村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【語り尽くされていないこと、見逃されていること49:文書破棄】捨ててしまいたいのは記録か過去か、それともその両方か

 このブログは、ラジオの国会中継を聞きながら書いている。あるはずの文書がないとか、誰も考えなかったFAXの紙が出てくるとか、文書の持つ意味の重さが今さらのように大きく浮かび上がる。

文書を捨ててしまえば何とでもなる?急場をしのげれば捨てたはずの文書が見つかることも・・・

 今さらでもないが、役所の文書というのは、いったいどういう扱い方になっているのだろうか。

 たぶん文書保存規則のようなルールがあって、文書の性質によって保存年限が決まっている・・・といったことにはなるのだろうが、最近のニュースを見ていると、やはりわからないことが多い。

 一つは、「文書」のイメージが昔と一変してきたことが関係しているのかもしれない。高齢化時代の今でも「文書」という言葉を紙に書いたイメージで考える人が多い一方で、ICレコーダーやパソコンのメモリーで記録することも珍しくない。目的も用途も公式のものばかりではなく、私的なメモも少なくない。

 ただし、手段や保存の形が違っても書き留めた内容を後で読み返して参照する目的は共通しているし、それが人間の忘れっぽさへの対応手段である点も変わらない。

 そういう事情があるから、何かあれば、すぐ《文書があるか、ないか》が大きな論点になる。文書の意味はとりも直さずそのまま人間の記憶と同意義化するわけだ。

 大阪の何とかいう素性不明な学校建設用の国有地が格安で処分されたケースや、自衛隊の派遣先の状況報告文書が破棄されていたはずだったのに後から見つかったというケースなどを考えると、そう思わざるを得ない。

 もっとも3月20日の東京都議会の百条委員会の中継を見ていたら、尋問する方が過去の文書でしきりに何かと問いかけているのに、元都知事の方は体調がどうだとか何だとか述べ立てて空とぼけっぱなしだったというケースもある。

 文書の有無が意味するものも、結局のところ、その文書に関わる当事者の人間性によってどうにでも変わってしまうこともあるらしい。

40年以上保管してきた自分のマンションの記録をどうしようかと思い悩む毎日・・・

 実は、いま思い悩んでいることがある。

 たまりにたまったマンション管理組合の関連文書をどうしたらいいか・・・。

 このブログにも何度か書いてきたが、竣工以来ずっと住み続けてきたマンションが来月で43年目を迎える。いま86歳の人間にとって、人生の半分をこのマンションで過ごしてきたことになる。

 それだけの年数を過ごしてきた人間が何年経つとマンションのどこがどうなるかを確かめてきた。11階建てが4棟、およそ600戸のマンションで、43年の歳月が住いとしての建物をどう変貌させたか、居住者が1000人をはるかに超える管理組合の実情をどう変えて来たかも、目の当たりに見つめ続けてきた実感がある。

 大規模修繕工事など管理組合の課題の乗り切り方も一通り確かめてきた。

 そんな歳月の記録がいま結構な量になっている。広報誌や総会資料だけでもなけなしのスペースをふさぐボリュームは小さくない。

 40年以上たって、居住者の顔ぶれも一変した。管理組合の役員などは親子ぐらいの世代差を痛感せざるをえない。管理会社も企業合併で縁もゆかりもなかった大企業系列になったから、実務的な対応で理詰めな感じが強くなってきた。

 こうなると、このマンションの過去のことは誰にもわからなくなる日が確実に近づいていく一方だ。マンションのここに、どういう考え方で、どういう工事をしたのかとか、管理組合のこのやり方はいつから始まったのかなど、日本神話さながら霞の向こうにぼやけて確かめようもないことがたくさん生まれ始めている。

 しかし、こんな思いのする文書を管理組合に寄付しようとは思わない。管理組合の実情を考えれば、間違いなく散逸してしまうことがはっきりしているからだ。

 いっそスキャンしてメモリーに入れたら・・とも思うが、年齢を考えると、時間とエネルギーがとても・・・と思う。

 いったい、どうしたものだろうか。考えあぐねている。

マンションが建ち続ける年月の長さに人間の記憶が追いつけないことがはっきりしているのに・・・

 こういう問題をどう考えたらいいか。今のマンション管理システムには全く答えがない。法律や仕組みにはそもそもこんな視点の問題意識がないから、まるであてにならない。こういう問題を考えている人など、いったいいるのかどうか。

 役人や学者はまるであてにならないし、さりとてマンション管理士や弁護士が頼りになるはずもない。

 そもそも、当の管理組合自身にこういう問題意識がない。管理会社には、もっとないだろう。

 もう10年ぐらい前に『マンションみらいネット』というのがあった。国交省やマンション管理センターが打ち出したマンション管理組合の履歴保管システムだ。

 この仕組みの考え方は間違っていいないと、今も思う。

 しかし、率直にいえば《机上の空論》に近い構想だった。それが証拠には、この仕組みは肝心の管理組合ではほとんど知る人がいない。

 それぞれのマンションに固有の建物修繕や管理組合運営に関する文書記録をネットの活用で実現できたら素晴らしい。

 でも素晴らしいことが実現するわけではない。素晴らしくても実現しない方がはるかに多い。当然ながら、そうなるだけの理由があるのだから。

 素晴らしい『マンションみらいネット』が実現しなかったのは、この仕組みの対象となる管理組合の実情に理由があったからだ。今も、そこは変わらないし、むしろ内攻して複雑化している。

 マンションは長寿命の建物なのに、そこに住む人間の記憶の方が追いつかない。建物だけがボロボロになって建ち続けても、人間の記憶も記録も確かめようのない状態でぼやけていくばかり。

 そのことだけは空恐ろしいほどはっきりしている。・・・・

 もう、これ以上,書きたくない。

 むなしいから。

| muraitadao | コラム | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) |









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