村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【語り尽くされていないこと、見逃されていること61:特区?民泊?】二つの記事の“民泊”が語るマンションの実情認識レベル

「マンション民泊可否を規約に 国交省、管理組合に要請へ」という日経の記事が伝えていること

 まず、この7月21日の日本経済新聞朝刊に出た1面の記事を確かめてみよう。見出しと記事をできる限りそのまま引用する。

見出し
マンション民泊 可否を規約に/国交省、管理組合に要請へ/新法施行控えトラブル防止

記事の前文
住宅に旅行者を有料で泊める民泊を全国で認める法律の成立を受け、国土交通省はマンション管理組合に民泊の受け入れ可否を管理規約に明記するよう、8月にも要請する。同省は規約のひな型を改正して民泊の対応に関する文案を盛り込み、業界団体などを通じて周知する。法施行前に各組合で方針を決めてもらい、トラブル防止につなげることが狙いだ。

記事の主要部分
 国交省が改正するのは「マンション標準管理規約」と呼ばれる管理規約のひな型。同省によると全国のマンションの管理組合の8割以上が憑依順管理規約を参考にして各自が規約を定めている。…改正案はこの条項の後に「専有部分を住宅宿泊事業に使用できる」「専有部分を住宅宿泊事業に使用してはならない」などの文言を盛り込むよう求める。

 家主が民泊をおこおなう際は「事前に管理組合へ届け出るよう規約に定めることが有効」と記載。・・・同省は・・8月にも業界団体や自治体に対して、管理組合へ周知を求める通達を出す。・・民泊は訪日外国人の宿泊の受け皿となる一方、ごみ出しや騒音などを巡り近隣住民とのトラブルが頻発。国交省は各管理組合で民泊可否の方針決定に時間がかかることを考慮し、法成立直後に標準管理規約改正を決めた。・・・

『「特区民泊」現状は・・・』など専門紙の記事がたびたび伝えていること

 次に、専門紙のマンション管理新聞が2月15日号で伝えた記事を同様にできる限り見出しと記事をそのまま引用して紹介する。

見出し
東京医・大田区 分譲マンションは7件/「特区民泊」、現状は/大阪市は1止まり/ごみ出し・騒音「苦情相談ない」

記事の前文
 昨年2月に東京都大田区が「特区民泊」を開始して約1年。その後も大阪府・市が特区民泊を始め、今年1月には北九州市も申請の受け付けを開始した。各地で特区民泊が広がりを見せる中、この4特区に実情を聞いてみた。

記事の主要部分
 ・・・(本紙の調べでは)大田区は・・分譲マンションは7件38室投資型マンションが多いようだ。…ごみ出し・・によるトラブル・・の苦情や相談は1件もなく、・・今後も管理規約の提出などを義務化する予定はない・・・。大阪市も…分譲マンションは1件1室のみ・・、北九州市は…解禁から日が浅いこともあり、申請はまだないようだ。・・・

 この後、同紙が伝えた民泊関連記事は、見出しだけをあげておく。

●3月24日号  東京都大田区「特区民泊」マンションの現況/ファミリータイプも1件認定/大きなトラブルはなし

●5月25日号  国交省 管理適正化でアンケート 管理組合・区分所有者対象に/民泊 9割が「NO」

●6月25日号  国交省 標準管理規約改正案公表 民泊可否 条文例を提示

●7月15日号  管理協 民泊対応で意見提出 マンション管理業と民泊事業 宿泊者が違い分からず/管理事務室に『トラブル持ち込みも』

加計学園も「特区」、マンション民泊も「特区」。でも「特区」っていったい何だ?

 このブログを書いている横のラジオが国会の閉会中審査の様子を伝えている。問題の一つは加計学園の特区のこと。

 この話はいくらニュースを用心して聞いてもわからない。そもそも「特区」というのが、いったいどういう趣旨なのかがわからない。

 マンションにも「特区」とやらがあって「民泊」というのが前から問題になっているのだが、どの新聞もテレビも全く取り上げない・・・と思っていたら、日経が書いてくれた。

 でも、書いた記者が記事の内容の問題をどこまで理解していたのかどうかがわからない。

 そもそもいまのマンションには「民泊」なんかよりももっと早く考えてほしい問題が山ほどある。国交省のデータではいま全国で600万戸をはるかに超えるマンションがあるのに、その中で、あるかないかといったごく僅かなマンションの「民泊」がなぜ現実の課題になっているのだろう。わざわざ法律を作ったり標準管理規約をいつになく早々と改正するのは、いったいなぜなのか。

