村井忠夫のマンション管理ブログ

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【語り尽くされていないこと、見逃されていること39:高層階評価】またしても・・タワマン課税のニュースに漂うトランプくささ

前に聞いた高層階増税ニュースがまた・・。なぜ?

 ちらちらと中途半端な感じで、これまでも断続的なニュースが伝えてきた「タワマン課税見直し」。マンション高層階課税については11月5日のブログにも書いたばかりだが、こんな政策を考える方も伝える方も本当に意味がわかって伝えているのかどうか気になって仕方がないので、また書く。

 要するに「同じマンションの固定資産税額は高層階ほど高く低層階ほど低くなる」ように見直すという話だ。これまでの分譲マンションの固定資産税は、階数に関係なく床面積だけで決まるので資産価値と関わりなく高層階も低層階も同じ税額になる不公平感があったことを考えた方策だと解説されている。

 こう言われると「なるほど」と思わせられるのは、確かだ。それは、この課税見直しが《ごく普通の市民感覚から生まれた不公平感の解消に着目した政策》だからだ。同じマンションのずっと上の方の住戸を何億円で買ったあっちも、住宅ローンの金利を気にしながらやっと何千万円かの住戸を買ったこっちも同じ物差しで固定資産税を払わせられるのはヘンだという不公平感は確かにあるのだから。同じマンションでリッチとノンリッチが同じ固定資産税を納める仕組みの割り切れなさや忌々しさは、今ひそかに広がっている市民感情だといっていいだろう。

 だから、マンション高層階増税っていいよね・・・という感じになるのは間違いない。世の中でリッチよりもノンリッチの方がはるかに多いのは間違いないのだから、受けの良さもそれだけ違うんだし。

不公平感解消の後始末は管理組合にまわってくる?

 でも、それは税務署だけの話だ。管理組合の方はそれほど簡単にはいかない。

 同じマンションの中の経済格差に税制が対応できるようになっても、管理組合では維持管理のコスト負担の面でそれほど容易には対応できないからだ。

 こうなる理由は、はっきりしている。法律や標準管理規約などで《費用は何階だろうと住戸の広さだけで決まる》という考え方がよりどころになっているからだ。天下の法律がそういう仕組みになっているのだから、当事者能力の弱い管理組合が独自に判断して対応できるはずがない。

 人の意見は人の数だけ違う。人数が少なければ意見が違っても何となるが、人数が多くなれば人の数だけ広がった意見の違いは、もう手のつけようがなくなる。意見の違いがお金の問題に結び付けば、なおさら手に負えなくなる。

 もう昔から、日本中の管理組合がこの苦労を嫌になるほど重ねてきたのだ。

 もう昔から・・と考えて、思い当たるのは、マンション管理を支えるルールの基本が、まだマンションがどの物件も似ようなものでそれほど違いがなかった時代に生まれたという点だ。

 今は、もう違う。マンションは大規模化し超高層化して千差万別である。それなのに、管理組合組織を動かすルールだけは何十年も昔のままだ。大きくて複雑になったマンションで大勢の意思決定が容易ではなくなってきたのは当然ではないか。

 いつかは手を付けなければ…と多くの人がずっと感じてきた。だが、実際に手を付けると、途方もなく厄介だ。だから、気がついてはいても、口をつぐんで黙っている方がいい…。
 マンションで確実に生まれている経済格差は、まさにパンドラの箱だ。《高層階増税》は、そのパンドラの箱のふたを開けたことになる。

 今度の見直しは20階建ての新築マンションが対象だそうだから、既存のマンションは関係がない。

 しかし、マンションに経済格差があるという厳然たる事実を税制という仕組みが正面から堂々と公認した意味は、かなり大きい。公認されたこの問題は既存の全マンションにも間違いなく存在するからである。

何だかトランプくさい感じが気になるのはなぜ

 ある政策が目をひいても別の政策と連動しなければバラバラの場当たりになり、問題の事実に対応できる効果が少なくなる。なのに、手当たり次第にいろいろ遠慮なくモノを言う…と思うのは、アメリカの次期大統領の話。マンション高層課税の話ではない。・・・のだが。

 どこかに手を付けるとガラガラと石垣が崩れてしまうような怖さを考えていないのではないか、と、思うのはトランプさんの話。日本の、マンションの、それも固定資産税の話なんかではない。

でも、気になる。

| muraitadao | コラム | 11:04 | comments(0) | trackbacks(0) |









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