村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
その時、どこで、何をしていましたか?長い長い年月が過ぎて分かることがどれほど多いか
40年来のマンション住まいと管理経験を書いたコラム。最終原稿を送稿して一息・・・・

 マンション管理関連のある媒体にかなり長く書き続けてきたコラムをようやく終わる機会が来て、今日その最終回の原稿を書いていま送稿した。ずっと書いてきたのは、固くて難しい論調が中心の学術論文誌の中に、ちょっと一息つけるような気分のページが欲しいと言われて引き受けてきたもので、毎号2ページほどの文章だった。

 紙面のほとんどが望ましいあるべき姿を語る論文だから、息抜きのコラムは建前と違う本音を書くのが一番いい。昔に比べればマンション管理について語られることは格段に多くなったようだが、それでもやはり誰も語ったことがない盲点がいっぱい残っている。

 それを書く方がいい。そう思ったが、書き始めてみると書く素材が山ほどある。何しろ、マンションを巡る新しい問題が増え続けているし、マンションは増えに増えて今やもう600万戸を超えている。数が増えるとともに実情も複雑化して、問題は山積する一方だ。

 論じられる問題と目前に姿を見せている問題の間のギャップがことごとに気になる。

 そうしたことを考えて書いてきたコラムの最終回の原稿。最後に何を書こうかとしばらく考えたが、結局。自分自身の経験を書いた。

人生の半分以上を過ごしたマンションを語るなら 遺言めいた感じになるが・・・

 経験を語るのだから、率直に書いた。「4棟600戸のマンションに住み始めてから40年を超えた」という書き出し。続いて、こうも書いた。「同じ分譲マンションに住み続けた日々は、管理組合の様子を見つめ続ける日々でもあった」と。

 大したことを書いたのではない。ただし、年齢を重ねてきた人間にはっきり言えることが少しある。その一つは、マンション管理というのは、年数がたって建物も人間も古くななっていく実情を確かめて「どう対応していくか」ということと、そうしたことが個人レベルでできるのは一戸建て住宅だけであって「集合住宅では組織レベルでないと手に負えない」という当たり前のことだった。

 書きながらまず思ったのは、40年以上前の自分はまだ40歳代前半だったこと。そして、一途にひたすら大規模修繕工事などマンション管理の課題に取り組んでいたが、何十年も過ぎた将来のマンションの光景を当時どのくらい思い描いていたかどうかを。
                                            ☆
 いま、その当時に想定していた時期が来ている。大規模修繕工事はその後また2回目の時も、やらなければならないことになった。計画から工事終了までフルのプロセスを2回経験したことになる。

 ほかにも、マンション管理についての課題は、かなり手がけることになった、その都度600戸1000名以上の居住者への対応に直面する日々の連続だった。
                                             ☆
 思い出すことが多すぎて、書き方をまとめるのに骨が折れるコラムになった。

戦後70年、戦後70年・・・・。思い出すのはそれから10年間の生活の記憶の方が多い

 きょう8月15日。戦後70年。

 70年前の80月15日に、70年後のことを思い描いていたか。

 それどころではなかった。何しろ、あの日は、目の前で起こっていることが何一つ分からなかったから。明日がどうなるのか、など、とてもとても考える余裕はなかったから。昨日までのことが今日のいま見ていることとどうつながるのか考えたこともなかったから。

 何もかも分からなかった。

 実感からいえば、戦後70年は戦後の10年間、20年間の記憶で浮かぶイメージの方がはるかに強い。戦争が終わったってホッとしたのは日が暮れて夜になってももう明るい灯の下で何も言われないこととか、辛うじて使えたラジオで天気予報というものがあったんだと思い出させられた時のうれしかったこととか、ヤミ市と空腹がいつも重なっていた記憶など限りがない。

 そんな記憶に、食糧不足で法律を守り通して配給だけで生活していた山口さんという判事は餓死した記事を新聞で読んだ時のショックなどが重なる。

 戦後の20年ぐらいは、今もそうした形で思い浮かぶことが混沌としている。
                                                ☆
 戦後70年、戦後70年としきりに繰り返されるのが、本当は気に障って仕方がない。すべてのことがいろいろな歴史の物語として語られているからだ。戦後の惨憺たる生活については、滅多に語られることがない。

 戦後の歳月を語るのは、そうした資料による物語だけになってしまったのだろうか。

マンション管理の議論が生活次元の視点を欠いているのにも同じことがいえないか

 また最初の話に戻る。戦後70年のうちマンションで40年過ごしてきたのだから、戦後70年はマンション40年抜きでは語れない。

 だから、考えること、言いたいことが山のようにある。マンション40年には戦後70年の歳月の流れがそっくり重なる。

 だから、マンションを法律論だけで考える発想に納得がいかない。マンションを住宅として考えることができない人を信用できない。マンションはそこに住む人間の様子がそのまま映し出される世界であることを理解できない人に本音を語りたくない。

 それもこれも、マンションが生活の場としての住宅であるという感覚と結びついている。
                                                  ☆
 戦後70年。すべての記憶は8月15日からの戦後の日々に重なる。それが70年後の今のマンションを見つめる視点にもつながっていく。
| muraitadao | コラム | 14:09 | comments(0) | trackbacks(0) |









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