村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
女児マンション転落事故のニュースが浮かび上がらせたこと:どこのマンションでも同じことが起こる可能性にどれだけの人が気づいているか
転落事故のニュースを読んでわかったこれだけの事実

 3月22日の新聞各紙が伝えた東京・江戸川区のマンションの女児転落死事故。それほど大きくはないが、小さな軽い扱い方でもない記事がいくつものことを浮かび上がらせている。
〕遒舛燭里狼鐔纂埖陲両学生だったこと。
∋故の場所は6階建てと8階建ての2棟が合わさった箇所の採光用の隙間だったこと。
事故は土曜日の正午寸前に起こったこと。
い海侶箚屬悗了匐,燭舛僚估りがかねてから問題になっていて、7階の通路には管理組合の注意書きなどが張られていたこと。
イ海瞭も問題の場所で女児に気づいた人が注意していたこと。
Ψ抻―陲魯泪鵐轡腑鵑隆浜態勢や管理の実態などを調べていること。どれも、考えれば考えるほど気になってくることばかりだ。

 どの新聞の記事も、この事故が大都市の膨大な数のマンションの一角のありふれた光景の中でごく普通に起こったことをありありと伝えている。そんな感じがわかる記事の文面が、この事件にひそむ不安な普遍性を浮かび上がらせる。

 その普遍性は、いったいどこからくるのだろうか。新聞記事は事実の報道だけが趣旨であって分析を目的としていないから、この事故から何を読み取るかはあくまでも読み方の問題だ。では、この記事から何が読み取れるか。

表から見えない本当の事故原因がどこのマンションでも共通しているからこわい!

 読み取れることを、前記の五つの点で考えてみよう。
〇故の当事者:居住者宅に小学生がいるのは、ごく普通。賃貸マンションだって同じだ。
∋故の場所:マンションの一角にある身近なところ。だから、注意書きも張られていた。
事故の時間:正午直前の真昼。日常生活時間帯である。
さ鐔纂圓涼躇奸Уいついた大人が注意することはマンションライフの常識だ。
ゴ浜の実情:危ない場所への目配りを確かめるのは当然の話だ。

 というふうに考えていくと、この不幸な事故は誰かの重大な不注意や手落ちで起こったというようなものではない感じにみえてくる。とどのつまりは、「こわいねぇ。うちのマンションでも気をつけなければ・・・」という程度の感想でおさまってしまうのが普通だろう。

 が、こうした受け取り方では、この事故の中に隠されている本当の問題がほとんど気づかれないままになりはしまいか。気づかれなければ原因は依然として残り続けるから、またしても同じことが起こりかねない。こうして残されたままの原因が同じ事故の再発をもたらす可能性は、実は、どこのマンションでも共通する感じが強くなる。そこが、こわい。

共通する原因の背景にあるマンションに住む居住常識の偏りと管理組合の非力がこわい

 では、何が、そんなにこわいのか。前記のいくつもの点をまとめると、二つのことが鮮明になってくる。一つは、いまどきのマンションに住むほとんどの人に共通する居住常識の偏りだ。マンションに住む人が知っているのは、ほとんどの場合、自分の住戸の室内だけに限られる。マンションの建物全体のことは、あまり知らないことが普通だ。巨大で複雑なマンションの建物の実情は、個人レベルの日常的な生活感覚では余りにもとらえにくい事情がこうした結果をもたらす。大抵の人は自分の住む住戸の玄関ドアの内側のことだけを知っているだけで、玄関ドアの外には、どこが、どんな様子なのかをほとんど知らないままだ。いわば、「マンション住まいのマンション知らず」状態で住んでいるのだが、それに気がついていない。

 もう一つは、マンション内の問題に取り組むはずの管理組合の実情。法律や制度の理念はともかくとして、現実の管理組合はそうした自分のマンションの全体像をよく知らない人たちが毎年交代する理事会で運営されている。実情をよく知らない人たちが一年交代で動かす組織が問題に対応しにくくなるのは、避けがたい。

