村井忠夫のマンション管理ブログ

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【語り尽くされていないこと、見逃されていること59:言行信頼度】「朝のあいさつ励行」を霞が関の役所が期間限定で呼びかける意味は・・

厚労省の「働き方改革中間報告書」がこんなことを自省の役人に呼びかけているなんて、まさか・・・

 6月30日の日経朝刊の2面で見た「砂上の安心網/当事者の証言5/持て余された3万人」という記事の一部にこんなことが出てきて、ちょっと驚いた。

 《・・・厚労省は5月、省内の働き方を見直すべく中間報告書を公開した。対策にコミュニケーション強化月間(仮称)」の創設を掲げた。その一つが「朝のあいさつの励行。目を見て明るく元気にさわやかに」。・・・》

 最初、ちょっとこの記事の意味がわからなかった。

 霞が関の中央官庁である厚生労働省の空気を伝えている記事の中に「朝のあいさつの励行」などというきわめてありふれた普通の生活感覚の言葉が出てくるとは、ちょっと思いがけなかったからだ。

 役所とか役人の世界の言語感覚は、普通こうではない。《できるだけ早く》と言えば済むことを『可及的速やかに』と漢字交じりの難しい言葉で言わないと落ち着かない世界だからだ。そんな世界で、まさか、こんな普通の言葉が公文書に出てくるはずがないという先入観があったから驚いたのかもしれない。

 でも、日経の記事にはこの言葉が出てくる中間報告書を公開したと書かれているから本当はどうなのか確かめてみるのが一番いい。

 そう思ってネットで探してみると、確かに見つかった。

 平成29年5月という日付けで「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム 中間とりまとめ」と題したレポートに、日経が伝えているようなことが出ている。

 市井の一市民に過ぎないこちらにはこのレポートの具体的な内容は全く分からないのだが、この文書全体に“お上”がいつも民間に向かって言っていることが、実は、当の役所自身で少しも実行できていなかった感じがありありと浮かびあがってくる。・・・・・

 だが、そんな気分はしたものの正直に公表した率直さは評価したい。何であれ、自己正当化に固まっていて《自分のことを考え直さない》《謝らない》昔からの役人の習性を考えれば、こんな率直さを誰が予想できただろうか。

 この感想は、先日来ありのままを語ってきた文科省元事務次官のことを聞いたときの「いまどき、こんなに気骨のある役人がいたのか」と驚いた感じに結びついた。

にしても、これは、それだけ否定できない事実があるからではないかと考えると・・・

 それにしても、こんなことが正直さ丸出しの感じで「中間報告」に出てくるのは、そういわざるを得ない実態があるからではないのかと思う。

 そうではないか。

 厚労省には「朝のあいさつを励行していない人」や「目を見て明るく元気にさわやかになっていない人」がたくさんいるという実情があるからからこそ、こういう提言が行われたのだから。

 だが、その提言も「コミュニケーション強化月間(仮称)」とかいう期間を限った呼びかけなら、その月間が終わってしまった後はいったいどうなるのだろうか。こういう呼びかけは無期限に長続きしなければ意味があるまい。何月何日から何月何日までの期間だけの朝のあいさつや明るく元気なさわやかさも期間が終わったら“おしまい”なら、結局のところ《一時の気休め》ではないか。期間限定の呼びかけなら、期間が終わった後は否応なしに後戻りしてしまうだろうに・・・。

 テレビCMもどきのスローガンで何度も何度も聞かされてきた《一億総活躍》とか何とかいう言い方にも、そんな感じが漂ってはいないか。

 こういうことは厚労省だけなのか。文科省や経産省、国交省はどうなのか。

 ・・・・・と書いてきたころで、東京都議選の結果を聞いた。都民税の税額決定通知書を改めてみたばかりの時期で、今度はまことに複雑な気分の投票だった。

 今日のブログに書く心境は、この選挙結果を聞く複雑さとどこかで通じている。

聞かされ続けている言葉の信用が問われる時代、管理組合や管理会社は大丈夫か

 昔から《世の中で起こることはマンションでも必ず起こる》と言い続けてきた。良いことも悪いことも、世の中で起こることはマンションでも必ず同じように起こる。

 マンションは、まさに文字通り社会の縮図なのだ。

 マンションは人間の住まいである。考え方も生き方も人の数だけ違う大勢の人々が同じ建物での生活条件を共有することで成り立つ集合住宅では、そこに住む人間次第ですべてが決まる。

 マンションの建前や仕組みも、この点の例外ではない。

 建前や仕組みの本当の意味も、マンションに住む人にとっては、自分に向ってそれを求めている人自身が、いま《自分の言っていること》がいつであれ《自分でもできる》という実行可能性で確かめているかどうかで本当のところが決まる。

 この点は、総会に出るかどうか役員を引き受けるかどうかには全く関係がない。すべての人が黙ったまま同じような感覚で受け止めているはずなのだから。

 マンション管理の建前や仕組みの成り立つ背景には、そういう本質が隠れている。

 管理組合の命綱である管理規約の有効性も、この事情と無関係ではない。

| muraitadao | コラム | 12:41 | comments(0) | trackbacks(0) |









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