村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【語り尽くされていないこと、見逃されていること56:格差】生き残れない管理組合もある怖さに語り手たちは気づいているか!?

経済格差、地域格差、世代間格差…。当事者が抜け出せないから「格差」という言葉には辛い響きがある?

 このごろ「格差」という言葉の書名の本が多くなった。

 でも、経済格差とか社会格差とかいうレベルなら、まあ以前の《品格》本のような現象で本が売れてほしい一心の出版社の苦労の産物だと思うから、別にどうということはない。

 以前の品格ブームは「国家の品格」という本がやたらに売れたのがきっかけだった。国家に「品格」などという言葉が当てはまるのかという奇妙な違和感があったが、本はよく売れたらしい。その後、売れ行きほしさ丸出しの感じで「女性の品格」だの、「会社の品格」だの、果ては「遊びの品格」という類の本まで登場した。

 この分なら「出版社の品格」というのが出るかもしれないと楽しみにして待ち続けていたが、当てが外れた。自分のことに「品格」を付けるほどの浅ましさは、さすがの出版界にもなかったらしい。

 しかし、「格差」には「品格」よりももっとリアルな重い響きがある。

 「子ども格差」とか「美貌格差」「団塊格差」などという書名を聞くと、むき出しなほどの露骨さがあって何とも嫌な気分になるではないか。

 ともあれ、「格差」という言葉を使った書名の本が続々と出るのは「格差」という言葉が気になる人が多いという確かな背景があるからだと思い当る。

 自分の置かれた立場を何とかして抜け出したいのにそれが思うに任せない切実さを抱えた人が多いのだ。そういう人の多さに向けた出版界の視線が、こういう書名の本の向こう側に間違いなく浮かび上がってくる。

 あらためて思うが、「格差」は嫌な言葉だ。《他人(ひと)との違い》が気にもならなかった時代には、こんな言葉が流行ったりしなかった。

 昔、「一億総中流」などという言葉があった。もはや遠い過去の言葉になって、気がつくと、何かにつけてわが身を周りと比べる人が多い時代になり《他人と比べたわが身の違い》がことごとに気になるようになっていた・・・。

 それでも、しかし、その違いはどうにもできない。

 ただ、もう、ひたすら我慢するばかりだ。

 「格差」という言葉に特有の怖さが生まれる理由は、ここにある。だから、「格差」には「運命」に似た重くて辛い響きがある。

ストック戸数が増えたからマンションでも「格差」が気になり始めたことは何を物語るのか

 うっかりして気づくのが遅かったが、国交省はつい先ごろ国交省が発表した「分譲マンションストック戸数」によると、2016年末現在でのマンションは633.5万戸になるらしい。

 この5月29日号のAERAが掲載した「大特集・マンションを長生きさせる」という特集の最初に「無関心でボロボロに/他人事ではないマンション管理問題」という記事があった。その始めの方に《現在、分譲マンションの数は約613万戸。》と出ている。

 しかし、これは平成26年末現在の数字であって、最新のデータではない。

 せっかく力のこもったいい記事なのに、記者が最新の国交省発表に気づかなかったらしいのが惜しまれる。もし気づいていたら、国交省データには「築後30、40、50年超の分譲マンション数」というのがあるのだから、もっと掘り下げた記事になったのではないかという気がする。とても残念だ。

 いずれにしてもマンションがこれだけ多くなれば、どうしたって新旧大小の違いが生まれる。マンションにも「格差」という嫌な言葉が否応なしに持ち込まれざるを得ない時代が来たと思う。

わかっていないのに気づかぬまま勘違いだらけでマンション格差を論じられても迷惑千万!!!

 こうなると、最近見つけた本のことを書かなければならない。国交省がこれほどはっきりと高経年マンションの推計を示すほどなのだから、今や633万戸を上回るマンションでは新旧大小様々に異なる物件がまざまざと「格差」を実感させながら並ぶことになる。

 となれば、マンションごとの格差は今や目前の現実的な課題になっているのだ。

 これは少しも予想外ではない。もう20年以上前から機会あるごとに言い続けてきたことだが、最近、こうしたことを改めて表立って唱える本が出るようになった。

 「マンションは10年で買い替えなさい」だの「マンション格差」だの・・・。

 この手の本は、マンションの売買で儲かるように、損をしないようにという視点だけの産物だ。マンションが「住む」ための生活基盤だという視点は著者の念頭にまったくない。

 遺産相続のコツを語るコンサルタントや、マンション広告のコピーライター経験程度の持ち主には《マンションが住む場所》だという感覚があるはずもないのだから、当然といえば当然なのだが・・・。

 国交省が発表したデータによれば《1500万人を超える人が住むマンション》には様々な「格差」が現実に生まれている。マンションに住んだ感覚などそっちのけの損得勘定だけでマンションを考える手合いは、想像外のことだろうが・・・。

 わかってもいない人にわかった顔であれこれ言ってほしくない。

 気づくべき人に気づいてほしい。気づくべき人が気づかないと、打つ手が間に合わなくなる。

 だから、「格差」は怖いのだ。

| muraitadao | コラム | 08:18 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://murai.realestate-jp.com/trackback/991833
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【番外】11年目。公開遺言のつもりでブログを書き続けます
    マンション・チラシの定点観測 (11/26)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下 義男 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (11/23)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下義男 (11/23)
  • 2年半ぶりでメンバーも変わって再開のマンション管理検討会、たった1か月で結論を出すとは・・・・
    とおりすがり (04/24)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    村井忠夫 (09/06)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    まるーべり (09/06)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    村井忠夫 (06/26)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    ポリス (06/26)
+ RECENT TRACKBACK
  • 「沈黙は賛成じゃない」という論理。選挙や総会では?
    マンション管理の情報屋。。。 (09/22)
  • マンションの中の喫茶店が話題になる・・・・:マンションの共用空間の新しい意味をもっと考えていいのではないか
    神園良輔の『マンション展望』 (05/05)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • 女児マンション転落事故のニュースが浮かび上がらせたこと:どこのマンションでも同じことが起こる可能性にどれだけの人が気づいているか
    MANSIONS-COMMUNITY blog (04/15)
  • 「億ション」は最高が1億円なのか、最低が1億円なのか、それとも・・・:管理の基本原則は何億円でも関係ないが
    マンション展望 (02/16)
  • 「美しい国」で、これ以上「美しくないこと」が起こらないように:もっと集合住宅に住む不安を減らすための議論を
    マンション展望 (12/01)
  • 8年前の2月、国会でマンション管理をめぐる史上初の議論が行われた。そして、昨日の朝刊には・・・
    NONブログ (11/27)
  • 書名は買い手にとって本のすべて。本の名前と内容はなるべくなら、あまり違わない方がいいと思うのだが・・・
    高層マンション (08/27)
  • 新しい住宅が建たなくなったというニュースの怖い連想:暗い窓ばかりのマンションが思い浮かぶ・・
    マンション展望 (08/25)
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE