村井忠夫のマンション管理ブログ

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【43年の実感で「マンションの管理」を考える2】マンションが新しかった時期は管理組合の存在感ゼロでも気にならなかったなぁ・・

43年のマンション住まいの初期に管理組合はまだ生まれていなかった

 43年過ごしてきたマンションの日々は、管理組合の歴史よりも2〜3年長い。はっきり言えば、マンションで暮らすようになった最初の2年間は、管理組合がまだなかったからだ。

 マンションの人の大半は、管理組合という言葉など聞いたことがなかった。しかし、全戸入居のあとに生まれた住民の会がやがて自治会となり、さらに管理組合となった。名前が変わっても顔ぶれは同じだったが、きわめて自然な感じだったと思う。

 でも、そうは言っても組織の実感など、まるでなかった。理事会とか総会もなかったし、管理組合が自治会といったい、どこが、どう違うのかと聞かれてもピンと来ない時代だった。

 そんな状態でもよかったのは、格別の問題が何もなかったからかもしれない。この実感を思い起こすと、マンションがまだ新しい間は《管理組合なんかなくても別にそれほど困らない》というのが普通の感覚だったような気がする。

 今にして思えばずいぶん能天気な感覚だったと思うが、実際、新しいマンションではどこもみんな同じように能天気だったに違いない。社会全体も似たような能天気ぶりだった。何しろマンションという言葉だって通じにくさがあったし、関連する仕組みも改正前の区分所有法があるだけで、ほかにはもう本当に何もない時代だった。

 だから、法律論の《区分所有者のいるマンションでは管理組合が必ずあると見なされる》などというお説を聞くと、今でもある種の空々しさと苛立たしさを感じる。いくら《見なされる》などと理屈を並べても、現実の組織は生身の人間集団なのだから、顔をみて名前がわかる人たちのイメージが浮かんでこなければ、結局その組織は《ない》のと同じだと思うから。

 そういう意味で、マンションが新しい間は管理組合が《ない》状態であっても困らないという実感があったのは確かである。

管理組合の存在感がなかった時代は管理会社もさぞかし楽だったろうな

 この時期の記憶を思い浮かべると、名ばかりの管理組合より管理会社の方が鮮明でだ。ほぼ真中の棟の1階に管理事務所があって、そこが全600戸のマンションのあれこれの窓口になっていた。

 創業5年目だった管理会社は分譲したデベロッパー系不動産会社の子会社。その親会社は中堅のローカルゼネコンだった。

 管理事務所には老眼鏡の親会社OBがときどき顔を見せたが、いつも現場にいる初老の「管理人」の方が当てになるという評判だった。

 600戸の中にはいろんな人がいた。偉い人も偉くない人も、有名な人も有名でない人も。

 でも、意見が揃わなくて苦労するような問題はなかったし、入居するとすぐ友だちになった子供同士に引きずられて親同士が家族で付き合うような間柄があちこちで生まれた。玄関やエレベーターで毎日人に会うのが、とても楽しかった。

 そんな時代だったから、管理会社はさぞ気楽だったろう。

 600戸もあれば毎日マンションのどこかで何かがあるが、お互い同士で大抵のことは何とかなった。管理組合や管理事務所が直接言いにくいことのガス抜き機能を務めることもなかった。

 マンションが新しい間はマスコミがそれらしくマンションの解説や論評を流すことも皆無に近かったから、大抵の人は《マンションとは、こういうものだ》という奇妙に予定調和的な落ち着きがあって格別のトラブルも少なかった。

 いま思えば、実は知るべきことを知らなかっただけのことなのだが。

 要するに、みんな鷹揚だったのだ。

やがて鷹揚さの限界が見え始めたころ管理会社が何かにつけて気になってきた

 だが、そういう鷹揚な空気が微妙に変わり始めると、何かにつけて管理会社の存在が気になるような日々が始まった。居住者の目前にいる管理会社は実は現実的な対応が苦手で、話がこじれてくると、最後はいつも分譲した不動産会社が出てくる場面が何度もあるようになった。

 そんな状態だったが、まだ、管理組合は総会を開くこともなく、組織活動の実感は皆無に近かった。これでいいのかな・・という感じはあったが、600戸から毎月管理費を集めて、それを会計処理して・・といった実務を考えると、途端に、もう何も言えなくなってしまう。

 何しろ、電卓を秋葉原まで出かけて1万8000円で買ってきた時代だった。コンピュータはまだ大型しかなくて・・・。

 そんな時代だったから、大規模マンションの実務は管理会社を頼るしかなかったのだ。大戸数の区分所有者から多額のお金を収める管理組合は、その実務を引き受ける管理会社だけが唯一の頼りだった。

 そんな管理組合のマンションにも年月が過ぎて竣工後10年目が近くなってきた。

| muraitadao | コラム | 14:17 | comments(0) | trackbacks(0) |









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