村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
初めて回収率が60%を超えた!よかった!おめでとう!

国交省の「マンション総合調査」2013年(平成25年度)版が、4月23日に発表された。

増えに増え続けてストック戸数も600万戸のレベルに達したマンション。国交省の発表データによれば1,450万人が住むマンション。だが、その管理の実情を知るための調査はきわめて少ない。今回発表された「マンション総合調査」が今でもマンション管理分野の全国規模の公式調査として唯一の存在であることがそれを物語る。

そんな「マンション総合調査」だが、実は調査票の回収率がいつも低かった。この調査は対象が管理組合向けのものと区分所有者向けのものに分かれるが、初期の昭和55年度・63年度の調査を除けば、この20年間の回収率が50%に及んだためしがない。

念のために書けば、管理組合向けの場合、平成5年度が49.0%、平成11年度が45.4%、平成15年度が42.3%、平成20年度が47.9%というレベルである。区分所有者向けは平成20年度の49.3%となるまでは。ずっと30%台だった。

そんな状態の回収率が、今回の調査では管理組合向け調査で63.8%、区分所有者向けで65.4%となっている。正直にいって、驚いた。

調査は回収率でその信頼性が決まるのだから、質問された対象のうち答えた対象者がどのくらいになったかは、どうしたって気になる。回収率が低ければ質問されても答えなかった人が多いことになり、結局のところ調査で確かめようとしたことが「わからないままだった人」が多かったことになる。

だから、目安として少なくとも50%を超えていなければいささか不安になる。「マンション総合調査」の場合は、こういう意味で、これまで管理組合の半分以上が「答えずに黙ったまま」で「わからない」状態だったことになるのは否定できない。

今度の調査で回収率が60%を超えたのは、その意味でとてもよかった。何かにつけて調査を見るものとしては、率直にいってうれしい。

本当の問題は「答えなかった」管理組合と区分所有者の方に隠れている!

だが、改めて思うのは、この調査に答えなかった管理組合と区分所有者の実情だ。具体的にいうと、こうなる。

この調査は質問項目が非常に多い。数だけではない。答えにくい質問がずらりと並ぶ。無記名アンケート調査票が届いても、受け取った管理組合や区分所有者には答えられない質問や答えようと考えても答えられない質問が次々に並んだはずだ。

例えば、管理組合向け調査で《通常総会への実際出席率》とか《理事会議事録の広報はどうしているか》といった質問には、質問の意味や回答すべき事実の把握さえ難しいケースがあるといえる。

とすれば、この調査の質問に答えたのは相対的な意味であまり問題がない管理組合が多いはずだったといえそうだ。逆に考えれば、「答えたくても答えられない」とか「いつも気にかかっているが答えるための実情がわからない」管理組合の方にこそ、マンション管理をめぐる本当の問題が隠されていることになる。

そう考えると、この調査には「答えなかった管理組合と区分所有者」の方にこそマンション管理分野の本当の課題が隠されていることが浮かび上がってくる。

マンション管理の複雑で厄介な実情を知らない人ほど、この調査のデータを具体性のない数字比較だけで表面的に見る傾向が目立つ苦々しさも、この点と関わりがあるはずだ。

データ地域区分をせめて調査概要に。「どこのマンション」も同じではない!

今回の調査では、データの集計区分に「地域」と「都市圏」が今回から加えられたのもありがたい。しかし、率直にいえば、やはり不満が残る。地域の区分があまりにも大まか過ぎるからだ。

「地域別」では《北海道・東北・関東…・近畿》といった程度の表示だし、「都市圏別」は《東京圏・名古屋圏・京阪神圏》だけでそれ以上のことはわからない。東京も神奈川も区別できないし、大阪と神戸の違いも確かめようがない。

マンションは、属地性の強い住居であって《どこに建っているか》という立地条件で同じ規模や建築後年数のマンションでもすべて実情が違う。

しかし、調査結果をまとめる都合や制約があるだろうから、この点に細かい対応は無理だろうと思う。

だが、せめて冒頭の調査概要の部分などに、調査対象と回答者の都市区分ぐらいは出してほしい。このままのデータ集計では、マンションなんて東京湾岸も札幌も鹿児島も同じでにたようなもの・・・という現実離れした空論がまかり通ることになってしまう。

それにしても、メデイアのこの調査に対する無関心ぶりは相も変わらずだ。気づいた限りでは、日経朝刊に出た2段の記事だけ。その見出しも『マンション世帯主 60歳以上過半数 国交省調べ』でおしまい。何ともはや・・・・。
| muraitadao | コラム | 08:30 | comments(2) | trackbacks(0) |
無回答のマンションにこそ問題がある、との指摘は、さすがです。
| まるーべり | 2014/09/06 6:53 PM |
まるーべり様 コメントありがとうございました。
 どんな調査でも、出た結果が事実そのままとは限りません。結果を裏側から読むことによって、実態が浮かび上がってくることはよくありますからね。
 マンション総合調査の場合は、理想的な望ましい状態の実現度を聞く質問が多いだけに、答えようとする側は《理想的でない》程度が大きいほど答えたくても答えられなくなります。正直に回答しようとする真面目な管理組合ほど、そうならざるを得ません。
 管理組合の実情を知っている人間には「問題が多くて、答えたいのに答られない管理組合」のもどかしい姿が浮かび上がってくるのです。
ありがとうございました。

| 村井忠夫 | 2014/09/06 9:29 PM |









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