2015.09.15 Tuesday
文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
ずしりと重い黄色の箱入りで届いた東京都庁からの料金後納郵便の中身は・・・
9月5日の夕方、郵便受けに入っていたのは東京都庁から送られてきた黄色のボックススタイルのものだった。13cm×18cmの大きさで厚みも2cm。ちょっとしたハードカバーの本ぐらいの重さ。何が入っているのだろうと思いながら開けると、「東京防災」と大きな字が表紙にある本、この本に合わせたらしいビニールのブックカバー、「オリジナル防災MAP」とある地図、それに都知事の挨拶状だった。
届いた日のすぐ後に関東北部の大水害、12日早朝の震度5弱の地震、14日の阿蘇山噴火などが続いて、まさに時を得たものが送られてきたと実感したのは間違いない。
1000円では買えそうもない感じのこのセットは都内の全世帯向けに750万部も作られたそうで費用もさぞや・・・と思うが、オリンピックの新国立競技場建設やエンブレムにつぎ込まれる膨大な公金の使い方に比べれば、はるかに意味があると思う。
今日も、テレビや新聞はまだ続いている行方不明者の捜索難航や着の身着のままで避難所に身を寄せている人たちの様子を伝えているのだし・・・。
同じものが都心3区、奥多摩、高齢世帯、若い単身世帯の誰に届いても役立つような工夫が浮かび上がる。でも・・・
だが、正直に言うと、どこか何となくすっきりしない感じもする。
こんなに持ち重りのするセットが、東京都内の687万世帯に配られたのだろうか。だとすると、まったく同じセットの内容を千代田区以下の区や奥多摩町や桧原村や伊豆諸島など島々の人も読むことになるのだろうか。
この本には、そうした点についての工夫が盛り込まれているのはよくわかるのだ。「東京防災」という防災ブックはおよそ330ページ。避難の説明が80ページ、災害に備えた防災が60ページ、地震や津波以外の災害が30ページ、救急法から避難の所要時間までを説明したマニュアルが50ページ、地震や異常気象の仕組みが50ページなど、まぁ至れり尽くせりの内容が絵入りで説明されている。
巻末の索引にも知恵が凝らされている。まず「秋雨前線」や「スマートフォンアプリ」「罹災証明書」など用語別が具体的だし、「ひとり暮らし」「高齢者二人」「外国人」など世帯別が居住実態に対応しようとしている。「学校」「エレベーター」「自宅」など災害に直面したときの場所別になっているのにも工夫が凝らされていると思う。
これは、急に体がおかしくなったときに開く家庭用医学本のように、必要な時に、必要な箇所を開いて、必要なことがわかるように使えることを考えた編集だといっていい。
一番最後に「TOKYO X DAY」というかわぐちかいじの漫画で締めくくられているのも、読ませようとして知恵を絞ったことが分かる。
ぱらぱらとページをめくった程度の印象でこれだけわかるのだから、正直に言って、よく考えられた配布品だと思う。
しかし、やはり気になる点がある。
これだけ「誰にでも通用する」ようにまとめられた内容であっても、「自分の場合には当てはまらない」部分が残るのは、もう絶対的な限界となることを否定できないからだ。
「自分の今」を確認できる各論情報の補完を。ウチのマンション版・オリジナル マンションMAPのすすめ
《いつ、どこに、いて、どんな事態に直面しているか》に対応できるものを求めるような完全主義まがいのことは考えていないにしても、せっかく届いたこのセットを生かすために必要な条件を確かめてみることは間違いなく必要だろう。
あらためて考えるのだが、こうしたセットは結局のところ総論情報であって、最終的にはこれに対応した個別事情に即した各論情報がどうしても必要になる。
マンションの場合は、とりわけそういう考え方の必要性を示す典型的な例になる。
マンションなら、ここにいう各論情報としてどんなものが必要なのかを少し具体的に考えてみよう。
このセットには、防災ブックといっしょにセットで市や区ごとに作られた防災MAPが入っている。防災MAPは市や区ごとにオリジナルなものができているし、エリアを細分化してかなり居住実感に近いものが作られている。
しかし、そういう防災MAPマンションでも自分が住んでいるマンションは記入されていない。これは、ある意味で当然だろう。市や区の立場から見れば、マンションに住んでいようといまいと住民の全体が対象なのだから。
しかし、逆に言えば、かなり実用性を考えて作られた防災MAPも暮らし方がまったく違う少数者用の一戸建て住宅と多数者用の集合住宅との違いにはまったく対応できないことを考えなければならない。市や区の防災MAPが盛り尽くせないことがあるからこそ、オリジナルな工夫を凝らした各論情報が必要だということがはっきり浮かび上がる。
☆
マンションごとに作った方がいいオリジナルな各論情報の典型例は、ウチのマンション版・マンションMAPである。
パソコンで利用できる地図を利用すれば、拡大も縮小もできるから、マンション周辺バージョンを作って、そこに避難所、バス停、電車の駅、公衆電話、コンビニ、スーパー、病院、学校、警察、消防署、電力会社、ガス会社、電話会社など、マンションで暮らす人の知りたいところを書き込んで○○マンションMAPを配布するだけでも、都庁から届いた防災MAPが格段に生きてくる。
これとは別に、ウチのマンション・構内バージョンを作って、集会室や管理事務所、消火栓、階段、玄関、電気ガス設備などの位置を売れたものがあれば、なおいい。これは、超高層マンションなど大戸数規模の場合は、特に重要度が高い。
☆
同じことは防災ブックにも当てはまる。「東京防災」に対応したウチのマンション版防災ブックだ。
この場合、間違っても管理規約や区分所有法などのルールにこだわってはならない。まさかの時に管理規約の条文との関連をいちいち考えることはないはずだから。
そんなときに、まず《どうしてもこれだけは》というのは名簿や連絡先リストだし、マンションの中の集まり場所であり、住戸表示板やライフラインが止まった時の安否の知らせ方などだ。そういうことはすべてマンションごとにまったく異なるから、こうした情報の扱い方には徹底した自分のマンションベースのローカルな感覚がモノをいう。
☆
ここから先のことは、マンション管理の実情を現実的に考える人にしか語れない。
9月5日の夕方、郵便受けに入っていたのは東京都庁から送られてきた黄色のボックススタイルのものだった。13cm×18cmの大きさで厚みも2cm。ちょっとしたハードカバーの本ぐらいの重さ。何が入っているのだろうと思いながら開けると、「東京防災」と大きな字が表紙にある本、この本に合わせたらしいビニールのブックカバー、「オリジナル防災MAP」とある地図、それに都知事の挨拶状だった。
届いた日のすぐ後に関東北部の大水害、12日早朝の震度5弱の地震、14日の阿蘇山噴火などが続いて、まさに時を得たものが送られてきたと実感したのは間違いない。
1000円では買えそうもない感じのこのセットは都内の全世帯向けに750万部も作られたそうで費用もさぞや・・・と思うが、オリンピックの新国立競技場建設やエンブレムにつぎ込まれる膨大な公金の使い方に比べれば、はるかに意味があると思う。
今日も、テレビや新聞はまだ続いている行方不明者の捜索難航や着の身着のままで避難所に身を寄せている人たちの様子を伝えているのだし・・・。
同じものが都心3区、奥多摩、高齢世帯、若い単身世帯の誰に届いても役立つような工夫が浮かび上がる。でも・・・
だが、正直に言うと、どこか何となくすっきりしない感じもする。
こんなに持ち重りのするセットが、東京都内の687万世帯に配られたのだろうか。だとすると、まったく同じセットの内容を千代田区以下の区や奥多摩町や桧原村や伊豆諸島など島々の人も読むことになるのだろうか。
この本には、そうした点についての工夫が盛り込まれているのはよくわかるのだ。「東京防災」という防災ブックはおよそ330ページ。避難の説明が80ページ、災害に備えた防災が60ページ、地震や津波以外の災害が30ページ、救急法から避難の所要時間までを説明したマニュアルが50ページ、地震や異常気象の仕組みが50ページなど、まぁ至れり尽くせりの内容が絵入りで説明されている。
