という言葉なのに《その時どこにいたか》で思い描くイメージはまるで違う

 東日本大震災のあの日は金曜日だったから、午後は翌日のマンション管理セミナーのための下調べをしていた。40年以上前に建てられた11階建てマンションの11階の自宅で。

 目の前のガラス戸の向こうの、まだそれほど暖かくない風景に目を向けたとき、いきなりドンという音といっしょに、肩を強引につかまれたような横揺れがきた。ガラス戸はみんな開いてしまい、クローゼットの扉もいっぺんにみんな開いた。リビングの向こうのキッチンでガタンガタンと何かが倒れる大きな音がした。

 思わず立ち上がったが、揺れが収まらなくて机から手が離せない。15分ぐらいはかかったような気がする。

 ・・・といったあの日のことを、今もまざまざと覚えている。人にも話した。

 ところが、相手によって反応がみんな違う。ぴんとくる人もいたが、《それが、どうした?》といった感じの人もいて様々だった。同じマンションの住人に聞いても、居住階によって揺れ方の感じは微妙に言い方が違っていたような気がする。

 大震災の翌週、超高層マンションに住んでいる知人に会ったので、さぞ揺れたでしょうねとひそかに期待して聞いたら、その日は朝から外出していたので自宅にいなくて揺れ方がよくわからなかったんですよと聞いて、ひそかに拍子抜けした。

 あれほどの大震災でも《その時どこにいたか》で感じ方はまるで違うことを改めて実感した。

 「東日本大震災」という言葉で一様に誰もが思い浮かべるのは黒々とした大津波が無情に襲いかかる海岸の光景だが、リアルな当事者感覚で感じ取る「東日本大震災」という点になると、実は《3月11日午後2時46分、自分がどこにいたか》でずいぶん違うことをまざまざと思い知った。

当事者感覚の重さが言葉の使い方を慎重にさせた。「読む」言葉も「語る」言葉も

 この実感は重かった。その重さは今も全く変わっていない。

 災害に関する言葉を読むときも聞くときも、同じ言葉でも人によってどれほどイメージが違うのかということがいつも気になるようになった。災害について語る人があの時どこにいたか、伝えられる情報はどこの誰に向けたものなのか、ことごとに使われる言葉が気になるようになった。

 そういう実感とともに、聞くたびにうんざりする言葉や間違っても使いたくない言葉がはっきりしてきた。東日本大震災以後あちこちで目にするようになった『絆』という言葉はその典型例だった。何でもかんでも『絆』『絆』で、CMや歌の名前にまで『絆』が出てきた。

 『絆』『絆』と、さもわかったようにいうが、どこの、どんな人たちの『絆』なのか。石巻市や飯舘村の人たちの『絆』なのか、それとも新宿や大手町の人たちの『絆』なのか・・・。

 あのころ突然できた政党に『新党きづな』という名があって、とうとう『絆』もここまできたかとうんざりしたが、あっという間にすぐ消え失せてしまって、むしろほっとしたことを覚えている。

 こうなると、自分が書いたり語ったりするときの言葉には当然ながら用心深くなる。一応の見極めをつけて使う言葉であっても、読み手や聞き手のイメージにマッチしていなかったらこちらの思いは確実に空転する。

 そんな独りよがりはしたくないから、書く言葉や語る言葉の選び方が慎重になった。

 《安心安全》という無造作なほど便利重宝な感じでいろんな人が使う言葉などは、絶対に使う気にならなかった。

マンションの安全、防災、交流、コミュニティ・・・。伝えたいことが本当に伝わっているのか

 東日本大震災のあと、「コミュニティ」とか「交流」、あるいは「コミュニケーション」といった言葉がマンション管理の分野でも目立つようになった。

 もともとマンションは本質的に多くの人が生活条件を共有する集合住宅だから、居住者同士の日常的な接触や交流はあるのが当たり前だった。

 しかし、それが実際にはそうならず、同じマンションに住んでいながら目も合わせず、いつも会うのにお互い名前も顔もわからない状態が、何かにつけてどこのマンションでも気がかりになっていた。

 マンションは名前もわからない行きずりの他人が壁の向こうにいるホテルのような状態になる一方だった。

 そんな気がかりが消えないのにマンションの大規模化が進み、超高層マンションが増えて、昔とは比べられないほど多数の人が同じ建物に住む実情とは逆にコミュニティや交流が希薄になる矛盾が、痛切な論点になってきた。

 その状態で東日本大震災が起きた。

 災害で語られた言葉が、マンションでも同じような感覚で語られるようになったのは当然の成り行きだったろう。

 しかし、今や600万戸を超えるマンションは建築時期の新旧、戸数規模の大小、階数の高低、立地の地域差など、物件ごとに実情は千差万別だ。

 同じ「コミュニティ」という言葉を使っても、50戸のマンションと500戸のマンションでは、その言葉が伝えようとしている実情がまるで違う。まして、名簿の作り方などという実践論になれば、もっと違う。

 そこを考えないまま語られると「コミュニティ」とか「交流」という言葉は現実感が薄くなる、ピンと来なくなる、むなしくなる、空々しくなる。

 「コミュニティ」や「交流」といった《人と人との触れ合いを示す言葉》は、どんなマンションを前提としているかによって具体的な考え方がまるで違う。その言葉で語られているのはどんなマンションの話なのかによってイメージはまるで違うのだから。《ウチのマンション》という言葉をつないだ感覚で「コミュニティ」や「交流」をやり取りするのでなければ実感がないのだから。

 《ウチのマンションの全体》がわかっていなければ「コミュニティ」や「交流」なんて言えないのではないか。
                               ☆
 「コミュニティ」を語るときは、まず相手にこう問いかけるといい。『あなたがお住いのマンションで名前と顔が一致する人は何人いますか?』

| muraitadao | コラム | 07:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること47:年度末】誰が決めたか判らなくても影響だけは永続するマンションの「年度」

うちのマンションの「年度」は何月から何月まで?
こんなことが不可解なミステリーとなるわけは?

 どこかのマンションで「お住いのマンションの年度は何月から何月ですか」と尋ねたとする。《そんなわかりきったことをなぜ?》という人もいるだろうが、一瞬言葉に詰まる人もいるはずだ。

 さらに続けて「では、その年度は、いつ、誰が決めたんですか」と聞くと、聞かれた人の反応はもっと複雑になるだろう。

 マンションの「年度」が何月から何月までかということなら、管理規約で確かめられる。ほとんどのマンションでは標準管理規約にある《管理組合の会計年度は、毎年〇月○日から翌年〇月○日までとする》という簡単な定め方をそのまま使っているはずだからだ。ここまでは、わかりきった話である。

 そう言えなくなるのは、その〇月○日を決めたのがいったい誰なのかという点だ。決めたのは管理組合か。理屈でいえば、そうなる。

 しかし、実情は違う。

 普通「年度」といえば、4月から翌年3月までを指す。世の中の根幹となる公的な仕組みが公的な予算制度による会計年度で決まっており、学校や就職、人事異動などが4月1日付となるからだ。

 そうなれば、マンションの生活もいや応なしに影響を受ける。だから、マンションの年度が10月からとか1月からという4月以外の月からになっていると、細かい点で不都合が生まれてくることが多い。

 その影響は大小さまざまで、実際上は慣れてしまえば何とかなる場合も多いから、こういった年度の決まり方を見直そうというところまで行くことは滅多にない。

マンション管理の仕組みを決める条件は今も同じまま成り立つのか。全戸完売まで何年かかっても

 年度が12か月を前提としているのだから、年度始めと年度末は、きちんと決まっていなければならない。その前提はお金の取り扱いの仕組みという位置づけである。それが証拠には、標準管理規約でも年度は「会計年度」として第7章の中ほどに出てくる。

