村井忠夫のマンション管理ブログ

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【語り尽くされていないこと、見逃されていること55:戸数】これだけ新旧大小さまざまでもマンションストックがわかるのは戸数だけ?

気がついたらいつのまにか国交省のマンションストック戸数データが発表されていた

 《いま日本にはマンションがどのくらい建っているのか》という極めてシンプルでありふれたことを確かめられるデータはありそうで、実は、なかなか見つけにくい。

 だから、国交省が毎年発表する「分譲マンションストック戸数」データは、とても貴重である。毎年4月ごろ、前年12月31日の数字が公開される。ソースは建築着工統計。ストック戸数は《新規供給戸数の累積等を年末にまとめた推計》だという注があるが、唯一の全国データだから信頼度は高い。

 このデータはごく最近まで2015年(平成27年)末現在の数字しかわからなかった。つまり、一昨年の数字しかなかったことになるが、この時期だし国交省の都合もあるのだろうから・・・と思っていた。

 国交省は情報発信にはそれなりに熱心で、登録しておけば毎日夕刻から夜にかけて部外に公表した情報をネットで定期的にきちんと知らせてもらえる。この仕組みのおかげで、ずいぶんいろいろなことを知ることができた。

 昔の官僚感覚だったら考えられないサービスで、率直に感謝している。

 ・・・のだが、この春は4月が過ぎようとしても一昨年のデータのまま一向に変わらなかった。が、しかし、それはこちらが知らなかっただけだった。

 5月に入ってネットを見ていたら、いつの間にか新しい2016年(平成28年)末のデータが発表されていた。あれれと思った。

 それによれば、前回のデータは623万戸だったが、今回は633.5万戸。1年経っても10万戸増えた程度だったことがわかる。

今回は築後30〜50年超のストック数も発表された。そこまで考えてくれるなら棟数や階数も

 黙ったままオープンになったのを気がつかなかったのは、こちらの手抜かりだから、それは、仕方がない。

 しかし、今回は今までと違って「築後30、40、50年超の分譲マンション数」というのが発表された。「築30年超〜40年未満」「築40年超〜50年未満」「築50年超」の数字が5年後、10年後、20年後にわけた縦棒グラフは大まかだが、それだけにストレートな迫真性がある。

 問題提起的なデータとして貴重だと思う。

 そこで、ここまで考えてくれるのなら。ぜひ注文したいことがある。

 それは、マンションストックを戸数だけでなく、棟数、階数でも区分したデータがほしいという点だ。

 説明の必要もあるまい。

 ずいぶん前から標準管理規約は《単棟型》《団地型》《複合用途型》に分けてきた国交省なのだから、マンションの実情が複数棟かどうかで違うことはよく承知しているだろう。1棟だけを単棟と呼ぶ考え方では1棟が5階建てと30階建てでは実情が把握できないこともわかっているはずだ。

 これだけ大戸数の超高層マンションが増えているのだから。

 ならば、マンションストックを戸数だけで理解していいわけがない。データソースが建築着工統計なら、そういうことも可能ではないのか。

もう一つの注文・世帯で居住人口をとらえる発想は再点検した方がいい時期ではないか

 もう一つ注文がある。マンションが人が住んでこそ意味がある。マンションストックのリアルな意味が居住人口データと関連付けられて成り立つのは当然だ。

 だから国交省がいつもマンションストック戸数に居住人口を添える形で公表しているのは、適切なやり方だと思う。

 しかし、その居住人口を国勢調査データの数字で示す都市・地方の地域差がない単純な方法は、果たして妥当なのか。少子高齢化や非婚化が際立って進む都市型集合住宅であるマンションの居住実態をこの方法だけで確かめられるのか。

 住む人の実情が把握されていないと、マンション管理は実現が年ごとに難しくなる。管理組合の主体として法律が考える管理組合の組織的な当事者能力は衰弱するばかりだ。

 何も言わないまま、いつかは…と思っている管理組合現場の声が国交省に届くかどうかは、マンションストックに対応する居住人口データ把握が実現するかどうかで占えるような気がするのだが…。

| muraitadao | コラム | 04:19 | comments(0) | trackbacks(0) |









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