 どこのマンションにも、こうした実情があるのだ。今はそんな心配をしなくてもすむ状態だったとしても、これからの長い年月にわたってこういう不安な状況が生まれなくてすむかどうかは、たぶん神様でなければわかるまい。

 そうなると、多かれ少なかれ上に書いたような事情がもたらす不安がどこのマンションでも共通していることに気づかざるを得ない。そこが、こわいのだ。そのこわさに気がついている人が、ほとんどいないのは、もっとこわい。
| muraitadao | コラム | 17:51 | comments(3) | trackbacks(1) |
 昔から言うではないか「子供と煙は高いところへのぼりたがる」と。私自身、庭のもみや栗の木によじ登って遊んだ日々を、70年近く歳月を経ている今ですらまるで昨日のことのように鮮明に思い出す。思えばこのようにして私の「個」は育まれてきたのかもしれない。
 このようなことはマンションに人が住み、子供がいる以上は避けがたいこと。決定的な解決策を聞いたことはなく、どの管理組合でも対応に悩みの深いところかと思う。
 ちょうど3年前のある日の午後、わが団地の関係者が国道16号を走行中何気なく林立するわがマンション群を眺めたところ、そのうち1棟の屋上に人影を見た。32階建の屋上から約1M低い「スカイラウンジ」の屋根の上、普段人が立ち入らないところなので不審に思い、その場で防災センターに電話し、係が直行したところ小学生(高学年)2名がいたとのこと。いったいどこから入ったのかと問いただしたところ、角塔型になっているその棟の32階の内廊下のフェンスの上に立って飛び移ったらしい。角度が殆んどない場所で、地上100Mほどの高さで、高低差約1Mを何度も往復していたとのことで、聞いているほうが気を失いそうな話ではないか。
 管理組合としても事を重視し、32階の全住戸にチラシを配布して注意を喚起し、フェンスの該当部分に有刺鉄線を巻いて防御するとともに他の棟(32階建て、24階建て、18階建各1棟)についても点検したところ、屋上部分には施錠してあるにもかかわらずフェンスを乗り越えて、あるいは有刺鉄線を拡げて小・中学生が侵入したことが判明し、これに気付いた住民が何度か注意したようである。
 組合としてもすぐにフェンスを高くし、有刺鉄線の間隔を密にしたという経緯がある。勿論全館掲示をし、関連記事を記載した管理組合ニュースの団地内全戸配布をして徹底した。侵入した子供たちの中にはわが団地の住民でないものもかなりいた。また、屋上の縁堤の部分を好んで歩行していた傾向も見られるようである。
 考えてみればこの種のことについて個々の管理組合が対応するには限りがある。政府や自治体が指針を示し、専門家であるマンション管理士の諸先生あたりが徹底を図るよう検討されてはいかがだろうか。
| 岩間 一昌 | 2009/03/28 11:11 AM |
岩間一昌様 ありがとうございました。お寄せいただいたコメントに共感する部分がたくさんあります。
 今回取り上げた問題は、はっきり書けば、マンションでの投身事故のことにまでつながります。いろいろな因果関係が想像を超える様々なケースをもたらしていると思いますが、どんな場合にも、在来のマンション管理の原則ではまったく答が見つからない難しさガあると思います。
 その意味では、マンション管理士に限らず「・・士」という名のいわゆる”専門家”にはまったく手に負えないはずです。行政がこうした事態に対応できる見込みも、また薄いと思います。
 結局、ほかならぬ管理組合自身が当事者意識を持つしか方法がないというのが、私の本意です。それには、玄関ドアの内側のことばかりしか知らない人が普通であるマンションの居住意識が変わることがどうしても欠かせないでしょう。直面した問題の性質を理解するためには、そのマンションに住んでいる生活感覚が絶対に必要であって、単なる専門知識では、何も答が出せないからです。
 まず、自分の住んでいるマンションの建物と居住実態を管理組合の、特に理事会自身が、できる限り正確に確かめ、それを居住者に知らせるための情報を広報という手段で継続的に流していくことが先決だという、きわめて常識的な結論になってしまうのですが・・・。
 まだまだ、多くの議論がいることだけは確かだと思います。
 ありがとうございました。
| 村井忠夫 | 2009/03/28 6:52 PM |
最近、まるで雨後の筍のようにあちこちに高層・超高層のマンションが立ち続けています。東京・神奈川の人口密集地だけでなく、過疎状態がかなり進行しつつある「辺境」までもが例外ではないようです。
 指摘されるような子供の安全確保は勿論ですが、超高層マンションの場合はそれ以外にもたとえばEVや採光に見られる高層・低層間問題、それに伴う管理費や積立金の負担問題、あるいは強風問題、震災時などの対応問題(逃げ出さず篭城する等)等々、低層マンションでは考え及ばぬ問題に直面します。ところが管理組合はそれら諸案件に対応できず、無理やり押し付けられたのだからと逃げ回るばかりなのが一般的のようです。
 3年続けた理事長をまもなく退任しますが、これまで日本マンション学会や地域のマンション管理組合ネットワークの会合で話し続けてきた「超高層マンション群管理組合の連絡組織を緊急に作る必要がある」との思いは変わりません。さし当たっては誰もが関心の深い「大震災対応計画」についての経験や情報を出し合い交流する集会を日本マンション学会あたりにご足労いただいて開催し、それを契機にお互い助け合える組織にしていきたいものと考えています。
 同憂の方々と力を合わせて何とか実現したいものです。
| 岩間 一昌 | 2009/03/30 3:04 PM |