 言葉としては会計制度の仕組みだが、そのお金を使う事業目的が切り離せないから会計年度は事業年度と一体の仕組みとして考えることになり「会計年度」は単純化して単に「年度」と呼ばれることになる。

 だから「年度」は事実上「役員」任期や取り組まなければらならない仕事のイメージに重なることになる。結局、そのマンションの管理全体につながってくるから「年度」は管理組合全体に関わる最も基本的な条件になる。

 だが、それほどの基本条件は、ずいぶん前に決まった制度の趣旨を今も昔と同じまま生かせる形で実現できているか。

 出来てはいまい。

管理組合成立は全戸完売の時だというが、その全戸完売はいつ?

 売り出されたマンションの管理の主役であり当事者は管理組合しかない。その管理組合は区分所有法によって区分所有者全員の団体とされているが、実際に生身の人間集団として活動する組織として動くためには、やはり全戸完売という状況の実現が欠かせないだろう。

 その点を考えると、いま新築分譲マンションが売り出されても買い手が付かぬまま全戸完売まで中途半端な状態が長引く傾向が目立つのは、とても気にかかる。

 何度もこのブログに書いてきたが、前から、新聞と一緒に届く新築分譲マンションの折り込みチラシのデータを残さず記録し続けている。発売されたマンションのチラシ配布日、配布回数、チラシ記載の物件概要全データを世田谷区、調布市など東京都城南エリアごとに記録している。

 このエリアはいま新築分譲マンションの中心市場となる首都圏の中心地域だから、時たま思い出したようにメディアが伝える東京湾岸エリアの超高層マンションの断片的なニュースなどよりも実情がよくわかる。

 この方法で、全戸完売に日数がかかるマンションの実情が売れ方の一端を紹介しよう。

 地域は世田谷区とだけ書くが、60戸にも及ばないマンションでチラシ配布回数20回、配布期間がこの2月まで1年4か月かかった例がある。このマンションのすぐ近くにあるほぼ100戸のマンションは、10年近く前にチラシを3年近く53回にわたって配布し続けてきた。

 いずれも私の住むエリアの徒歩圏内だから、外観や近隣の様子は目撃してよく知っている。

 全戸完売までこんなに長くかかるマンションの年度は、いったい何月から何月までなのだろうか。その年度は、誰が判断して決めているのだろうか。

 こういうことを、どこかで調査しているのだろうか。
                   ☆
 年度末の3月になると、もう昔からこのことが気になってきた。今年も、また、気にかかる。
 

| muraitadao | コラム | 12:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること46:大学教授】分かっているようで分からない肩書き。マンションにも住んでいるはずだが姿が見えない・・・

大学の先生だから「大学教授」だって?確かにそうだろうが、でも・・・

 大学教授は、今や弁護士と並んで説明抜きで通用する肩書きなのだろうか。

 事件とか事故などのニュースのたびに必ずどこだかの大学教授のご託宣があるが、いったい大学教授というのは、どこで、誰が、誰を対象として、どういうふうに決めているのか。まさか、勝手に決められる肩書きでもないだろうが・・・。

 そういえば、このところ「何とか教授」というのが目につくようになった。「名誉教授」ぐらいは昔から知っているが、「客員教授」とか、「特任教授」とか、「特命教授」とか・・・。

 いったい日本の大学教授は、今どのくらいいるんだろうか。

 そもそも、大学っていくつあるんだろうか。ときどき、この齢まで聞いたこともない大学の名前を聞いて驚くことがあるが・・・。

 ・・・などと思っていたところへ、文部科学省の天下りのニュースで、文科省の何とか局長が早稲田大学の教授になるという話を聞いた。大学教授になるぐらいの人は誰でもそれなりの専門分野に通じているはずだと思うのだが、文科省を退職してすぐ教授になるような人だったら、いったい何の専門なんだろう。・・・。

《天下りに詳しい》と紹介された大学教授が標準管理規約改正検討会で名前を聞いた人だったのに驚く

 そんな気分だったある日、遅めの昼食を取りながら見ていたテレビで、TBSの情報ワイド番組が文科省の天下り問題を取り上げていた。

 そこに何とマンション標準管理規約改正検討会の中心メンバーだった大学教授がコメント役で出てきたのに驚いた。画面の下に《〇○大学院大学教授。天下り問題に詳しい》とあったのを見て、もっと驚いた。

 標準管理規約の改正という、とても影響力が大きくて現実的なマンションの約束事の見直しをした時に「どのくらいマンション管理現場の実情が判っているのか?」と、随分と議論になった大学教授が、今度は《天下りに詳しい》という紹介付きでテレビ番組に出てくるとは、いささか思いがけなかった。

 世の中に想像も付かないことがあるとは、この節いつも痛感してはいたが…。

 なるほど!なるほど!

 標準管理規約の改正に取り組むほど《マンションに詳しい》のだから《天下りにも詳しい》というわけか…。

 なるほど!なるほど!

 そんな大学教授に頼むテレビ局があるから、頼まれる大学教授がいるわけだ。

 なるほど!なるほど!

1500万人以上が住むマンションには大学教授も住んでいるはずだが・・・

 よく分からないものの、大学教授なら何の専門であっても難しい問題にぶつかったとき、普通の人より遥かに手際よく考え方を上手にさばけることは確かだろう。

 ならば、そんな考え方上手の大学教授は、素人集団のマンション管理組合にとっても力強い頼りになるはずだ。

 国交省のデータを見ると全国623万戸のマンションに1530万人が住んでいるともう以前から発表されているのだから、いまマンションに大学教授が住んでいないはずがない。
・・・と思うのだが、実はそこが判らない。

 私は600戸のマンションに40年以上住んで管理組合に関わり続けてきたが、初代の理事長を引き受けて汗を流してくれた理科系大学教授のほかは、そういう人はいなかった。時たま、自分本位の厄介な問題を起こして管理組合の頭痛の種になった某有名私大の教授がいたりしたが、その他には居るのか居ないのか全く判らない。居るのなら、ぜひ知恵を借りて頼りにしたいと何十年も思い続けてきたのだが・・・。
                   ☆
 文科省の天下りニュースで分かりかけたような気がした「大学教授」のことは、やはり分からない。難しい。

 こんなに難しい問題を解く場面こそ大学教授の存在感発揮のチャンスなのに。

 何でもそれらしく謎解き明かす番組を流すテレビが、この難しくて分かりにくい《大学教授》のことを取り上げてくれるといいのだが。

<編集者・注>
〇大学数=779校(国立86校、公立91校、私立600校)
〇大学教員数=18万4248人(学長743人、副学長1299人、教授6万9465人、准教授4万3416人、講師2万1645人、助教4万1844人、助手5836人)
(文部科学省学校基本調査・平成28年度から)
 

| muraitadao | コラム | 15:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること45:外国人】日本人の感覚だけで何でも理解できるとは限らない時代になっている

管理組合のお知らせを英語や中国語で書かなければならないという相談にどう答えるか

 20年近く前、新宿駅南口のコンコースに毎日、中東系の国々の人が何十人も集まっている光景に何度も出くわした。小田急線沿線のマンションに住んでいる人間にとって、日常的になじんでいるこのスペースに大勢ヒゲずらの外国人が集まっている光景は異様としか言えない感じだった。

 ちょうど連日のマンション管理セミナーに明け暮れていたころで、あちこちの管理組合から届く相談や質問の中に横浜の管理組合から寄せられた相談があった。外国人労働者の住まいになった賃貸化住戸の排水管が詰まって放置できなくなった。調べてみたら、いつもたくさん使う油と食材の切り屑などをいっしょに流し続けていたために排水管が詰まってしまったからだとわかった。しかし、当の相手の人々に日本語は全く通じないし、いったいどうしたらいいだろうかという相談だった。

