村井忠夫のマンション管理ブログ

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【語り尽くされていないこと、見逃されていること41:昭和→平成】「住宅双六」年代マンションのイメージがまだ通用するのか?

「分譲マンションで先行きも考えず修繕積立金を貯めたって意味がない」なんて今ごろ言われても

 年が明けた。平成年代も、もう29年。昭和は、ますます遠くなった。

 昨年12月23日の東洋経済オンラインで読んだマンション「甘すぎ修繕計画」の恐ろしい末路という記事がずっと頭にひかかっている。2年越しの気がかり。

 築後43年4棟600戸のマンションに竣工以来住み続け、2回の大規模修繕工事で旗を振り、85歳の今も3度目の大規模修繕工事で相談に乗ること少なからず。
 そんな人間がこの記事を読むと、他人事ならざる気分になる。大規模修繕という課題が出ると、どういうふうに賛成と反対が並ぶかもわかるし、それほどの齢を重ねてもいない人たちが語る高齢化の実情も、実はけっこう的を射ていると思う。

 しかし、一方で、「ちょっと、これ何だか違うんじゃないかねぇ・・・」という気分になることも少なくない。

 この一文のサブタイトルには《「一生賃貸」の方がマシなパターンがある》とある。

 冒頭の「甘すぎ」という言葉で、先行きの見通しもなしに単純な修繕計画を立てていると先行きあまりいいことはないよといわんばかりのタイトルに、またわざわざ《賃貸の方がマシ》と念入りに付け加えるしつこさ。筆者のような人間には、どうしたって気になる。

 だが、この記事の始めの方を読んでいくと次のようなくだりが目に入ってくると、その感じが微妙に変調し始める。

 ・・自分が所有する一戸建て住宅なら自身の判断で将来に対応できるが、区分所有マンションでは「区分所有法による集団の合意形成という壁が存在する」ために管理組合で物事が容易に決められず「出口戦略がはっきりしない物件を保有し続ける大きなリスク」がある・・・。

 確かに、一見すると、その通りなのだ。お説に間違いはない。

 でも、なぜ今頃そんなことをわざわざ力説するんだろうという気がする。そんなこと、もう20年以上昔から、よーくわかっているのだが。

 こう言うと「では、それほどよく分かっていたのなら、なぜどうにかしなかったのか」と言われるだろう。こっちだって、いつも、そう思ってきたのだ。

 でも、こういうことは《どうにかできる立場の人が、どうにかしなければならない》と気が付いてくれなければ、何一つ話が始まらない。

 そう思ってきたから、分かってほしい人にひたすら分かってほしい一心で、ずっと昔から辛抱強く、いろんな機会に、何度も何度もそう言い続けてきた。

 言い続けているうちに昭和は平成になり、その平成も来年はもう30年になる。何だって、そんなこと百も承知で分かり切ったことを今さら・・・と思っているうちに、ふと気がついた。

 この記事が書くようなマンションは、昭和年代に建てられた物件ばかりだ。

 昭和は遠くなった平成の年代だが、昭和が平成になって30年近い今も、マンションの考え方やルールはいまだに昔と変わらぬ昭和年代のままで維持管理されている。

 何だか気になってくる・・・。気になる人は、どこにもいないのか。まさか・・・。

「住宅双六」時代のマンションを考えるイメージは今も同じままでいいのか

 個人が持つ一戸建て住宅と個人ではない集団で持って一緒に住むマンションに同じイメージや理屈でを当てはめることはそもそも無理なのではないか。

 無理であっても、一戸建て住宅が中心となる時代ならマンションはまだまだ例外だったから、多少の無理は何とかなっただろう。

 昔「住宅双六」という言葉があった。誰もが人生最大の目的として庭付き一戸建住宅を考え、そこまでのプロセスで《賃貸アパート→賃貸団地→分譲マンション→一戸建て住宅》という流れの中の通過点として分譲マンションが位置付けられていた。だから、分譲マンションはいつまでも住むところではないと、誰しもが考えていた。マイホームという言葉のイメージの中には庭付き一戸建て住宅だけがあって、マンションは普通の人の頭には含まれていなかった。

 マンションは日本人の住まいの例外的な存在だったのだ。

 だが、今もマンション管理の大前提となる区分所有原則は、そんな考え方が常識だった時代にできた。

 1984年(昭和59年)発行の丸山英気編「区分所有法」のはしがきの冒頭には、こうある。『…区分所有建物は、すでに130万戸を超え・・・』。

 いまマンションストックが600万戸を超えたのはもう過去の話だ。マンションが例外だとか一戸建て住宅と同じイメージだなどと言える時代ではない。
                   ☆
 区分所有法が生まれたのは1962年(昭和37年)。何度も改正されてきたが、区分所有という『持つ』権利概念だけでマンションをビジネスビルなどと同じように区別せずに考えるようになってから、もう半世紀をはるかに超えた。『持つ』ことと並んで『住む』ことをそれほど大事に考えてこなかった半世紀でもある。
                   ☆
 もう一度繰り返す。平成も来年で30年。

 昭和は、もう、はるかに遠くなった。

 だが、マンションのイメージは半世紀昔のままでいいか・・・。

| muraitadao | コラム | 14:46 | comments(0) | trackbacks(0) |









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