村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
「決める」意味を考え続けた一週間:意見を尽くす時間と手数を軽くみると《決めた後》がむしろ大変
意見が二分する問題をバタバタと決めた結果をどのメデイアの世論調査もまったく認めていない!

 騒然たる日が過ぎた後、もう一週間になる。ほとんど前から分かっていたとはいいながら、これほど強引にバタバタと事が運ばれるとは必ずしも思っていなかった。気持の片隅で、もしかすると・・・と思っていたことを否定できないからだ。

 でも、そうならなかった。《そうなってほしくない》と思っていた通りの結果になってしまった。何とも言いようがない気分のまま日が続いている。

 この気分は多くの人に共有されているのではないか。

 あれほどの反対を押し切って強引に話を進める経過を見つめ続けるしかないもどかしさをほかの人たちはいったいどう感じていたのだろうか。

 思いついて、いろんな世論調査の結果をネットで調べてみた、質問の設定が違うから単純な比較を避けて共通性の強い項目を二つほど比較してみたが、少しホッとする気分になった。ネットで見た限り、産経以外はすべて19日と20日の調査であることが明記されている。

【安保関連法成立を評価するか】
毎日:しない 57%
/する 33%
読売:しない 58%/する 31%
日経:しない 54%/する 31%
産経:しない 57%/する 38%
【国会での審議について】
毎日:強行採決が 問題だ 65%

共同:審議が尽くされたとは思わない  79%/思う 14%
読売:政府与党の説明が不十分だと思う 82%
朝日:国会での進め方はよくなかった 67%/よかった 16%
         国会での議論が尽くされていない 75%/尽くされた 12%

 安倍内閣支持率はすべて「支持しない」方が多く、その結果は読売の51%が最高、朝日の45%が最低。毎日、共同が50%、産経が48%、日経が47%となっていた。

 国論を二分した課題の《決め方》にこれほど疑問が多かったかと、あらためて痛感する。今は「伝える」よりも「主張する」傾向の強いメデイアが多いから、見るまでは世論調査もメデイアによってさぞ結果が大きく違うだろうと思っていたが、その予想は全く外れた!思いがけなかった気がする。

説明も議論も尽くさぬまま《決める》とどうなるかを70年前に嫌というほど思い知っていたはずではないか

 世論調査の結果は、今度のことが《説明も意見も尽くさぬまま決めた》ことについて「国民の皆様」がどう受け止めたかをまざまざと物語っている。説明もせず意見も尽くさずに、ひたすら自分の考えた通りに《決める》とどういうことになるかに多くの人が不安を持っていることを示している。

 70年前、戦争が終わるまでの間の日本を考えればはっきりする。わからないことを確かめられる説明など何もなかったし、うっかり軽はずみに意見を口にすると怖いことを誰もが思い浮かべて、だた黙っているしかない時代だった。

 そういう時代の記憶があるからこそ、そんなことを気にしなくてもいい仕組みが憲法という形になって手の届くところにできた意味の重さがあるのだと思う。

 でも、そうではなかったことに気づいた。

 憲法に限らず、法律などの制度は結局のところ、それを運用する人次第で、本当の意味がはっきりする。いくら憲法が大事なことを決めていると思っていても、憲法を当てはめて政策を考える人の解釈次第で意味が一変するとしたら、憲法も解釈次第だということになる。そんなことがないように細心緻密な議論を積み重ねてきたのではなかったか。

 結局のところ、いま問われているのは政治家の判断をめぐる信頼度の問題ではないかと痛感する。世論調査の数字が語っているのは、意見が二分するほどの問題を説明もせず意見も尽くさずに《決めた》政治家としての判断についての不安ではないか。

 法律の仕組みを言葉の当てはめ方だけ考えて《決める》と、結局のところ手続きという形式要件が揃うだけで法律の強制力が実現する。そういう形であっても法律が生まれれば黙って従うことになるからこそ、法律の制定や運用にはそれなりの信頼が絶対条件となる。

 それには、この人を信頼しても本当に大丈夫なんだろうかという心配をしなくてもいいことが、大前提となるのだが・・・。

マンションでこういう決め方をしたらどうなるか。《決める》手続きよりも《決めた後》の方がはるかに大変・・・

 マンションという小さいけれど集団的な生活共同体で物事を決める場合に、こうしたことがことごとく当てはまる。

 大勢の人が生活条件を共有して暮らす集合住宅では、何かにつけて放っておけない事態をどうするかをめぐる意思決定が最大の課題になる。この意思決定は課題となる事態にマンションのすべての人が関わるから、意思決定を組織レベルで進めるために管理組合が必要になる。そのために組織全体に及ぶ大原則として管理規約が必要になり、その具体的な実行を確付するために総会が必要となる。その総会ではメンバーとなる区分所有者が決めなければならない提案を理解して可決するための説明が欠かせないし、説明の段階では無数にわかれる意見をできる限りの努力で聞かなければならない。

 法律が求めているのはそういうことなのだ。

 実際には事態を類型化して課題の意味を言葉に凝縮するしかないから法律に言葉だけが並ぶ状態になるが、あくまでも実現可能性が誰にも想定できる事態が前提となっている。誰にも実行できないようなことは管理規約に一切盛り込まれない。

 しかし、現実には、ここがちょっと違う。法律の求める条件の確保に必要な言葉を便宜的に解釈して条件を確保する発想が、委任状という形式をフルに活用する便法を支える結果になる。当然ながらそんな総会は手続き本位で議決も行われて形ばかりになってしまう。

 説明のための情報発信機能を担う広報がいつになっても管理規約に明文化されないまま軽視されないという状況も、この点と無関係ではない。

 だが、こうした状態でも形式要件さえ揃えば総会は有効になる。昔から自嘲気味に「委任状総会」という言い方さえあるほどななのだから。

 しかし、こういう形式化した手続きだけの総会を開く管理組合では、《決める》ことだけはできても《決めたことを実行する》という総会決議事項を実行する段階で大変な苦労に直面することになりやすい。

 前にも書いたが、100戸のマンションで99戸が総会で賛成した大規模修繕工事の実行段階で、たった1戸が賛成せずに徹底して非協力的になると、工事の進行は大きく狂ってしまうケースがその典型である。

 《決める》ことはできても《決めたことを実行する》という「決めた後」が大変なのだ。《決め方》次第で《決めたことの実行》が確保されないことになるからである。
                                                          ☆
 安倍晋三さんがマンションに住んでいて管理組合の理事長だったら、どうするだろうか。
| muraitadao | コラム | 10:51 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://murai.realestate-jp.com/trackback/991771
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【番外】11年目。公開遺言のつもりでブログを書き続けます
    マンション・チラシの定点観測 (11/26)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下 義男 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (11/23)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下義男 (11/23)
  • 2年半ぶりでメンバーも変わって再開のマンション管理検討会、たった1か月で結論を出すとは・・・・
    とおりすがり (04/24)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    村井忠夫 (09/06)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    まるーべり (09/06)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    村井忠夫 (06/26)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    ポリス (06/26)
+ RECENT TRACKBACK
  • 「沈黙は賛成じゃない」という論理。選挙や総会では?
    マンション管理の情報屋。。。 (09/22)
  • マンションの中の喫茶店が話題になる・・・・:マンションの共用空間の新しい意味をもっと考えていいのではないか
    神園良輔の『マンション展望』 (05/05)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • 女児マンション転落事故のニュースが浮かび上がらせたこと:どこのマンションでも同じことが起こる可能性にどれだけの人が気づいているか
    MANSIONS-COMMUNITY blog (04/15)
  • 「億ション」は最高が1億円なのか、最低が1億円なのか、それとも・・・:管理の基本原則は何億円でも関係ないが
    マンション展望 (02/16)
  • 「美しい国」で、これ以上「美しくないこと」が起こらないように:もっと集合住宅に住む不安を減らすための議論を
    マンション展望 (12/01)
  • 8年前の2月、国会でマンション管理をめぐる史上初の議論が行われた。そして、昨日の朝刊には・・・
    NONブログ (11/27)
  • 書名は買い手にとって本のすべて。本の名前と内容はなるべくなら、あまり違わない方がいいと思うのだが・・・
    高層マンション (08/27)
  • 新しい住宅が建たなくなったというニュースの怖い連想:暗い窓ばかりのマンションが思い浮かぶ・・
    マンション展望 (08/25)
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE