村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
子どものいるマンション、いないマンション―光景の中にマンション管理の盲点が隠れていないか
「こどもの日」の意味は「《こども》について考え直してみる日」ではないか

 5月5日が「こどもの日」だとは考えないまま一日過ぎてしまう人はけっこう多いのではないか。そういえば4月29日が「昭和の日」であり、5月3日が「憲法記念日」であり、5月4日が「みどりの日」であることも、気がつかないままの人が多いのではないか。ついでにいえば、5月6日はいったい何の日なのか。

 連休、連休と騒がしくメディアがいうおかげで、4月から5月までの10日近い日数が「ひとかたまりの休日」となって、いちいち今日が何の日かなどということはもう誰も気にしなくなっているのは間違いなさそうだ。

 大きなことはいえない。実は、5月6日がいったい何の祝日なのか、正直なところいくら考えてもわからなかった。で、カレンダーをよくよく見ると「振替休日」とある。ますますわからなくなってきて調べてみたら、祝日法で制度的に定められているという。なるほどな…と思った。

 そこまで考えると、5月5日が「こどもの日」だなどと言ってみたところで、今の子供が「端午の節句」という言葉が説明抜きで通用する時代の子供とは、もうまるで大違いではないかという気分が浮かんでくる。

「子ども」は「大人でない人間」という意味で、今でも何となく曖昧な感じで20歳未満をさすことが多い。でも、今はもう18歳選挙権が現実的な話になっているし、もっと生々しいことでいえば、今年の川崎市中1男子生徒殺害事件の主犯格が18歳だったことでもはや18歳が単純には「子供」とはとてもいえなくなってきていることに思い当たる。

 5月5日は「こどもの日」というより「《子供》の意味を考え直してみる日」の意味の方が大きくなっているのではないか。

 高齢化という問題が今や、65歳以上なら70歳でも90歳でも100歳でも同じと一律に考えるわけにいかなくなってきているのと同じように、すべての仕組みが年齢と照らし合わせた実情点検を要すると切実に思う。

仕組みと年齢実態とのギャップがそのままマンションに浮かび上がる!誰も見落としている実情が・・・

 何十年も昔からいい続けてきたが、マンションには社会の実情がすべてそのまま浮かび上がる。マンションは大勢の人が住む集合住宅は社会の実情をミニサイズに凝縮した縮図だからだ。

 マンションは鉄筋コンクリート造の長寿命建造物だからどんなにボロボロになっても壊される日まで同じ場所に建ち続けるが、そこに住む人は借りて住むか、持って住むかを問わず、その時代の実情をそのまま反映する。

 分譲という建築当初の便宜的な分類が実質的に変じて賃貸化したマンションなどもはや珍しくもないし、当初はまったく考えもしなかった外国人の借り手が増えて在住区分所有者と隣り合って住み、管理組合が英語の広報をしなければならないなどという例もある。以前は核家族居住者が普通だったマンションが今や高齢居住者ばかりになった例などは、もはや話題にもならない…。

 どの例も、マンションが物理的な意味で竣工時の時代相を如実に反映しながら、居住者の方はその時代ごとの実態をありのままに映しだすという建物と居住実態とのギャップにほかならない。

 このギャップをどうにかする鍵は、管理の側面に注目することしかない。管理という課題は、すべての財物が当初の目的をどこまで維持確保できるかという認識で実現が支えられるからだ。住宅はすべてその意味で管理が存在意義を左右する典型であって、マンションも例外ではない。

 年齢は時間経過と裏表になる指標だから、こうしたギャップがとりわけ集中的に浮かび上がる。マンションの場合は、管理がすべて組織レベルで進められなければならないから、こうしたギャップもまた個人住宅よりもはるかに鮮明な形で現われざるを得ない。

 ギャップは想定された理想図と目前の事実との食い違いを物語る。その食い違いが、マンションでは管理の側面に集中して浮かび上がるが、どこのマンションでも管理組合が直面している実情に合わない管理の仕組みはその典型だろう。マンションごとの違いに対応した管理組合の組織の考え方、その組織を動かすルールの基本となる管理規約にマンション固有の実情をどう織り込むか、その管理規約の基本的な方向を示す公式の見解はどういう形で示されるかなどといったことが無数に浮かび上がる。

 だが、ほとんどすべてのこうした課題に、いま年齢という年数経過を示す要素がまったく織り込まれていない。物事を決めるという意思決定の難易は、関係する人数に比例するから、多数の意思決定は少数のそれよりもさまざまな配慮が必要になる。だが、そうした人数規模は意思決定原則には関係ない決め方になっているから、大戸数の超高層マンションも小戸数の低層マンションも同じ考え方になる・・・・

 きりがないから、もうやめるが、マンションの高齢化はこうしたことを考える場合の典型例となる。働き盛りの家族居住者を前提にしたマンションが、いまや劣化した建物に単身で進むケースにこの実情を当てはめれば、単身者のシテイライフを想定して建てられたいまは最新の超高層マンションにも経年変化による劣化は必ず起こり、居住人口の減少と老齢化に直面する日が何十年か後に必ずやってくるが、その時はどうなるのかという予想図に。

コミュニケーションは子供がいてこそリアルになる!マンションで育った子供がそのまま大人になっても住めるコミュニケーションの確保が管理の命綱

 具体的な論点を一ついおう。

 マンションのコミュニケーションやコミュニティと子供との関わり方の再確認である。

 多くの実例を考えてみても、昔コミュニティが問題にならなかったマンションには必ず子供がいた。マンションの光景にはいつもどこかに子供がいたし、子供の声が響いていた。子供の親たちが玄関や中庭などで立ち話をする光景があった。

 そうした光景の中の子供たちが大人になった日、ある場合は他所に転出していき、ある場合はパラサイトシングルとなって今も同じマンションに住む。昔の子供同士は今はもう接触する機会が減ってお互いのコミュニケーションは弱くなり時には消え去ってしまうが、親同士は住み続けている限り今もコミュニケーションが残り続ける。

 マンションのコミュニティとかコミュニケーションは事実上子供の存在によって大きく支えられることにあらためて気づく。子供たち同士がまず友達として結びつき、その子供同士の行き来が親同士を結びつける。マンションのコミュニティやコミュニケーション機能によって管理組合の組織事情が左右される実態は、実は、子供たちの存在が大きく関わっていることに思い当たる。

 人口減少時代を迎えて子供のことや子供の成育環境の確保が議論されることが多いが、マンションという集合住宅がそうした課題とどこかで接点を持っている点について、もっと気づかれてもいいのではないか。マンション管理の仕組みが区分所有者だけを重視した発想で組み立てられており、居住者というマンション特有の当事者へに注目しない発想が、年齢とか家族という側面をいつまでたっても反映できない結果を生んでいるのではないかという気がする。
                          ☆
 ただし、こうした議論はあくまでもそれぞれのマンションごとの居住者年齢の実態把握が前提になる。この点を確認しないままの議論では、相変わらずの実現不可能な理想論にとどまってしまう。

 となれば、そこをどうするか。方法はある。しかし、標準管理規約など公的な制度上の発想には、こうした問題意識がまったくない。

 今のマンション管理システムの盲点が、ここにもある。
| muraitadao | コラム | 08:13 | comments(0) | trackbacks(0) |









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