村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
“朝日誤報”1周年。マンションで新聞がどのくらい読まれているか新聞社の人は知っていますか?
8月5日は70年あまり読んできた朝日新聞に抑えようもなくがっかりした日だったが・・・

 8月5日。去年も、この日は暑かった。いつものように広げた朝日新聞朝刊に出ている記事がよくわからない。1面の左側には編集担当の何とかいう人の名前で「慰安婦問題の本質 直視を」という見出しの記事がある。「編集担当」とだけ出ている名前など、もちろん知らない。単なる一記者の書いた記事のことだったら、6段も通した記事の長さというのは何とも異様に大袈裟で奇妙だなと思った。

 よくわからないままページをめくって、「読者のみなさまへ」という欄に気がついた。「・・・記事を取り消します。・・・見抜けませんでした。・・・得られませんでした。・・・明らかになりました。」と6行ほどの短い記事。間違っていたから取り消すこと以外には特に何も書かれていない。

 よく言えば「淡々と」ということだろうが、記事のミスが「わかった」から取り消したからね・・という感じの書き方は他人事めいて、いつもながら印象がよくなかった。

 新聞は情報商品である。毎月4000円、年間5万円近く払って読んでいる《読者のみなさま》あての文章なのだから、記事が違っていれば商品に欠陥があったことになる。そういう考え方も長年の新聞で反射的に浮かぶほど刷り込まれている。だから読者は欠陥商品を知らぬうちに買わされていたことになるが、そのことを新聞社としてどう思っていたのかを一番知りたかったのだが、その点については何もわからなかった。

 でも朝日新聞には、昔からいつもこういう他人事めいた感じがあった。頭のいい役人の言い方に似た特有の冷たいかすかな感じが紙面にあるから「あっ、今度もまた同じだな・・・」という気がしたのだ。

 その後のことはもう書くまい。だが、正直にいうと新聞記事を真に受けるとろくなことはないと昔から考えてきたが、「いまだに相変わらずなのか」という気分が抑えられなかった。

 太平洋戦争中は「進め一億火の玉だ」だの「鬼畜米英撃ちてしやまむ」だのと並べ立てられた記憶に、戦後の《伊藤律が月光の中に現れた会見記》だの《カラー写真で報じられたサンゴの落書き》だのの記憶が重なって、やれやれまたか・・という感想が舌打ちしたい気分で浮かんできたからだ。

 8月5日の紙面はいくら読んでも物々しく長ったらしい釈明ばかりで、間違った記事を読まされてきた読者あてのお詫びの言葉は見つけにくかった。いま思い返してみても、そこが残念だったと思う。

朝日の記者が書いた本にも納得感はない。読者のことはそれほど気になってもいないようだが・・・・

 朝日はいったいなぜいつもこうなんだ?という疑問があった。果たして、書店の店頭には朝日を叩く本が予想どおり並んだ。そういうのは別にして、これはと思うものを少しだけ読んでみた。昔から読んできた雑誌「創」はもちろん、朝日新聞記者という著作名義の本も何冊か読んだ。それと、池上彰さんのものも何冊か。

 朝日の人が書いた本の中には、漠然と気にしてきたことがいくつも当事者の言葉ではっきり書かれていた。朝日新聞記者有志という著作名義の「朝日新聞 日本型組織の崩壊」(文春新書)を読むと、実名を伏せて書いた本音かどうか。「日本最高のインテリ集団のプライド」だの「直言すれば唇寒しの官僚社会」だのというのもあって鼻白んだが・・・。

 70年以上読んできた朝日新聞もそろそろこのへんが見切りのつけどころかという気分がし始めていた。だが、結局。そのまままた1年が過ぎてしまった。

 でも、この1年来、新聞の伝えていることは本当にそうなんだろうかという感じを抑えて我慢しながら読む気分は、むしろ今までより強くなってきたような気がする。

 ぜひ読みたいと思うような記事があまりなくなってきたし、半分ぐらいは読んでも読まなくてもいいような紙面だし、記者の個人名にいちいち編集委員だの何とか部長だのとある記事では意見を押し付けられたくない気がして敬遠したくなる・・・といった読み方では毎日40ページもある紙面の半分以上が読まないままのただの古紙になってしまう。

 そもそも新聞社の人たちは、自分たちが発行している新聞の朝刊夕刊合わせて50ページもの紙面を、ほんとうに全部隅々まできちんと読み切れているのだろうか。

 読まない紙面が多ければ、いったい毎月払っている4000円は何の対価なのだろうか。

新聞の読まれ方を再点検するためにぜひマンション居住者の新聞購読実態調査を!新聞社は調査がお得意なのだから

 あらためて思うのだが、新聞社の人たちは自分の書いた記事が載っている新聞がどのように読まれているかという実態をどこまで知っているのだろうか。新聞がどのくらい読まれているのかという最も重要な実情について、40ページ以上のまるごとの部数単位の購読数データではなく、もっと内容に触れた読まれ方の実態をどこまで確かめているのだろうか。例えば、社説はどうか、一面はどうか、ラジオテレビ番組はどうかといった読まれ方を新聞社はどのくらい確かめているのだろうか。

 まさかとは思うが、もしもこうしたことがわからないままだったら、ぜひ調査してほしい。新聞社は調査が得意なのだから。
                                                                ☆
 大まかな部数単位の読まれ方ではなく、もっと具体的な読まれ方を知りたかったら、マンションで新聞がどのくらいの人にどのように読まれているかを調べてみるのが一番いい。

 マンションという都市型集合住宅は、本来なら新聞読者像の生活空間とかなり一致しやすい。新聞社にもマンション住まいの人はたくさんいるはずだし・・・。

 新聞には平均的な情報入手手段の定番的なイメージがある。今もそう考えている人は少なくないだろう。

 管理組合の広報紙の基本的なイメージが今でも新聞スタイルになっていることや、そうした広報紙の記事表現方法や紙面の作り方が新聞を基本形として考える人が多いことを考えると、それがよくわかる。

しかし、実は、マンションで新聞を読む人は、もう確実に減っている。ニュースはスマホでいいという感覚の人に、新聞はもう無縁の存在になってきている。新聞で読んだのだが・・といった切り出し方の話は相手の世代を考えないと通じにくいことが多くなった。

 新聞販売店の配達員が抱えてくる新聞の数を見ると、そこがよくわかる。昔は見るからに重そうだった部数がかなり軽そうな量になっていて配達部数の減り方がよくわかる。

 新聞古紙回収日の朝の光景をみると、ここがもっとはっきりする。毎月1度、新聞社が古紙を回収する日の朝は、マンションの共用部分のあちこちに回収用袋に入れた古新聞の包みが置かれているのだが、その数が目に見えて減った。朝日の場合は、その減り方がとくに目立つ。

 でも、朝日以外の新聞の古紙回収日の朝の光景が増えたという感じがあるわけではない。結局、新聞を読まない人の方が多くなってきているのだ。

 新聞社には調査機能がある。何かあれば、すぐ世論調査の結果を伝えるではないか。

 その調査機能を生かして、ぜひマンション居住者の新聞購読状況の実態調査をぜひやってほしい。


管理組合自身も居住者の新聞購読状況を確認して広報の在り方を再点検する方がいい

 管理組合自身もマンションで新聞がどのくらい普及しているかを調べてみる必要がある。何かを「知らせる」という情報発信機能の象徴となるのは広報だが、広報は管理組合組織活動の盲点中の盲点となってきた実情がある。

 標準管理規約などに何一つ定めがなくても情報発信機能を担う広報の重要性を知っている管理組合は、それなりに模索を重ねながら独自の考え方で広報を実行してきた。その一致した現われが、管理組合新聞であり、管理組合ニュースという形になる。

 どうしても知らせたいことを伝えようとするときに、こういう問題はこういう言葉を使って、こういう言葉で、いつ、どのように知らせるかという広報感覚のモデルを新聞が果たしてきた役割の大きさは、たぶん新聞社の人が想像しているよりもはるかに大きい。

 しかし、新聞を読む人がこれほど減ってくると、この考え方がもう成り立たなくなる。かといって、管理組合の情報発信をスマホでやればいい、というわけにはいかない。クラシックなFAXでさえおぼつかない高齢者がいるのだから。デジタルデバイドなどという言葉を持ち出すまでもない。

 情報の発信受信をめぐる世代差は、こういう形でも現われている。
| muraitadao | コラム | 09:51 | comments(0) | trackbacks(0) |









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