村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【語り尽くされていないこと、見逃されていること65:アラート?】「知らせ方」の条件次第で仕組みの作り手の実情認識程度がわかる!

「Jアラート」って何だかわからないが昔の「警戒警報」や「空襲警報」を連想させるなぁ・・・

 8月最後の月曜日は、朝から物々しかった。北朝鮮のミサイルが・・というニュースなのだが、前にも同じようなことがあったと思う。確か、今度が初めてではない。

 でも、今度の“北朝鮮ミサイル”はどこが、どう違うのか。いくらニュースに気を付けていても、肝心のことがわからない。

 おまけに、Jアラートというのがしきりに出てきて、今までになく騒がしい感じだ。不安そうな人の表情に新幹線や首都圏の電車が止まったというニュースまで混じって、もうただ事ならざる大災害並みの感じになったが、それにしては肝心要のことがまったくわからない。

 首をかしげているうちに9時を過ぎる頃になるとみるみるうちに落ち着いて、それからはいつも通りの感じに戻ってしまった。いったい先ほどまでの物々しさは何だったのかという消化不良気味の気分の中で、「Jアラート」という言葉だけが印象に残った。
                   ☆
 改めて考えた。「Jアラート」という言葉だけは知っているが、具体的なことになるとほとんど何も知らない。

 ただ、この言葉を聞いて直感的に思い出したのは、73年昔の8月まで日常茶飯に聞いていた「警戒警報」と「空襲警報」だった。
                   ☆
 「警戒警報」と「空襲警報」。思えば、小学生になってからの日常生活にはこの二つの言葉がセットになって、いつも日常生活の中にあった。

 どこで何をしていても、いつ警戒警報が出るかもしれない。そうなれば、いろんなところに「警戒警報発令中」という木札が出る。警戒警報はやがて空襲警報が出る前ぶれだから、いつもそのつもりで動かなければならないという意識があった。空襲の覚悟を迫る予告の警戒警報がいつでも出る可能性によって緊張感が強いられる日常生活があった。誰にとっても、防空壕と防火用水と防空頭巾が身近な生活の中でこの二通りの「警報」がいつも頭にあった。

 ふと気づいて国語辞典をひいてみると、【警戒警報】は「警戒を呼びかける警報。特に、戦争中、敵機の来襲が予想される場合などに出される」と説明されている。確かにそうだったな、と思う。

 国語辞典に「警戒警報」が出ているのに「空襲警報」が出ていないのは片手落ちの気がするが、今の時代にはこうした「警戒警報」の説明だけで十分だと気がつく。

 だが、今度の「Jアラート」が昔の「警報」を連想させたのは確かだった。

 とすると、「Jアラート」は、かつての「警戒警報」が「空襲警報」に展開していく危機的事態を予告していたのと同じようなイメージの情報なのだろうか。

 幸か不幸か、実際に「Jアラート」の想定するような事態に接した経験がないから、そこがわからない。どうなのだろうか。

思い返すと「警戒警報」と「空襲警報」を有効にしたキーワードは「B29」だった

 あらためて思うのだが、「警戒警報」とか「空襲警報」という言葉が子供にも大人にも通用する効果を持っていた理由を考えて何となく思い当たったのは「B29」という言葉だった。

 B29というのはアメリカの大型爆撃機だった。いつ頃この言葉を聞き覚えたのか今となってはもう思い出せないのだが、戦争末期にはもうB29という言葉が耳タコだった。B29のBはボーイングのBだったとか「空の要塞」といわれたなどということは戦後になって知ったが、あの頃B29と聞けば、すぐ焼夷弾という連想が働いて遅かれ早かれ空襲で丸焼けになるというストレートなイメージが説明抜きで大人にも子供にも染みわたっていたのは、間違いない。

 そんな中で、警報はいつもラジオから流れた。天気予報さえなかったラジオも、警報だけは必ず流した。つけっぱなしのラジオから「○○地方に警戒警報発令中」と伝えるアナウンサーの上ずった声が、今も記憶の片隅に残っている。

「アラート」って「警報」なんだから《誰が、誰に、何を、どうやって知らせるか》という本質は同じでは

 Jアラートについて、ニッポニカには《大災害や武力攻撃などの危険情報を全国民へ短時間で伝える警報システム》という説明が出ている。《誰かが、誰かに、何かを急いで知らせる》という点では、昔の警報も今のJアラートも同じだろう。