 その後、横須賀ネットの会長だった高尾さんから、管理組合広報の英語化の必要に迫られた管理組合の例を聞いたのもこのころだった。新宿区や川口市のセミナーでは、中国人労働者の多数居住で困り果てている管理組合からのケースも聞いた。

 あれからずいぶん経ったのでどう答えたか今ではもうはっきり覚えていないが、こうしたケースでは在来の法律論が全く役に立たないこと、生活条件の共有から起こった問題にコミュニケーションの問題が重なっているのだから賃貸化した住戸のオーナーに管理会社を交えて意見を交換しながらそのマンション固有の対応を考える必要があると答えたことだけは今でも記憶している。

アメリカの中東入国問題や民泊論議に通じる身近な現実感がマンションにもあるのでは

 テレビや新聞が流す日米首脳会談のニュースがとてもわかりにくい。中東7か国の入国禁止がどうだとかいう話も、前記のようなケースがあるとあながち他人事の感じで聞き流すにしては何だか重すぎる。

 尖閣諸島周辺でのトラブルがニュースに流れ始めたとき、このブログで『マンションは隣人を選べない生活空間である』という意味のことを書いた。こんなことがあっても、隣にある中国との間に尖閣諸島が位置しているという絶対的な状況で起こる事実は目をそらさずに受け止めなければならないと、今も思う。

 いや応なしのこの感じには、分譲マンションで壁一枚、床一枚を隔てて生活する隣人との関係にそっくりではないか。壁の向こう側に住む隣人はいったいどんな人なのか、こちらには全く分からない

 この分からなさは、隣から見た「こちら」にも当てはまることにやがて気がつく。マンションは、良きにつけ悪しきにつけ隣人の影響を受けながら暮らす住まいなのだ。だが、そんなに身近な隣人を選ぶことはまったくできない世界でもある。

 そうであれば、結局のところ、隣人の存在を正面から認めて隣人との関係を重視していくしかない。

 一見して縁遠い海外ニュースが、こういう意味で、分譲マンションの生活にリアルな実感をもたらすのではないか。

 何かというと議論される民泊の問題も、この実感と無縁ではない。少なくとも民泊の問題が外国の観光客増とホテル不足が背景にあり、ゴミの出し方とか騒音が民泊と無関係な隣人に及ぼす影響が問題になっている。その実態の裏側には、こうした『手の届かない隣人』の存在をめぐる生活感覚があると思われる。

自分たちと同じ生活イメージだけで理解しない感覚がマンションには欠かせなくなる・・・

 自分たちと同じ感覚の人だけで暮らすという今までの経験だけで「わかりあえる」という考え方が、何かにつけて問題になる時代になっているのではないか。

 原発事故のあと福島から横浜に移住してきた子のいじめの問題で、横浜市の教育委員会が判断を誤って詫びたニュース。横浜の子だけがいるところで起こったとしても、あれが「単なるいじめではない」などとしか考えきれないレベルの教育委員会も信じがたい話ではある。同じ日本人同士でも横浜と福島という異質感が、あの話と全く無関係であったとは考えにくい。

 ニュースではわからないが、あの話では《いじめた方》と《いじめられた方》のどちらか、あるいはどちらにもマンション住まいの子がいたのではないか。

 日本のマンションには日本人だけが住んでいて、日本語だけで管理組合を動かしていく・・と、単純に考えていられなくなる時代が始まっているような気がする。
                   ☆
 昨夜のNHKニュースで見た世論調査では《トランプ政権の中東入国問題》に否定的な意見が多いということだったが、本当にそうなのか。

 聞く方も答える方も、本当にそうなのか。

| muraitadao | コラム | 09:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
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