http://murai.realestate-jp.com/trackback/808788
終わらせないために何をする
法務局に登記簿を貰いに行く前に時間がありましたので、リニュウアルされたりそな銀行
| MANSIONS-COMMUNITY blog | 2009/04/15 8:52 PM |
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【番外】11年目。公開遺言のつもりでブログを書き続けます
    マンション・チラシの定点観測 (11/26)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下 義男 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (11/23)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下義男 (11/23)
  • 2年半ぶりでメンバーも変わって再開のマンション管理検討会、たった1か月で結論を出すとは・・・・
    とおりすがり (04/24)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    村井忠夫 (09/06)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    まるーべり (09/06)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    村井忠夫 (06/26)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    ポリス (06/26)
+ RECENT TRACKBACK
  • 「沈黙は賛成じゃない」という論理。選挙や総会では?
    マンション管理の情報屋。。。 (09/22)
  • マンションの中の喫茶店が話題になる・・・・:マンションの共用空間の新しい意味をもっと考えていいのではないか
    神園良輔の『マンション展望』 (05/05)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • 女児マンション転落事故のニュースが浮かび上がらせたこと:どこのマンションでも同じことが起こる可能性にどれだけの人が気づいているか
    MANSIONS-COMMUNITY blog (04/15)
  • 「億ション」は最高が1億円なのか、最低が1億円なのか、それとも・・・:管理の基本原則は何億円でも関係ないが
    マンション展望 (02/16)
  • 「美しい国」で、これ以上「美しくないこと」が起こらないように:もっと集合住宅に住む不安を減らすための議論を
    マンション展望 (12/01)
  • 8年前の2月、国会でマンション管理をめぐる史上初の議論が行われた。そして、昨日の朝刊には・・・
    NONブログ (11/27)
  • 書名は買い手にとって本のすべて。本の名前と内容はなるべくなら、あまり違わない方がいいと思うのだが・・・
    高層マンション (08/27)
  • 新しい住宅が建たなくなったというニュースの怖い連想:暗い窓ばかりのマンションが思い浮かぶ・・
    マンション展望 (08/25)
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE