村井忠夫のマンション管理ブログ

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書名は買い手にとって本のすべて。本の名前と内容はなるべくなら、あまり違わない方がいいと思うのだが・・・
このごろ高層といえば高層マンションを連想する・・。だから「高層難民」を買って読んだ

kousounanmin 渡辺実著「高層難民」を読んだ。新潮新書の一冊である。表の帯には『「免震構造」もアテにならない。巨大地震の発生で、「超高層」は地獄の塔に!』とある。“「地獄の塔に!」”の5字は“「免震構造」もアテに・・・”の行の2倍の大きさの字になっている。手にとって「はじめに」の部分を読んで、『本書では、切迫する首都直下地震など近代都市が巨大地震に襲われたときに発生する「震災難民」、特にその中でも関心が高いと思われる「高層難民」について真正面から見据えました。・・・』とあるのが目に入った。「おわりに」の始めの方には、『特に、都心部での建設が続く高層マンションの住人が、大量の高層難民になる可能性については、十分に語られていないように感じています。・・』という記述もある。

新書で680円だし、書名や手にとってめくった感じで言えば、間違いなさそうだと思い、買った。183ページ。読みやすい本だった。

「高層難民」よりも「震災難民」のことの方がたくさん出てくる・・・

 で、読み終わった感想だが、この本は書名の「高層難民」よりも「帰宅難民」とか「避難所難民」を含めた「震災難民」のことの方がよくわかる内容になっている。実は、昨年、「マンションは地震に弱い」の著者である矢野克巳さんに、高層マンションと地震の関連についてつぶさにいろいろなことを聞く機会があった。知らないことが多くて、かなり教えられることが多かった。その記憶が頭の中であとをひいていたので、今度の「高層難民」という書名の本の新刊広告が目に入ったのだ。

 「高層難民」というのは、わかるようで、実はよくわからない言葉だが、だからこそ今どきのマスコミに受けそうな感じがする。しかし、新刊のデュアル「大辞林」第三版がこの言葉を掲載しているぐらいだから、こうした書名の本が出てもおかしくはない。ちなみに、「大辞林」には『高層建築物の居住者などで、大地震などの災害発生時にエレベーターなどの停止が原因となって、長期間建物内で孤立する人々のこと』とある。あのウィキペディアでさえもまだ取り上げていないこの言葉を、簡潔に説明していると思う。
 
 この本は、その「高層難民」のことを、『「超高層」は危ない』と述べた第1章以下、第2章と第3章で取り上げている。しかし、書名の「高層難民」は、ここまででおしまい。あとは「帰宅難民」と「避難所難民」、それに防災情報システムと巨大地震再来のことに絞られる。「高層難民」のことは全7章のうち3章、ページ数にして半分足らずになる。

「震災難民」という内容で読むと有益な本であることは確か

 正直な観想を言うと、読む前の期待と読後感の食い違いが小さくない。実は、書名にひかれて高層分譲マンションの災害対策を教えてもらうつもりだったが、その点では書名とまるで違う内容だった。本の半分以上があてられているのは、高層マンションであってもなくても同じように当てはまる災害時の問題だったからだ。

 しかし、それだけに、この本の有益な情報は戸建住宅を含めた低層難民や周辺県都民にも大いに役に立つし、マスコミ関係者の認識を改めさせるに足る迫力も大きい。高層マンションは全国で増えつつあるから、首都圏以外の人にも有益だろう。それに、この本の高層マンションは賃貸か分譲かの区別がまったく関係しない書き方だから、分譲マンションであろうとなかろうと「借りて住む人」にも「持って住む人」にも役に立つ内容だ。

 だから、私も、この本を災害常識に有効な実益性のある本として、これから機会あるごとに話題にしたり紹介したりしていこうと思う。

 ただし、680円払った読者の立場からいうと、この本は、いずれ機会があれば「震災難民」に書名を変更してもらえるように望みたい。もっとも、「震災難民」にすると、引っ越すだけですむ「借りて住む人」と買ってしまった後ではそう簡単に身動きがとれない「持って住む人」とで、微妙に反響が違うことにもなるだろうが・・・。

書名のつけ方はやっぱり難しい!!!

 本の名前の付け方は、やはり難しいと思う。私だって、決して大きなことはいえない。ずいぶん本も書いてきたが、版元に押し切られた書名の本には今でも苦い思いが付きまとうものがある。「書く」立場と「売る」立場には、考え方が一致しにくいことが多い。まして、本が売れない昨今だ。「売る」立場はどうしてもリスクを避けたがるし、「書く」立場は、だからこそ、逆に売れるためのトーンを強調したがるようになる。

 こうしたギャップは、当分なくなるまい。とすると、書名と内容が食い違うケースは、これからもまだ生まれるだろう。

 でも、やはり、本の名前とその本に書いてある内容は同じ方がいい。それだけは、間違いない。
| muraitadao | コラム | 10:24 | comments(0) | trackbacks(2) |









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