村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
管理規約改正を管理組合に相談されたら どう答える?まず考え方の再点検が先決・・・
昨年も一昨年も9月5日のブログでは 検討会の標準管理規約改正がどうなったかを気にして書いたのだが・・・

 9月に入った。ふと思いついて、昨年と一昨年の9月5日のブログを読み返してみた。どちらも、国土交通省のマンション管理検討会の標準管理規約改正がどうなっているのかを気にして書いている。つまり、2年続きでこの問題が気になってきたわけだ。

 国交省は《マンションの新たな管理ルールのあり方》なるものを検討するために設けた検討会を2012年(平成24年)1月から開いてきた。ところが毎月きちんと開いていたこの検討会が7月になって10日間を挟んで2回となり、8月は月末ぎりぎりの29日に第9回目を開催したあと、どうしてかまったく開かれないままになってしまった。

 この検討会では標準管理規約の改正がテーマになっているから、毎月の議論のいきさつが多くのマンション管理関係者の注目を集めていた。そんな中での開催中断だった。

 すでに検討会の様子はそれなりに話題になっていたが、この種の会合でありがちな予定調和的な展開ではなくこれほど議論百出するなら、むしろそれなりに意味があるのではないかと思いながら経過を見ていた。マンションの管理組合で議論百出するなどザラのまたザラで慣れっこでもあるし・・・。

 ところが日が過ぎるばかりで、何ひとつ様子が分からない。分からぬまま、結局1年たってしまった。

 で、2013年(平成25年)9月5日のブログには、こう書いた。『マンション管理よりも検討体制の管理の方が優先課題では・・・』

 しかし、事情不明なまま。さらにまた1年がたった。2014年(平成26年)9月5日のブログには、次のような見出しでこの状況が気になっていることを書いた。『マンション管理検討会 とうとう休会満2周年』

 その後やっと今年2月に第10回が再開されて、やれやれと思ったら、今度は予想外の早さで翌3月の第11回目で早々とおしまいになった。その最終回の議事録を見ると、一番最後の部分の国交省関係者の挨拶で《これから国土交通省としてパブリックコメントを行いまして、標準規約等の改正を夏頃までには行っていきたい》というくだりが出てくる。

 その「夏頃」ももう終わり。今年の9月5日のブログもまた成行き不明状態で書くことになるらしい。標準管理規約改正の成り行きを気にしながら待っているあちこちの管理組合のことが伝わってくるのだが・・・。

3年がかりの改正がゴールしない「標準管理規約」はこんなにマンションが多様化してもまだ「標準」を標榜できるのか

 事情不明なまま3年が過ぎた間に、おのずとはっきりしたことがある。

 それは「標準」を標榜する公式ルールが改正すべき点を未改正のまま3年間を経過しても、実際に困った局面に立った管理組合があったとはまったく聞いたことがないからだ。未改正状態のルールによって特に問題がなければ、そのルールの存在感は薄くなる。つまりなければ困るニーズの切実度は低くなるわけだ。

 こう考えていくと、3年間放置されたままの標準管理規約の存在感が薄くなったことはまず間違いあるまい。そんな感じの公式ルールが、これからも「標準」を標ぼうできるのだろうか。

 標準管理規約が生まれたのはもう33年も前1982年(昭和57年)。国交省発表のマンションストック戸数のデータによれば、この頃のストック戸数は119万戸だった。最初の改正は1997年(平成9年)。筆者も参加したこの改正で単棟型・団地型・複合用途型の3通りになったが、この時のストック戸数は334万戸でストック戸数は標準管理規約制定時の3倍近くに増えていた。それから改正を重ねた現在のストック戸数は613万戸で、標準管理規約制定時の5倍を超える。

 数字の増加と並行して実態も多様化した。超高層物件が示す大規模化、高層化の一方で高経年化した中古化も進んだ。マンションはもともと個別性が強い建築物である。数字の上では年数や規模がまったく同じでも居住者や立地条件によって竣工後の状況は多種多様に変わる。単純化して言えば、大きなマンションと小さなマンション、新しいマンションと古いマンションでは、実情が一変する。団地型なら棟による違いもある、高層物件なら低層階と高層階の差もある。

 そうした違いを反映して、管理の実情も千変万化することは明らかだ。

 管理の対象がこれほど複雑化し多様化しているのに、ルールは18年前のままである。18年前の改正で、想定されるマンションのイメージがそれまでの単純なものから単棟型・団地型・複合用途型に変わったが、その後まもなく想定対象の分類がこのパターンだけでは実情に合わない不都合さは何かにつけてはっきりしてきた。そもそも棟数だけで分ける考え方は高層化による階数増には対応しきれなかったからだ。1棟でなければ2棟も5棟も同じ団地型でくくられるのも不都合だった。

 超高層マンションがもう珍しくないほど増える一方で、古くなった低層総戸数マンションや空家に悩むニュータウンも建ち続けている。

 標準管理規約を改正して、これからも「標準」を標榜し続けていこうとするなら、こうしたマンションの多様化複雑化の実態をもっと反映する必要がある のではないか。

「管理組合の役員は大所高所から資質・モラル・能力に着目し・・・」なんて どこのマンションの話ですか?

 2年半の休会後あっという間に閉幕となった検討会。その検討会の検討結果がまとめられた平成27年3月付の報告書がある。

 その報告書の10ページには「役員の資格要件及び欠格要件について」という項目がある。昔から言われ続けてきた管理組合素人集団説に対応して外部の専門家の知恵を活用することを提言した部分の2項目だが、その部分に、次のようなくだりがあって改めて言いようもなく気になった。気になった部分を原文のまま紹介する。

《【本検討会での方向性】
○管理組合の役員は、マンション全体の管理の適切なあり方を大所高所から検討し、利益相反等に留意しながら、適正に担当する業務を行う役割を担う者として、個人的資質・モラル、能力に着目して総会において選任されることが必要である。・・・》


 いやはや、どうも・・・という気分だというほかない。

 長い記述の中の一部分だけを抜き出してあれこれ言うのはあまりけっこうではないと思うが、それにしても・・・と思う。大時代な言葉づかいもさることながら、こういうことをこういう表現で公式レポートに述べること自体が、前提となる発想の様子を浮かび上がらせているように思う。

 【検討会の方向性】と題した部分にこうあるのだから、3年がかりの検討会の議論レベルの一端が垣間見えると思うのは考え過ぎか。
                                                                 ☆
 標準管理規約は、本当に標準的な存在であり得るのだろうか。
| muraitadao | コラム | 10:39 | comments(0) | trackbacks(0) |









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