村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
マンションの中の喫茶店が話題になる・・・・:マンションの共用空間の新しい意味をもっと考えていいのではないか
集会空間の活用策として喫茶店ができるなら、ほかにも、まだいろんなことができるのではないか

 マンションのことを取り上げてブログを書き続けている人の一人に神園良輔さんがいる。その神園さんの4月19日付ブログは「マンションに喫茶店!?」という話だった。京都市右京区の築後34年190戸のマンションで、住民のコミュニテイ委員会が集会所の活用策として喫茶店を毎月日を決めて開いているという話を報じた京都新聞の記事は知らなかったので、とても興味をひかれた。

 実は,筆者の住むマンションでも、同じような試みが始まっている。長らく空いたままのある棟の1階の店舗を管理組合が第2集会室として借りることを総会で可決して、高齢者のサークルが毎月2回土曜日の午後喫茶店を開いている。月を追って少しずつ利用者が増え始めているようだ。京都のケースは同じような発想の先輩格だったらしい。

 そんなことがあって、興味をひかれたニュースだった。気づきにくい地方新聞の記事情報でこういうことがわかるのも、ブログのメリットだろうと思う。

 私のマンションの場合は、空き店舗を第2集会室として管理組合の年間予算の支出で借りることを総会で提案したときには、かなりきつい反対意見が出された。しかし、結論的には、現在の集会室が手狭だという30年以上の実態があったため圧倒的な賛成で可決された。

 空き店舗を管理組合の集会室として利用できるなら、ほかのことにも利用できる可能性があるだろう。集合住宅の一角に使われないままのスペースがあるなら、もっとほかの活用策が実現するといい。

分譲マンションの共用部分の使い方は極めて未成熟なままの実情がある!

 この感想は、長らく前からの実感につながっていく。集会室を含めた共用部分の実情にかねてから飽きたりない不満があったからだ。そもそも集会室とか集会所といったスペースは、賃貸団地にもある。集合住戸にこうしたミーテイングスペースが欠かせないことは、昔から誰もが気づいていたことだった。分譲マンションにも集会室があるのは当然だ。だからこそ、集会室は共用部分として用意されているではないか。区分所有法の総会議決の重要な意味を掲げているのだから・・・。

 というのは、しかし、理屈にすぎない。現実は、まるで違う。

 どのぐらい、違うか。集会室の実情をみれば嫌になるほどよくわかる。だいたい戸数が少ないマンションには、集会室がない。集会室があるのはある程度戸数の多いマンションだが、そうしたマンションでも、集会室はそれほど大きくない。区分所有法は区分所有者全員が出席する総会を想定しているが、実際には委任状ですませる人が多いのが実情だから、そんなに大人数が集まれる集会室は要らないという考え方がある。今もその考え方があるだろう。もしそうでなければ、何百戸もある大規模物件の集会室はホールサイズになるはずだが、そんな例は聞かないし・・・。

 基本的には、そんな集会室を作るぐらいなら販売住戸を少しでも多く作る方がいいからだ。共用スペースは利益を生まないという考え方が大前提にあることはたぶん否定できないだろう。

 こう考えてくると、集会室を含めた共用部分のあり方がほとんど未成熟であることに気がつく。集合住宅なら共用部分の存在がもっと大きな意味を持つはずなのに、そうした議論を聞いたためしがない。分譲マンションには専有部分と共用部分の区別があって、共用部分はどことどこだといった議論は昔々からあったが、それはあくまでも区別の話に過ぎない。区別した後の使い方については、まずまともな議論が行われてこなかったと思う。

増え始めた空きスペースを活用する方向でコミュニテイを語るべき時期が来ているのでは

 4月になってから、同じ京都からもう一つ情報が届いた。この2月28日に京都市が開いたマンションフォーラムの議事録だ。その中に京都文教大学の佐藤知久氏の基調講演がある。「地域のまちづくりに貢献できるマンションとは」と題したその講演では文化人類学者の立場で論じた住宅の考え方が展開されるが、これが実に示唆と刺激に満ちていた。例えば、次のようなくだりがある。『・・・住宅ないし住居というのは、個人と家族をつないだり、個人ないし家族を社会とつないだり、あるいは切り離したりすることもできる装置なのだということです。つまり作り方によっては、家の形によって引きこもれる家も作れるし、引きこもらない家も作れる。その引きこもれないというか、じゃあそのつなぎ方をどうするのかというところなのですけど・・・いろいろな人が使える、共用できる空間というものは、マンションの中、それからマンションの外の住民同士をつなぐ装置として非常に有効に機能しうる可能性がある。・・・

 長らく分譲マンションの共用部分について飽き足りなさを感じていた私には、この発想が想像以上のヒントに満ちている気がする。

 マンションのコミュニテイが何かにつけて議論されることが多くなってきたが、どうも、そこはかとない空々しさとむなしさを禁じ得ないことが多い。かくあるべしといったコミュニテイ論がいくら力説されてみても、半分ぐらいの住戸に表札が出ていないといった現実を考えないわけにいかないからだ。

 ローンで買った分譲マンションの部屋のドアの外に何があるのか、それが自分の暮らしとどうつながっているのか、ドアの外をみんなでどう使うのかといった集合住宅ならではの「共用」観の議論が必要だろう。

 そうした発想で語れるコミュニテイの議論こそが、本物だと思うのだが・・・。
| muraitadao | コラム | 11:55 | comments(3) | trackbacks(1) |
 私の居住するマンション団地(居住棟4棟、共用棟1棟、878戸)には多くの集会室があり、それぞれ活用されています。最大のものは約220屐椅子を持ち込んで250人は楽に入れます。総会や理事会、各種説明会、文化祭、音楽祭、各種展示会、棟防災懇親会等管理組合の行事は主にここが使われます。また、コーラス、太極拳、ダンス等各種クラブ、サークルも度重ねて使用しています。
 会議や打ち合わせに使える部屋はほかに約35屬僚顕饉次普段は高齢者用の「生き生きサロン」と若い母親と乳幼児用の「キッヅルーム」(この二つは衝立で仕切ってあるだけなので、必要に応じて一つの会議室に出来ます。あわせて約70屐法更にシアタールームも必要時には会議に使えます。
 団地全体向けには以上ですが、このほかに各棟にそれぞれかなりの広さの談話室があり、居住棟4棟のうち2棟にはその上にそれぞれ25人入れるスカイラウンジがあります。
 平成20年秋から21年春にかけて国土交通省国土交通政策研究所が行った調査では、『共用施設とコミュニティ・維持管理の関係』として、(1)共用施設の有無 については《共用施設の保有状況は、マンションタイプによって大きな差があり、最も一般的な「集会室・会議室」でも、小規模型マンションでは設置されている割合が低い》、(2)共用施設とコミュニティの関係 については《「集会室・会議室」「屋外空間・広場」などの共用施設があるマンションでは、コミュニティ活動が活発》、(3)共用施設と維持管理の関係 においては《「集会室・会議室」があるマンションでは、役員会・理事会の開催頻度が高く、管理組合活動が活発な傾向》とされています。なお、この調査の中間報告は今年2月に開催された日本マンション学会東京支部の高層・超高層交流会で、調査担当者からなされています。
| 岩間 一昌 | 2010/05/12 4:31 PM |
コメントありがとうございました。
 お住まいのマンションでは様々な集会室の活用方法を実行しておられるということで、敬服いたします。多彩な活用法が同じペースで続くと、お住まいのマンションに特有の雰囲気が生まれることになります。この素晴らしい活用方法がずっと長く続くことをぜひ期待したいと思います。

 実は、今回のブログで私が問題提起したかったのは、集会室を含む分譲マンションの共用スペースの考え方の再点検でした。マンションの共用空間が「そのマンションに住む人たちだけのためのもの」だという考え方が何十年もの間マンション管理の大前提でしたし、その点はこれからも変わらないはずなのですが、今なおその考え方だけで何一つ問題がないといえるかどうか,この考え方に議論すべき点はないのかが,いつも気になっていました。 
 現状をみれば、建築後年数がたったマンションでは、高齢者が増えたり逆に子供の数が減ったり、空室が増えたりする状態が生まれ、マンションの共用スペースを竣工当初と同じまま「そのマンションに住む人たちだけのもの」という考え方で今も理解していいのかどうかという疑問が多くなってきています。
 結論を言えば、マンションの共用スペースを「マンションの周辺に住む人たちにも開放した地域のもの」という発想法が必要なのではないかという考え方も浮かぶのです。人の気配がないままの空室を放置しておくより何らかの方法で使うことや、高齢者や子供も地域の人がいっしょに顔を合わせられる方法を考えれば、住んでいる人自身にもメリットがあるのではないかとも・・・。

 今度のブログでに書いた京都文教大学の佐藤知久氏(少壮の文化人類学者です。)は、こうした場合「入会」(いりあい)に似た新しい発想がヒントになるのではないかと示唆しています。つまり、マンションの共用スペースを、マンションに住む人たちだけでなく、マンションの周辺に住む人立ちにも利用できる「地域レベル」の空間として考えられないかという発想です。

 これは、もはや分譲か賃貸かという区分を超えた考え方ですし、マンション学会などで昔から論じられてきた法律中心の考え方とはまったく異なる視点での新鮮な発想です。

 はっきりいって共用スペースの問題は、今までまともな議論の対象になっていませんでした。旧公団・公社物件はもちろん民間物件を含めて集会室が未整備な状況を私が標準管理規約改正の委員会で述べたのは、も15年前です。まったく注目もされなかったその時のむなしさは,今も記憶に鮮やかです。区分所有者数に対応した収容力を持つ集会室のあるマンションは、今もほとんどないでしょう。100戸以下のマンションに集会室がないのは、もはやとうの昔からの常識でした。

 国土交通省国土交通政策研究所がようやく共用施設の実情を調査してくれたこと自体に、一種の感慨を覚えます。遅まきながら、ようやく政策側で問題に気がついてくれたかとも、思います。あまりに遅すぎた気もしますが・・・。

 結局のところ、マンションの共用スペースや施設のあり方は、それぞれのマンションの管理組合が自分自身の問題として対応していくべき問題だと思います。その対応が、数年ではなく、数十年単位の長さで続いたときに、この問題の本当の答が出るのではないでしょうか。
 まだまだ多くの議論が必要な問題だと、あらためて痛感します。

 貴重な実例情報をお寄せいただき、まことにありがとうございました
| 村井忠夫 | 2010/05/13 11:28 AM |
 マンションの共用施設、特に集会室を地域の住民に開放するということについては理念としてはよく理解できます。特に当団地のコミュニティホール(約220屬僚顕饉次砲篭疥戮砲修譴世韻竜模のものが少ないこともあって、実態的には地域住民の利用がかなり多いのです。
 管理組合としては、団地住民が使用したくても出来にくい実情を考え、今月末の通常総会にその使用申し込みの方法を見直すことにしています。その「改正の趣旨」にはこのように書いてあります。
 『コミュニティホールは近年住民相互の親睦を図る場所として利用者が増加している。しかしながら住民の数より外部の人の割合が多い団体の利用が増え、住民同士でグループを立ち上げようとしても先着順のため使えないという不満の声が上がっている。また定期的に予約し使用している12団体の実態調査を行った結果、活動の主体が外部で責任者も外部の人の団体、講師が営業活動の疑いがある団体等、管理規約上問題があることが判明した。(以下略)
 (小会議室、シアタールーム、スポーツプラザについて)近年ペット仲間や趣味を通して多くの住民同士のグループが生まれ活動が活発化している。しかしながら相互の親睦を図る施設の数は限られ、今後利用者数が増加することを考慮して…(以下略)』
 つまり、コミュニティホールやテニスコートでは時に住民がはじき出され、あるいは住民はごく少数で8〜9割が外部の人という状況が出来、中にはこれらの共用施設を利用して講師やインストラクターと称する外部の人が授業料等をとって営業をするというような事態が発生したようです。
 こうなってくると「共用施設を地域に開放する」といったようなレベルの話ではないと思います。
 お考えに反論する気はありませんし、むしろ指摘される方向が社会的に求められているベクトルだとは思いますが、このような例もあるということです。
 
| 岩間 一昌 | 2010/05/13 8:46 PM |









http://murai.realestate-jp.com/trackback/955283
集会所ありますか?
集会所がなくても、新たにゲットできます。 後掲記事は、集会スペースの重要性を説いています。でも、全てのマンションにあるわけではない。空き室があり、それを借りる(買う)ことができれば、ラッキーですが・・・。 受水槽室、変電室…など既存の設備を“転用”す
| 神園良輔の『マンション展望』 | 2010/05/05 4:59 PM |
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【番外】11年目。公開遺言のつもりでブログを書き続けます
    マンション・チラシの定点観測 (11/26)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下 義男 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (11/23)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下義男 (11/23)
  • 2年半ぶりでメンバーも変わって再開のマンション管理検討会、たった1か月で結論を出すとは・・・・
    とおりすがり (04/24)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    村井忠夫 (09/06)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    まるーべり (09/06)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    村井忠夫 (06/26)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    ポリス (06/26)
+ RECENT TRACKBACK
  • 「沈黙は賛成じゃない」という論理。選挙や総会では?
    マンション管理の情報屋。。。 (09/22)
  • マンションの中の喫茶店が話題になる・・・・:マンションの共用空間の新しい意味をもっと考えていいのではないか
    神園良輔の『マンション展望』 (05/05)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • 女児マンション転落事故のニュースが浮かび上がらせたこと:どこのマンションでも同じことが起こる可能性にどれだけの人が気づいているか
    MANSIONS-COMMUNITY blog (04/15)
  • 「億ション」は最高が1億円なのか、最低が1億円なのか、それとも・・・:管理の基本原則は何億円でも関係ないが
    マンション展望 (02/16)
  • 「美しい国」で、これ以上「美しくないこと」が起こらないように:もっと集合住宅に住む不安を減らすための議論を
    マンション展望 (12/01)
  • 8年前の2月、国会でマンション管理をめぐる史上初の議論が行われた。そして、昨日の朝刊には・・・
    NONブログ (11/27)
  • 書名は買い手にとって本のすべて。本の名前と内容はなるべくなら、あまり違わない方がいいと思うのだが・・・
    高層マンション (08/27)
  • 新しい住宅が建たなくなったというニュースの怖い連想:暗い窓ばかりのマンションが思い浮かぶ・・
    マンション展望 (08/25)
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE