村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【43年の実感で「マンションの管理」を考える6】大規模修繕工事を重ねるたびに強くなる実感「管理組合っていったい何だろう?」

このブログを書き始めたのは12年前だったが・・・
      このブログは今回で12年目に入る。日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)からホームページに開くブログに参加してほしいという呼びかけがあって応じたのが、きっかけだった。

 戦後10年目の時代から住宅ローンを担ってきた住宅金融公庫を退職して、20年近くが過ぎていた。気がついてみると、住宅ローンを中心にしてきた住宅評論活動の重点が、いつの間にかマンションの管理に移っていた。

 自分自身も竣工以来同じマンションに住み続けてきた年数が30年を超えていた時期でもあった。そんな実感で考えると、マンションストック戸数が500万戸に近いなどとしきりにいう人が多いわりにはマンションの実情について発言する人がいない不安やもどかしさ、腹立たしさがあった。

 このブログを書き始めた時に、そうした気持ちがあったことは間違いない。

 プライベートな実感をベースにして問題提起をしたい人間にとって、ブログはうってつけのスタイルだった。いくらでも書けたが、更新は毎月3回に抑えた。これももう400回近い。

 それでも、イラストもなければ面白くもない不愛想なスタイルのブログに目を向けてくださっている方がおられることは、正直うれしかったし張り合いもあった。
                   ☆
 このブログをスタートしたのは、2回目の大規模修繕工事の翌年だった。12年目のブログを書いている今は、3回目の大規模修繕工事が間もなく終わる時期である。

 偶然にタイミングが重なって、こうなった。

大規模修繕工事にぶつかれば否応なしに管理組合のことを考えざるを得ない。管理組合の建前とありのままの実情を

 管理組合にとって、大規模修繕工事はやはり大仕事である。何年かに一度、必ずめぐり合わせる課題だ。だから、どんなに気が重くても管理組合はきちんとその役割を果たさなければならない。手を付けなくても別に法律でどうこうということはないが、いつかは自分に先送りした報いがまわってくる・・・。

 と、いう話になるのだが、実際のところ、管理組合の体制はどうなのだろうか。

 大規模修繕工事を自分自身の課題として考える立場の管理組合に、果たして当事者意識があるのだろうか。言葉で言えばそういう役割を担うはずの管理組合に、そんな当事者意識を作れるような意思決定や行動展開ができるのだろうか。

 「区分所有者の団体」である管理組合のメンバーとなる一人一人が建前通りに区分所有法や管理規約で決まったことをきちんと実行できるなんて、そんなことが本当にできるのか。
                   ☆
 そんなことは、間違っても、ありえない。

 大規模修繕工事が必要になるほどの年数がたったマンションでは、いろいろな点で竣工した時とは実情が変わってきている。経過年数に対応して変化するのは建物だけではなく、居住者や区分所有者の方にもそれなりの変化が必ず起こっている。

 となれば、管理組合にも経過した年数の分だけ実情が変化しているはずだ。

 竣工した時に実現できていた建前も大規模修繕工事が必要になるほど年数が経過すれば、どこかが変わっているはずだ。

 マンション管理の本当の重みや難しさは年数の経過が自分のマンションにもたらす変化にどこまで対応するかという点にあるのだ。

 建前と違う実情に対応しながら大規模修繕工事を進めようとする管理組合の実情は、いったいどうなっているのだろうか。

 マンション管理には、そんな不安をもたらす側面があることを、大規模修繕工事は覚らせたような気がする。

管理組合を「区分所有者の団体」だと本気で信じている人と、もう信じていられなくなった人が隣り合って住むマンションではどうしたらいいか

 最初の大規模修繕工事を何とか終わらせることができたのは、区分所有法が年ごとに増え始めたマンションの実情に対応できるようにという最初の改正からちょうど1年余りが過ぎた頃だった。

 その法律によれば、大規模修繕工事も総会で決めなければならないんだそうだ、総会なんて開いたことがないし、いったいどうしよう・・・。

 法律や管理規約は「してはならない」ことはこまごまと書くが「した方がいい」ことは何も教えてくれないではないか・・・。それは当たり前だ、した方がいいことなんてマンションごとに違うんだから、そんなこと法律で言えるはずがないだろう。

 そんな議論が出ていた。竣工したころにはなかった意見が出るようになっていた。

 同じマンションに住んで知っているつもりだった顔ぶれが変わり始めたことに気がついたのは、こんな頃だった。気がついてみると、家賃を払って住んでいる人や社宅として住んでいる銀行勤めの人もいた。外国人も、何人か・・・。

 管理組合が「区分所有者の団体」だなんていくら言ったってそれは理屈倒れだという人と、でもそういう理屈がなかったら600戸もあるマンションは無政府状態になってしまうという人とが隣り合って住む状態が生まれていた。
                   ☆
 《マンションは人の数だけ意見が分かれる世界だ》ということを片時も忘れると、マンション管理は現実的な効果を失ってしまうことを痛切に悟らざるを得ない時期が、こうして始まった。

 このことを読み取れるかどうかがマンションを語る人の言葉の受取り方を左右することを無意識のうちに考えるようになったのも、この頃からだった。

 この実感は、その後ますます強くなって行った。マンションの外側で起こることが、まわりまわって仕組みを変え、マンションに住む人の様子を変わらせることになる。

 《世の中で起こることは姿かたちを変えながら、マンションでも必ず起こる。》そのことを考えないまま法律だけを考えるのでは誰も納得しないから、管理組合はますます動きがとれなくなる。

 その実感が、年ごとに強くなっていった。

| muraitadao | コラム | 01:13 | comments(0) | trackbacks(0) |









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