巻末の索引にも知恵が凝らされている。まず「秋雨前線」や「スマートフォンアプリ」「罹災証明書」など用語別が具体的だし、「ひとり暮らし」「高齢者二人」「外国人」など世帯別が居住実態に対応しようとしている。「学校」「エレベーター」「自宅」など災害に直面したときの場所別になっているのにも工夫が凝らされていると思う。
これは、急に体がおかしくなったときに開く家庭用医学本のように、必要な時に、必要な箇所を開いて、必要なことがわかるように使えることを考えた編集だといっていい。
一番最後に「TOKYO X DAY」というかわぐちかいじの漫画で締めくくられているのも、読ませようとして知恵を絞ったことが分かる。
ぱらぱらとページをめくった程度の印象でこれだけわかるのだから、正直に言って、よく考えられた配布品だと思う。
しかし、やはり気になる点がある。
これだけ「誰にでも通用する」ようにまとめられた内容であっても、「自分の場合には当てはまらない」部分が残るのは、もう絶対的な限界となることを否定できないからだ。
「自分の今」を確認できる各論情報の補完を。ウチのマンション版・オリジナル マンションMAPのすすめ
《いつ、どこに、いて、どんな事態に直面しているか》に対応できるものを求めるような完全主義まがいのことは考えていないにしても、せっかく届いたこのセットを生かすために必要な条件を確かめてみることは間違いなく必要だろう。
あらためて考えるのだが、こうしたセットは結局のところ総論情報であって、最終的にはこれに対応した個別事情に即した各論情報がどうしても必要になる。
マンションの場合は、とりわけそういう考え方の必要性を示す典型的な例になる。
マンションなら、ここにいう各論情報としてどんなものが必要なのかを少し具体的に考えてみよう。
このセットには、防災ブックといっしょにセットで市や区ごとに作られた防災MAPが入っている。防災MAPは市や区ごとにオリジナルなものができているし、エリアを細分化してかなり居住実感に近いものが作られている。
しかし、そういう防災MAPマンションでも自分が住んでいるマンションは記入されていない。これは、ある意味で当然だろう。市や区の立場から見れば、マンションに住んでいようといまいと住民の全体が対象なのだから。
しかし、逆に言えば、かなり実用性を考えて作られた防災MAPも暮らし方がまったく違う少数者用の一戸建て住宅と多数者用の集合住宅との違いにはまったく対応できないことを考えなければならない。市や区の防災MAPが盛り尽くせないことがあるからこそ、オリジナルな工夫を凝らした各論情報が必要だということがはっきり浮かび上がる。
☆
マンションごとに作った方がいいオリジナルな各論情報の典型例は、ウチのマンション版・マンションMAPである。
パソコンで利用できる地図を利用すれば、拡大も縮小もできるから、マンション周辺バージョンを作って、そこに避難所、バス停、電車の駅、公衆電話、コンビニ、スーパー、病院、学校、警察、消防署、電力会社、ガス会社、電話会社など、マンションで暮らす人の知りたいところを書き込んで○○マンションMAPを配布するだけでも、都庁から届いた防災MAPが格段に生きてくる。
これとは別に、ウチのマンション・構内バージョンを作って、集会室や管理事務所、消火栓、階段、玄関、電気ガス設備などの位置を売れたものがあれば、なおいい。これは、超高層マンションなど大戸数規模の場合は、特に重要度が高い。
☆
同じことは防災ブックにも当てはまる。「東京防災」に対応したウチのマンション版防災ブックだ。
この場合、間違っても管理規約や区分所有法などのルールにこだわってはならない。まさかの時に管理規約の条文との関連をいちいち考えることはないはずだから。
そんなときに、まず《どうしてもこれだけは》というのは名簿や連絡先リストだし、マンションの中の集まり場所であり、住戸表示板やライフラインが止まった時の安否の知らせ方などだ。そういうことはすべてマンションごとにまったく異なるから、こうした情報の扱い方には徹底した自分のマンションベースのローカルな感覚がモノをいう。
☆
ここから先のことは、マンション管理の実情を現実的に考える人にしか語れない。