 そこがわからない。

 わからない、わからない、わからない・・・。

| muraitadao | コラム | 10:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること60:過去不問】「記憶がない」と答える空々しさはマンションでは命取りになるかも・・

「たった1年前のことを覚えていないエリート役人がこんなに多い」という空々しさは・・・

 7月8日の朝日新聞朝刊1面の記事が目に留まった。見出しは、こうなっている。

『公文書廃棄指針、見直しへ/内閣府管理委 保存「1年未満」縮小』。

 地味な見出しだし、1面のほぼ中ほどとはいえたった3段しかない。もしかすると、このニュースは朝日新聞だけだったかもしれないような気がする。

 しかし、一見つまらない感じのこの記事の裏側に浮かんでくる光景が気になる。

 もうこの何か月も問題になり続けてきたことが、結局のところ「言ったか言わなかったか」のやりとりであり、それも肝心なことになると必ず「記憶がない」という定番中の定番の応答になり、最後に「公文書が見つからない」という言い分にすり替わってしまう様子ばかりをうんざりするほど繰り返し見せられてきたからだ。

 そんなはずはないだろう。かつて暗記力を磨きに磨きながら難しい競争をくぐり抜けて出世してきた頭脳明晰で有能な人たちがそんなに忘れっぽいはずはないじゃないか・・・。本当にそれほど忘れっぽかったら、今のようなエリートになれるはずがないじゃないか・・・。

 それもこれも、記憶喪失は「言った」事実を裏付けとなる公文書がないからの言い分だ。公文書があれば、たちまちにしてよみがえる記憶力。過去のことは、すべて公文書次第。《公文書がない→記憶がない》という公式は《公文書を残すかどうか》という判断の結果であり、その判断は《どんな公文書を残すか》、逆に言えば《どんな文書は残さない方がいいか》という判断も、手がかりになるルール次第となる。

 結局、すべて仕組みの問題だから《判断》という属人的な個人能力の問題にならないように制度のレベルでガードできるように、何とか対応しようという役人世界特有の回りくどさが浮かんでくることになる。

「記憶にない」のは「文書がない」から・・という過去を不問にする感覚はマンションでも他人事ではない?

 見え透いているなどとは言うまい。

 ただし、こういうやり取りが臆面もなく展開されるということは、今の世の中では「過去のことは文書があるかないかで、すべて決まってしまう」という不文律めいた感覚が、いつの間にか世の中全体に広がりつつあることを否応なしに考えさせられる。

 これは、もう間違いなくれっきとした官僚主義感覚の産物だが、《こういう場合には、こういうふうにやり取りすればいいんだ》という感覚や風潮の広がりは、マンションでも決して無視できないだろう。

 その結果、言い方次第、文書の有無次第で過去のことは不問になるというおかしな風潮が生まれることになる。

 世の中で起こることは、必ずマンションの中でも起こる。世の中で通じる言い方や言葉遣いは、必ずマンションの中でも再現する。

 多くのマンションで、その様子は管理組合の総会など一定のルールで意見の発言が許された機会にまざまざと実感されることが多いはずだ。

 こういう機会にだけ顔を出して、マンションの維持管理についての理解や関心の有無とは全く離れて、マスコミ情報の受け売りで聞き馴染んできた論理や言葉遣いの主張を並べ立てる。それに応答する方もまた、そういう感覚で発言する。

 やり取りの大部分は「いま目前に見えている問題」ばかりであることが普通だ。マンションでは、きょう見えている光景の背後に過去までさかのぼらないと問題の本質がわからないことばかりなのだが、そこがまるでダメなのだ。管理組合の役員は毎年変わるのが普通だし、発言する方も過去のことなどわからぬままの展開になる。

 かといって、過去のことを確かめる資料もこれというほどのものがない。管理規約や法律の条件に対応した議事録などが中心だから、《いったい、いつ、そんなことを、誰が決めたんだ》という肝心のことになると、もう誰にもわからない。

 管理組合の世界には、こんな形で積み重ねられた組織運営慣習が驚くほど多い。その大部分はいつから始まったのか確かめようがないのだ。

 まさに「記憶がない」状況そのものである。その状況は「文書がない」から確かめることもできない。まして、そうしたことを想定したルールもない。・・

 かくて、連日のニュースがもたらすもどかしさは、マンションでも他人事ならざる不安な現実感を呼び起こすことになる。

ストックの増加でマンションごとの過去の再点検が管理の命綱になるはずなのだが・・・

 ここまで考えれば、問題はもうはっきりする。過去の経過を記録する感覚も手段もないのだから、竣工以来の長い歳月の間に、それぞれのマンションごとにどんな課題が生まれ、どう取り組んできたかという物件固有の歴史が誰にもわからない状態が広がっている。

 マンションは長寿命の建造物だが、同じ経過年数が住む人間の方には建物の経年変化とはまるで異なる変化を生む。高齢化や空室住戸の発生は、その典型だ。こうした事態を生んだマンション固有の歴史を探らなければ対応の仕方も考えようがない。

 国交省のマンションストック戸数は633.5万戸。歴史の再点検による管理の充実が命綱となるマンションが増えていることは誰に目にも明らかだろう。

 霞が関の役人とは違って、マンションの方は、もう「記憶がない」などと言っていられない状態なのだ。

| muraitadao | コラム | 14:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること59:言行信頼度】「朝のあいさつ励行」を霞が関の役所が期間限定で呼びかける意味は・・

厚労省の「働き方改革中間報告書」がこんなことを自省の役人に呼びかけているなんて、まさか・・・

 6月30日の日経朝刊の2面で見た「砂上の安心網/当事者の証言5/持て余された3万人」という記事の一部にこんなことが出てきて、ちょっと驚いた。

 《・・・厚労省は5月、省内の働き方を見直すべく中間報告書を公開した。対策にコミュニケーション強化月間(仮称)」の創設を掲げた。その一つが「朝のあいさつの励行。目を見て明るく元気にさわやかに」。・・・》

 最初、ちょっとこの記事の意味がわからなかった。

 霞が関の中央官庁である厚生労働省の空気を伝えている記事の中に「朝のあいさつの励行」などというきわめてありふれた普通の生活感覚の言葉が出てくるとは、ちょっと思いがけなかったからだ。

 役所とか役人の世界の言語感覚は、普通こうではない。《できるだけ早く》と言えば済むことを『可及的速やかに』と漢字交じりの難しい言葉で言わないと落ち着かない世界だからだ。そんな世界で、まさか、こんな普通の言葉が公文書に出てくるはずがないという先入観があったから驚いたのかもしれない。

 でも、日経の記事にはこの言葉が出てくる中間報告書を公開したと書かれているから本当はどうなのか確かめてみるのが一番いい。

 そう思ってネットで探してみると、確かに見つかった。

 平成29年5月という日付けで「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム 中間とりまとめ」と題したレポートに、日経が伝えているようなことが出ている。

 市井の一市民に過ぎないこちらにはこのレポートの具体的な内容は全く分からないのだが、この文書全体に“お上”がいつも民間に向かって言っていることが、実は、当の役所自身で少しも実行できていなかった感じがありありと浮かびあがってくる。・・・・・

 だが、そんな気分はしたものの正直に公表した率直さは評価したい。何であれ、自己正当化に固まっていて《自分のことを考え直さない》《謝らない》昔からの役人の習性を考えれば、こんな率直さを誰が予想できただろうか。

 この感想は、先日来ありのままを語ってきた文科省元事務次官のことを聞いたときの「いまどき、こんなに気骨のある役人がいたのか」と驚いた感じに結びついた。

にしても、これは、それだけ否定できない事実があるからではないかと考えると・・・

 それにしても、こんなことが正直さ丸出しの感じで「中間報告」に出てくるのは、そういわざるを得ない実態があるからではないのかと思う。

 そうではないか。

 厚労省には「朝のあいさつを励行していない人」や「目を見て明るく元気にさわやかになっていない人」がたくさんいるという実情があるからからこそ、こういう提言が行われたのだから。

 だが、その提言も「コミュニケーション強化月間(仮称)」とかいう期間を限った呼びかけなら、その月間が終わってしまった後はいったいどうなるのだろうか。こういう呼びかけは無期限に長続きしなければ意味があるまい。何月何日から何月何日までの期間だけの朝のあいさつや明るく元気なさわやかさも期間が終わったら“おしまい”なら、結局のところ《一時の気休め》ではないか。期間限定の呼びかけなら、期間が終わった後は否応なしに後戻りしてしまうだろうに・・・。

 テレビCMもどきのスローガンで何度も何度も聞かされてきた《一億総活躍》とか何とかいう言い方にも、そんな感じが漂ってはいないか。

 こういうことは厚労省だけなのか。文科省や経産省、国交省はどうなのか。

 ・・・・・と書いてきたころで、東京都議選の結果を聞いた。都民税の税額決定通知書を改めてみたばかりの時期で、今度はまことに複雑な気分の投票だった。

 今日のブログに書く心境は、この選挙結果を聞く複雑さとどこかで通じている。

聞かされ続けている言葉の信用が問われる時代、管理組合や管理会社は大丈夫か

 昔から《世の中で起こることはマンションでも必ず起こる》と言い続けてきた。良いことも悪いことも、世の中で起こることはマンションでも必ず同じように起こる。

 マンションは、まさに文字通り社会の縮図なのだ。

 マンションは人間の住まいである。考え方も生き方も人の数だけ違う大勢の人々が同じ建物での生活条件を共有することで成り立つ集合住宅では、そこに住む人間次第ですべてが決まる。

 マンションの建前や仕組みも、この点の例外ではない。

 建前や仕組みの本当の意味も、マンションに住む人にとっては、自分に向ってそれを求めている人自身が、いま《自分の言っていること》がいつであれ《自分でもできる》という実行可能性で確かめているかどうかで本当のところが決まる。

 この点は、総会に出るかどうか役員を引き受けるかどうかには全く関係がない。すべての人が黙ったまま同じような感覚で受け止めているはずなのだから。

 マンション管理の建前や仕組みの成り立つ背景には、そういう本質が隠れている。

 管理組合の命綱である管理規約の有効性も、この事情と無関係ではない。

| muraitadao | コラム | 12:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること58:投票】YESかNOかをたった1枚で意思表示する仕組みの意味を考える

棄権したことなんか一度もないが、弾む気持ちで投票所へ出かけたこともほとんどない

 都議選挙が告示された。

 いままで一度も棄権したことはないから、7月2日には必ず投票するつもりだ。

 だが、考えてみると、65年の間、選挙で自分の意思表示ができる機会に恵まれた充実感や気分の高揚を経験したことは、ほとんどない。

 選挙が告示されれば、もちろんいつも投票に行く気持ちになっている。

 だが、気が進まないのを我慢して嫌々ながら投票所へ足を運ぶというほどではないものの、《この一票》の重さを確かめるのとは程遠い気分だ。《とにかく投票だけはしなければ・・・》という名状しがたい低迷すれすれの気分は否定できない。

 いつも選挙結果のニュースでは、当落の結果よりも、いったいどのくらいの人が投票所に出かけたのかという投票率の方がはるかに気にかかる。

 だから、当選者が躍り上がってバンザイを叫んだり《国民の皆様の信頼にこたえます》などと興奮気味に語る政治家を見ると、冷え冷えとして醒めた気分になる。

 あれほどの低い投票率で当選したのだから、『支持した人』よりも『支持したかどうかわからなかった人』の方が間違いなく多かったのに、よくも、まぁ、あれほど有頂天になれるものだな・・と思う。

 選挙という仕組みの意味は《適任者を数で決める》点にあるのだから、投票率が低ければ《適任者とみなされたかどうかがわからない》人の割合がそれなりのレベルになっていることははっきりしている。いちばん肝心なことが確かめられていない状態のまま《決まった》ことになってしまう割り切れなさが後を引くことになる。

 さらに《支持した》場合も、選挙の時に投票した人が考えていたとおりに当選者が本当に役割を果たすかどうかは、確かめようがない。すべては、これからだ。当選した後の様子を断片的なニュースなどで見るしか方法がない。

 すべては《支持して投票した人の手が届かないところ》で当選者がやることや言うことを見ているだけだ。橋がない大きな川の向こう側の光景をなすすべもなく見つめ続ける気分に近い。

 もう、やめよう。何だかむなしい気分になってきた。
                   ☆
 今度の都議会議員選挙がそうならないなどということはあり得ない。

 でも、今更それを気にしたって仕方がない。どうなるものでもない。

 だから、7月2日の投票には必ず行く。

投票用紙に名前を書いた人が明日から何をするかがどこまで見通せるか…

 考えてみると、選挙とか投票という仕組みには、わかったようで実はよくわからないところがある。投票用紙に「名前を書く」ことは「その人の考え方を納得して任せる」信任行為だということにはなっても実際にそうなるとは限らないからだ。

 投票用紙に名前を書くのは、その人の過去の評価ではなくて、あくまでも選挙時点で、これからの役割を実現してくれる可能性の予測なのだ。いわば、その候補者が「考えてくれそうなこと」「やってくれそうなこと」という期待が含まれた予想を一枚の紙に託して投票することになるのだが、本当のところ、予想は予想でしかない。

 ただ、その予想は候補者の経歴とか公約とかを手掛かりにしものとなる。

 絵にかいたような経歴のエリート官僚出身の、さも有能そうな人物が当選した後、人の目に見えないところで聞くに堪えないほど口汚い罵詈讒謗(ばりざんぼう)を重ねるなどということは誰も予想しない。

 手掛かりとしてわかることが「何とか大学を卒業して何とか省のエリートだった」とかいう経歴だけで、その人物の人間性については何も手がかりがない状態でもそれは誰も気にしない。素晴らしいキャリアの人が口汚く金切り声で狂乱状態になって当たり散らすなどとは、誰も予想しない。

 でも、実際には、予想しなかったようなことが起こる。

 そうした形で、予想はやはり予想でしかなかったことを思い知ることになる。

 選挙や投票の本質に隠れている予想という要素の読み切れなさを、今まで、もう何十年も選挙のたびに思い知らされ続けてきたよな気がする。

選挙、投票という仕組みの弱さ・マンションでは果たして大丈夫か

 選挙とか投票という仕組みに隠れている、こういう不安は、どんな場所であっても基本的には同じだろう。分譲マンション管理の仕組みの当事者となる管理組合の組織運営でも同じはずだ。

 ただ、少し違うのは、選挙とか投票という仕組みで投票が意思表示の手段として成り立つ前提である。どんな場合も、投票する人は誰もが《同じマンションに住んで生活条件を共有する》からだ。《ウチのマンション》という共通する生活条件が、マンション管理の仕組みでは選挙や投票に特有の意味を持たせることになる。

 しかし・・・。

 この前提は、同じマンションに住む人同士が、お互いに認識しあっている状態が実現していなければならない。なのに、顔と名前が一致しないとか、どんな仕事をしているのかわからないといった状態でこの前提が成り立つのか。

 わからなくなってきた。

| muraitadao | コラム | 11:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
【語り尽くされていないこと、見逃されていること57:マンション61年】四谷コーポラス建て替えのニュースで思い浮かぶ数限りない感慨

11年前このブログの第1回に「四谷コーポラス」のことをめぐる様々な思いを書いたのだが・・・

 「四谷コーポラス」が建替えられることになったという。《それがどうした?》などとは、誰にも言ってほしくない。

 11年前の2006年(平成18年)11月26日にスタートしたこのブログ第1回に、四谷コーポラスのことを書いた。そのときのタイトルは次のようなものだった。《民間分譲マンション半世紀の証人「四谷コーポラス」のことを誰も言わないから》。

 ブログを書くようになるまでの長年マンションや住宅ローンのことをいろいろ書いてはきたものの、ブログを書く感覚はまだ正直に言って呑み込めていなかった。

 そんな中で、書きながら、ふと、今月は11月だ・・、そういえば四谷コーポラス竣工の月だったな・・という連想が浮かんできて頭の中に浮かぶ言葉をそのまま字にする気分で書いた。