 だが、仕組みそのものは同じでも、仕組みの成り立つ条件がまるで違う。《緊急事態に気づいた発信者とまだ気づいていない受信者》という関係を前提としているのは同じだが、情報の受け手の状況がまったく違う。

 情報の効果は送信手段で決まるが、情報の送り手と受け手の実情に対応した送信手段は情報の送り手が受け手の実情をどこまで把握しているか次第で決まる。

 それに、そもそもアラートと呼んで知らせようとしているのが《どんな緊急事態なのか》という最も肝心なことが何一つわからないままだった。地震や台風といった説明抜きで誰もがわかる緊急事態ではなくて、大半の人にとって中身がわからない緊急事態だったのだ。

 今度のJアラートをめぐるニュースで、《急に気を付けろとか安全な場所に避難しろとかいわれても、どうしたらいいかわからない》という当惑を示す人が多かったのは、明らかにこういう点と関係しているだろう。

 《相手のこと》がどこまでわかっているかという極めて平凡だが無視できない事情は、情報の送り手の想像力が決め手になり、その想像力は現実認識で決まることを改めて示している。《情報の受け手は、いつ、どこで、それを聞き、普通の言葉で語られる光景を思い浮かべる想像力がまだまだ足りない気がする。
                   ☆
 多ければ何千人もが住むマンションでも、この点は見落とせない。防災訓練だけでは対応できない課題であることは間違いない。
                   ☆
 ここまで書いてきたら、北朝鮮が過去最大の核実験というニュースが流れてきた。しかし、今度はJアラートの話ははニュースに出てこない。

 Jアラートが出る時と出ない時は、どういう違いがあるのだろうか。

 わからないことが、また一つ増えた気がする。

| muraitadao | コラム | 05:21 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://murai.realestate-jp.com/trackback/991842
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【番外】11年目。公開遺言のつもりでブログを書き続けます
    マンション・チラシの定点観測 (11/26)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下 義男 (12/07)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    村井忠夫 (11/23)
  • 文庫本より重くて330ページもある箱入りの「東京防災」という本が届いたが、さて・・・
    尾下義男 (11/23)
  • 2年半ぶりでメンバーも変わって再開のマンション管理検討会、たった1か月で結論を出すとは・・・・
    とおりすがり (04/24)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    村井忠夫 (09/06)
  • 最新の「マンション総合調査」から読めること、読めないこと
    まるーべり (09/06)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    村井忠夫 (06/26)
  • 都議ヤジ問題の本当の理由は議員の当事者感覚の貧しさ
    ポリス (06/26)
+ RECENT TRACKBACK
  • 「沈黙は賛成じゃない」という論理。選挙や総会では?
    マンション管理の情報屋。。。 (09/22)
  • マンションの中の喫茶店が話題になる・・・・:マンションの共用空間の新しい意味をもっと考えていいのではないか
    神園良輔の『マンション展望』 (05/05)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • マンガ説明入りの規約解説本があってもいいじゃない?でも実際には簡単にいかないけどね
    マンション管理士情報ナビ (05/27)
  • 女児マンション転落事故のニュースが浮かび上がらせたこと:どこのマンションでも同じことが起こる可能性にどれだけの人が気づいているか
    MANSIONS-COMMUNITY blog (04/15)
  • 「億ション」は最高が1億円なのか、最低が1億円なのか、それとも・・・:管理の基本原則は何億円でも関係ないが
    マンション展望 (02/16)
  • 「美しい国」で、これ以上「美しくないこと」が起こらないように:もっと集合住宅に住む不安を減らすための議論を
    マンション展望 (12/01)
  • 8年前の2月、国会でマンション管理をめぐる史上初の議論が行われた。そして、昨日の朝刊には・・・
    NONブログ (11/27)
  • 書名は買い手にとって本のすべて。本の名前と内容はなるべくなら、あまり違わない方がいいと思うのだが・・・
    高層マンション (08/27)
  • 新しい住宅が建たなくなったというニュースの怖い連想:暗い窓ばかりのマンションが思い浮かぶ・・
    マンション展望 (08/25)
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE