村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【語り尽くされていないこと、見逃されていること45:外国人】日本人の感覚だけで何でも理解できるとは限らない時代になっている

管理組合のお知らせを英語や中国語で書かなければならないという相談にどう答えるか

 20年近く前、新宿駅南口のコンコースに毎日、中東系の国々の人が何十人も集まっている光景に何度も出くわした。小田急線沿線のマンションに住んでいる人間にとって、日常的になじんでいるこのスペースに大勢ヒゲずらの外国人が集まっている光景は異様としか言えない感じだった。

 ちょうど連日のマンション管理セミナーに明け暮れていたころで、あちこちの管理組合から届く相談や質問の中に横浜の管理組合から寄せられた相談があった。外国人労働者の住まいになった賃貸化住戸の排水管が詰まって放置できなくなった。調べてみたら、いつもたくさん使う油と食材の切り屑などをいっしょに流し続けていたために排水管が詰まってしまったからだとわかった。しかし、当の相手の人々に日本語は全く通じないし、いったいどうしたらいいだろうかという相談だった。

 その後、横須賀ネットの会長だった高尾さんから、管理組合広報の英語化の必要に迫られた管理組合の例を聞いたのもこのころだった。新宿区や川口市のセミナーでは、中国人労働者の多数居住で困り果てている管理組合からのケースも聞いた。

 あれからずいぶん経ったのでどう答えたか今ではもうはっきり覚えていないが、こうしたケースでは在来の法律論が全く役に立たないこと、生活条件の共有から起こった問題にコミュニケーションの問題が重なっているのだから賃貸化した住戸のオーナーに管理会社を交えて意見を交換しながらそのマンション固有の対応を考える必要があると答えたことだけは今でも記憶している。

アメリカの中東入国問題や民泊論議に通じる身近な現実感がマンションにもあるのでは

 テレビや新聞が流す日米首脳会談のニュースがとてもわかりにくい。中東7か国の入国禁止がどうだとかいう話も、前記のようなケースがあるとあながち他人事の感じで聞き流すにしては何だか重すぎる。

 尖閣諸島周辺でのトラブルがニュースに流れ始めたとき、このブログで『マンションは隣人を選べない生活空間である』という意味のことを書いた。こんなことがあっても、隣にある中国との間に尖閣諸島が位置しているという絶対的な状況で起こる事実は目をそらさずに受け止めなければならないと、今も思う。

 いや応なしのこの感じには、分譲マンションで壁一枚、床一枚を隔てて生活する隣人との関係にそっくりではないか。壁の向こう側に住む隣人はいったいどんな人なのか、こちらには全く分からない

 この分からなさは、隣から見た「こちら」にも当てはまることにやがて気がつく。マンションは、良きにつけ悪しきにつけ隣人の影響を受けながら暮らす住まいなのだ。だが、そんなに身近な隣人を選ぶことはまったくできない世界でもある。

 そうであれば、結局のところ、隣人の存在を正面から認めて隣人との関係を重視していくしかない。

 一見して縁遠い海外ニュースが、こういう意味で、分譲マンションの生活にリアルな実感をもたらすのではないか。

 何かというと議論される民泊の問題も、この実感と無縁ではない。少なくとも民泊の問題が外国の観光客増とホテル不足が背景にあり、ゴミの出し方とか騒音が民泊と無関係な隣人に及ぼす影響が問題になっている。その実態の裏側には、こうした『手の届かない隣人』の存在をめぐる生活感覚があると思われる。

自分たちと同じ生活イメージだけで理解しない感覚がマンションには欠かせなくなる・・・

 自分たちと同じ感覚の人だけで暮らすという今までの経験だけで「わかりあえる」という考え方が、何かにつけて問題になる時代になっているのではないか。

 原発事故のあと福島から横浜に移住してきた子のいじめの問題で、横浜市の教育委員会が判断を誤って詫びたニュース。横浜の子だけがいるところで起こったとしても、あれが「単なるいじめではない」などとしか考えきれないレベルの教育委員会も信じがたい話ではある。同じ日本人同士でも横浜と福島という異質感が、あの話と全く無関係であったとは考えにくい。

 ニュースではわからないが、あの話では《いじめた方》と《いじめられた方》のどちらか、あるいはどちらにもマンション住まいの子がいたのではないか。

 日本のマンションには日本人だけが住んでいて、日本語だけで管理組合を動かしていく・・と、単純に考えていられなくなる時代が始まっているような気がする。
                   ☆
 昨夜のNHKニュースで見た世論調査では《トランプ政権の中東入国問題》に否定的な意見が多いということだったが、本当にそうなのか。

 聞く方も答える方も、本当にそうなのか。

| muraitadao | コラム | 09:16 | comments(0) | trackbacks(0) |









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