村井忠夫のマンション管理ブログ

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「沈黙は賛成じゃない」という論理。選挙や総会では?

 「棄権よりはマシ」という気分で出かけた都議選の投票率の低さはいったい・・・

     
 6月23日、嫌々渋々の気分で投票所に足を運んだ。何しろ、もう投票したい人物がいない。棄権とか白票を入れるという選択肢もあった。でも、そうはしなかった。60年間、棄権だけは一回もしなかったのだから。棄権したら、もう何も言えないじゃないか。今度もそう思った。

 結局、消去法で残った人物に投票した。まさに「仕方がない」「これなら、まだマシ」という心境での投票だった。

 こういうとき、自分が投票しようとしまいとどうせ結果はもう見えている、なるようにしかならないとはいつも思う。しかし、このままでのさばられたくないという意思表示の機会がほとんどないことをいつも忘れたくなかった。だから、選挙の投票というのは、たいてい「当選してほしい」という意思表示の集積ではなくて「当選してほしくない」候補者イメージへの反語表現となる意味もあるはずだと思ってきた。

 こういう考え方の人はまだいるはずだ。だから、そういう人たちはそれなりの意思表示をすればいい。まわりくどくて、ガス抜きめいた程度の意味しかなくても選挙はそういう機会になるはずだ。

 それなのにせっかくの機会を生かして投票しない人が半分以上もいる。まったく気が知れない。投票してこそ言い分も口に出せるはずだということに気づきもせず投票もしないでグダグダ言ってみたところで何になる…。

 「投票しない」人の意思は「わからない」。だから「わからない」人が多ければ選挙の結果もわからなくなるのではないか。

 ついこの間、小平市の住民投票も投票率が35.17%で不成立だったが、それは3月の市議会で住民投票条例が成立して「投票率が著しく低いと市民の意思を反映しているとは言えない」という市長の提案が可決されたからだと聞く。今朝の朝刊で小平市の都議選投票率をみたら、40%をかなり下回っていた。すると、この場合は、どうなるんだろう。

 小平市の条例がいうとおり、投票率は集団レベルの意思表示指標となる重い意味を持っているはずだと思う。

 しかし、今の選挙の仕組みにはそういう指標の高低に関わらず投票というプロセスさえ経れば、正当化される手続き本位の怖さがあるのではないか。棄権した人が半分以上いた選挙で当選した人がバンザイ!バンザイ!と叫ぶ光景の白々しさはこの実感と無縁ではあるまい。

賛成しない人が多くても手続だけで正当化するとマンションの大規模修繕工事もうまくいかなくなる!!

 意思表示がはっきりしなくても一定のプロセスで手続きさえふめば集団レベルの意思が確認されたと「みなす」考え方。この考え方は、本当はとても怖い。

 その怖さは、マンションの大規模修繕工事を管理組合が総会で議決する時のことを考えるとはっきりする。

 マンションの大規模修繕工事を法律や管理規約では「共用部分の改良」と呼び、条件によっては総会の出席者の過半数の賛成で可決できる。普通決議事項となるからだ。

 ところが、この考え方には落とし穴が隠れている。そもそも総会が全メンバーの過半数で成立する仕組みになっているので、その総会の出席者の過半数で決められるということは「過半数の過半数」つまり、全体のほぼ1/4強で決められるということになる。逆にいえば、3/4近くの「賛成しなかった人々」がいても堂々と多額の大規模修繕工事に着手できる正当性が成り立つことになる。

 しかし、着工後になってこの「賛成しなかった人々」が工事の進行に協力しない場合が生まれると、たちまち工程に影響が生まれることになる。工費が上がることになるかも知れない。

 明確な意思表示をしない人々は、状況によって賛成しない立場に豹変する《隠れ反対派》に変貌する可能性が無視できなくなるのだ。法律解釈だけしか頭にない管理組合は、この点で計画にダメージを受ける。「沈黙は賛成を意味しない」ことを否応なしに思い知らされる可能性も考えておかなければならない。

政治家はマンションで管理組合運営を経験するといい、多数の人々の意向確認の重さを知るために…

 こんなことは、マンションに住んで管理組合の組織運営に本気で関わった人なら誰にもわかる。手続きだけ踏んで形式的な要件が揃いさえすれば組織レベルの意思が固まったという考え方の難しさを知るには、マンションの管理組合運営は打ってつけの場だ。

 政治家になろうとする人はマンションで管理組合の運営に携わりながら大勢の人の意向を確かめる難しさを実体験してみるといい。法律中心の手続きだけで意思決定を形式的に正当化すると実行段階でどれほど厄介なことになるかが手に取るようにわかるから。社会の縮図であるマンションで大勢の人々の意向を確認することの重さが身に染みてわかれば政治家としての立場には必ず役に立つはずだから。

| muraitadao | コラム | 09:35 | comments(0) | trackbacks(1) |









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