 思えば、このマンションのことをセミナーや講演会で話の枕にどのくらい使わせてもらってきたことか。原稿の前文に何回ぐらい書かせてもらってきたか。

 マンション管理に寄せる関心が深い人を四谷の現地に案内したこともある。

 マンションの原型を語るときには、いつもこのマンションのことが頭にあった。それもこれも、このマンションが敗戦後10年そこそこの時期の物件だったからだ。

 1956年(昭和31年)11月竣工。エレベーターなしの5階建て。《もはや戦後ではない》という経済白書の言葉が複雑な実感を生んだこの時代、233万円と156万円の28戸が三か月で完売。住宅ローンなどなかったが、信販会社(日本信販・現在の三菱UFJニコス)が分割払いで売り出した時の利率は元利均等返済で年12%だったと聞く。

 そんな時代に生まれたマンションが、61年間も建ち続けていた。

 驚くべきことではないか。

このマンション建て替えについて《誰も言わない》のは依然として今も同じか

 このブログの第1回で四谷コーポラスのことを書いた時のタイトルに「誰も言わないから」などとひねくれた言葉を入れたが、10年以上たった今も状況はあまり変わっていないようだ。

 四谷コーポラスの建て替え計画は、このマンションの管理組合ではなく建替え事業を担当する旭化成ホームズと旭化成不動産レジデンスの両社が連名で発表した。旭化成というそれなりの規模と歴史のある企業の系列会社の発表だから、管理組合独自の発表よりも情報発信力はあったと見ていいだろう。

 現に、この発表でそれなりのニュースを流したところもあった。しかし、それも業界紙を除けば毎日新聞の夕刊ぐらいで、大半のメディアは流さなかったと思う。どの新聞もテレビも役所の文書の忖度だの北朝鮮のミサイルだのばかりだったから。

 そのせいかどうか、マンション管理関係者の中でも、このニュースを知っていた人はあまり多くないような気がする。

 そんな中で、旭化成ホームズと旭化成不動産レジデンスのプレスリリースは、ありきたりの発表資料と違ってかなり中身が充実していた印象が強い。

 2017年5月30日付けのプレスリリースは7ページある。

 タイトルがやや長いが、そのまま紹介する。『1956年竣工・築61年、日本での民間分譲マンション第1号「四谷コーポラス」建て替えについて〜民間分譲マンションとして初めての管理運営や割賦販売の歴史も〜/〜区分所有者の9割が再建マンションを取得予定〜』

 本文には次のようなことが述べられている。

,海3月29日に管理組合の建て替え決議成立、5月に全員合意、9月に解体工事着手の経過であること。

△海離泪鵐轡腑鵑篭菠所有法以前に実現した管理方式で運営され、住宅ローン登場以前に割賦販売で売り出されたこと。

2006年から建て替え・大規模修繕工事の検討会がスタートしたが、耐震性、給排水設備老朽化などにより建て替え決議に至ったこと。

な件が小規模のため床面積増床のメリットはないが、立地の良さや愛着の強さがあって区分所有者の大半が再取得する前提で要望や想いに応える計画となったこと。

 この後、「機ゥ泪鵐轡腑鵑領鮖砲涼罎任了傭コーポラスの位置づけ」「供セ傭コーポラスの建物概要」が写真と表や図面を添えながら5ページ足らずのスペースで説明されている。

 最後に〈今後の情報公開とお願い〉と題して次のようなことが書かれている。

8月まではまだ住んでいる人に配慮して現地内外の撮影は遠慮してほしいこと。

9月の解体前にマスコミ向けの説明会や撮影会を予定していること。

7築研究者を含む一般向けの現地公開を検討中であること。
                   ☆
 正直な感想を書く。

 基本的に企業ベースでまとめられた資料だが、よく考えて工夫された内容になっていると思う。このマンションの建て替えについて書いたり語ったりする人の大半は61歳にはなっていないだろうから、このマンションができた時代背景など想像しにくいはずだ。その点を考えて、在来の建て替えとの違いを理解するための要点を過不足なく盛り込んでいるのがとてもいい。ただし、注文が二つある。

 一つは地図をぜひ添えてほしいこと。居住者の愛着とも関わる四谷本塩町(よつやほんしおちょう)のロケーションがこの建て替え計画と大きく関連しているからだ。

 二つ目は、居住者の思いなどを伝えられる工夫を今後の機会にぜひ考えてほしいこと。このマンションの建て替えに人の温もりを感じたいからである。

| muraitadao | コラム | 10:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
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