村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
左側がマンガ 右側が説明文という福祉住環境のテキストがあるなら、区分所有法や管理規約の説明書にもそういうスタイルの本がほしい

 ある女性のマンション管理士から、メールが届いた。どういうわけか、マンション管理士には女性が少ない。もっと女性のマンション管理士がいてもいいはずではないかといつも思っている。だから、女性のマンション管理士から意見を聞くと新鮮な気がする。

 今度もらった、その女性マンション管理士の文面の中に、区分所有法や管理規約をマンガ入りで説明する本があってもいいのではないかという意見があった。その続きには、以前に勉強した福祉住環境のテキストで、左側にマンガ、右側に説明文というスタイルの本があったことも書かれている。

 実は、私自身、そうしたスタイルの本を出している。もっとも区分所有法や管理規約の解説書ではない。「マンションの危機管理入門」という書名の本だ。ブログで自分の本の宣伝をする気はないので詳しくは書かないが、昨年の秋、マンションで気がかりな問題になっている防犯や防災の問題を念頭に書いた。一つのテーマを見開き2ページで取り上げているのだが、左側はマンガ、右側は説明文という作り方である。

 本当は、この本を出す話が来たとき管理組合向けのものにしたかったのだが、版元の要望で、管理会社向けの実務書という性格づけのものになった。でも、マンガ入りの本というのは初めてだったが、それなりのことを知る経験ができた。

わかりやすいけれど書いたことが書き手を離れて断定的に一人歩きする怖さがある

 この経験で、わかったことがいくつもあった。一番感じたのは、書いたことが伝わるときのプラスとマイナスだ。プラスが「わかりやすさ」であることはいうまでもない。マイナスは、書いたことが書き手を離れて断定的な意味に一変して一人歩きする怖さである。何しろ、絵があるから、あいまいな言葉では釣り合いが取れない。絵そのもののマンガには、歯切れがいい文章が対応しないとわからない。おもしろくもならない。歯切れよく書くことは自信がなければ、できない。だから、あいまいな言い方では逃げられない。その点を承知した上で、どこまで書ききれるか。そこが、とても難しい。

 昨年出したこの本では、マンガを描いてくれた人がとても誠実にきちんとした仕事をしてくれたので、この点はまったく問題がなかった。こちらもマンガの吹き出しはもちろん、細部の背景に至るまで説明文の内容と矛盾がないかどうかをずいぶん細かく確かめた。本文の書き手として修正をお願いした箇所もかなりあったが、率直に応じてもらったおかげで安心できた。この経験のおかげで、こうしたスタイルの本は、マンガと文章の書き手の間に信頼関係が欠かせないことを知った。

一文が1078字で 「   」が33箇所 (「  」)が9箇所もある法律文では とてもマンガにならないのでは

 経験的に知ったことは、もう一つある。それは、法律の難しさだ。絵入りのビジュアルな表現を考えようとすると、とてもではないが、どうにも手の施しようがない。回りくどい、長すぎる、読みにくい漢語表現が多い、やたらにカッコが出てくるなど、もうきりがない。マンション管理の大原則を示しているといわれる区分所有法の第66条に例をとろう。二つのセンテンスでできているが、108字の前の方のセンテンスはともかく、後の方のセンテンスが「異常」の一語に尽きる。何しろ、一つの文章が1078字で書かれているのだから。「天声人語」や「編集手帳」などよりも、まだはるかに長い字数の文章が一本になっているのだ。その長い文章の中に(  )が9箇所、「   」が33箇所、(「   」)が8箇所。正常な神経ではとても読めない。マンガ以前の問題だろう。

 どこのマンションでも話題になる大規模修繕工事。この言葉は法律には出てこないから、「共用部分の変更」という言葉の条文を手がかりにして確かめるのだが、その条文には、(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)というくだりが出てくる。〜デナイモノヲ除クのだから二重否定で、〜デアルということにほかならない。

 日本の法律文が日常的な言語感覚から程遠い存在であることは言い古されたことだが、今さらながら日本語であって実は日本語離れした法律文の手に負えない法律文の特質が改めて浮かび上がってくる。当分、マンガ表現どころではないような気がする。

 返信のメールには、そう書こうと思う。
| muraitadao | コラム | 02:36 | comments(3) | trackbacks(2) |
村井 忠夫先生


初めまして、マンション管理士の日下部理絵です。

■2010年新年あけましておめでとうございます■

HPを検索していたところ、村井先生のブログにたどり着き、2年半程前のブログですが、なぜ他の士業に比べ、マンション管理士は女性が少ないのか、女性の人あたり良さや生活感は極めて、管理士向き!…と常日頃、思っている私としては、強く共感しコメントを残さずにはいられませんでした。

2010年、村井先生の益々のご活躍を願っております。

いつかお会いできることを楽しみにしております。

マンション管理士
日下部 理絵
| 日下部理絵 | 2010/01/02 7:53 PM |
 女性のマンション管理士が少なすぎると主張し続けてきましたが、現実には、一向にその気配がありません。2年以上も前に書いたブログに注目してくださったこと自体が、その実感を裏付けているような気がします。よく見つけていただいて、ありがとうございました。
 マンションに限らず、住宅は、もともと生活の場ですから、女性の視点が欠かせません。その視点を欠くと、理屈倒れの非現実的な考え方が目立つようになります。現実感空ほど遠い状態で、知識の大きさばかりを競い合ってウンチクを傾ける人が多くなります。せっかくできたマンション管理士が管理組合に知られないままの状態が続き、やっと接点ができても思ったほど成果を挙げられない実情があるのも、こうした傾向と関係があると思います。
 理屈も大事ですが、生活の現場としてのリアルな視点がマンション管理の大前提であるということは、女性の方が理解されやすいような気がします。ゴミ処理の問題やペット・騒音など、法律論では手が出せない生活レベルの問題を考えただkで、そのことがはっきりします。
 そういう意味で、マンション管理士に限らず、マンション管理という分野そのものが女性にとって、ほとんど未開拓のままに近い状態であることを考えていただけると、ありがたいと思います。
 貴重な女性マンション管理士としてのご発言を期待しています。思いがけないコメントをいただいて、心強く思います。まことに、ありがとうございました。
| 村井忠夫 | 2010/01/03 10:47 AM |
新年早々、ご丁寧なコメントありがとうございます。

>マンション管理士に限らず、マンション管理という分野そのものが女性にとって、ほとんど未開拓のままに近い状態であることを考えていただけると、ありがたいと思います。

↑おっしゃるとおりだと思います。
女性の視点や感性は、生活レベルの問題解決に最も身近な”ご意見ばん”と言えると思います。

また、女性は一度納得し、理解すると反復継続力が強いように思います。しかし、納得するまでには、生活に密着している分、マンション管理への”費用対効果”を求める傾向も強いように思います。

数年前、大手管理会社の数社が女性のフロントを採用し、多くの女性が短期間で心身ともに壊し、女性にフロントは・・・と言われた時期がありました。
一方でフロントのほとんどに女性を採用し、評判の良い管理会社もあります。

マンション管理の重要性や認知度をあげるのはもとより、上記記載の問題を解決へと導いていく、このあたりが、女性のマンション管理”開拓への一歩”に繋がるのかなと思います。

村井先生にコメントを頂け、歓喜して躍り上がるような気持ちです。こちらこそ、本当にありがとうございます。

マンション管理士 日下部理絵

| 日下部理絵 | 2010/01/03 1:54 PM |









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