村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【43年の実感で「マンションの管理」を考える7】大規模修繕工事のたびに居住者の世代差が広がり管理組合組織は難しくなる

長い年数が過ぎたとき大規模修繕工事で気づくのは「何年たっても組織力が変わらない管理組合だけがマンション管理の主役を担えること」

 竣工してから同じマンションに住み続けてきたなどということは、もともとどうというようなことではない。まして、わざわざ公言するようなことでもない。

 だが、単純至極な生活感覚で《何年過ぎたら何がどう変わるか》を見つめ続けてきた経験からわかることがいくつもあるのも、確かだ。《マンションは年数がたつほどあらゆる側面が古くなっていく》ことは間違いないのだから。

 時間がたてば何でも古くなるというわかりきった話がマンションにも当てはまる以上、過ぎた年数分だけ建物は古くなって劣化し、住む人は老いて高齢化する。

 賃貸でも分譲でもまったく同じだ。

 ただし、ここからが違う。古び方に対応する仕組みが、賃貸と分譲ではまったく違うからだ。

 年数経過による資産価値の低下に対応する仕組みが「管理」であり資産所有者自身の課題だから、賃貸マンションと分譲マンションでは管理の当事者がまるで違う。

 賃貸マンションでは所有者が数社か数名という僅かな数だが、分譲マンションでは住戸ごとに所有者がいるのだから、管理の当事者はかなりの複数となる。加えて、そうした多数の当事者に共通の管理を一体の建物で実行しようという現実的な条件があるから、組織レベルで考えないわけにはいかない。

 こういう意味での管理が進められる建物はコンクリート建造物で長寿命だから、その管理も建物寿命に対応した長い年数を前提としたものでなければなるまい。

 マンションの寿命が50年とか60年に及ぶのに、管理の方はもっと短くてもいいと考えるわけにはいかない。

 マンションがある程度の年数を過ぎた時、そのあとは年月の経つまま荒れ放題になるのに任せて住居としての機能を失った無人の廃墟になってもいいとはいえないのだから。まして、市街地の一角で周辺エリアへの影響が一戸建て住宅に比べてはるかに大きいマンションが放置されて廃墟化することになれば無視できない問題となる。

※具体的な表示は控えるが、もう何十年も前から放置されたままの実例がある。

当の管理組合自身は自分の過去年数がわかりにくいのに維持管理の当事者にならざるを得ないという難しさ。でも、大半の人はそこに気づいていない!

 そうなってならないとか、そのためにマンションの管理が必要なこと、それこそが管理組合の役割であることを大半の人は理解しているはずだ。

 問題は、その先である。

 建物が長寿命なのだから管理も長寿命でなければ・・というところまでで、思考停止状態になってしまいがちだからだ。建物の長寿命を考えた後には「管理の担い手となる管理組合もまた長寿命でなければならない」というしごく当たり前のステップを思い受べるはずなのだが、どういうわけか、そこには思いが及ばない。

 管理組合を想定したマンション管理のイメージから時間的側面が抜け落ちてしまう実情があるからだ。自分が住んでいるマンションに当てはまる現実的な課題が当事者としての自分自身の重い課題になるはずなのに、そう思わない。

 思おうとしない、あえて気づこうとしないといった方がいいかもしれない。

 マンション管理が他人事感覚の話になってしまうのだ。

 うすうす気がついている人がいても、それを口にして語ることはめったにない。

 実際、43年住み続けてきたマンションの管理組合でそんなことを語る人に巡りあった記憶はないし、自分のマンションに限らず、いろいろな機会に巡りあったマンション管理分野の人からそういう論点を聞いたためしも全くない。

 こうして、長寿命のマンションを管理する仕組みに時間的な側面が欠かせない重みを持っていることが大半の人の頭に浮かばなくなっている状態のまま、今やマンションストック600万戸時代を迎えていることになる。

マンション居住の実態を把握して管理組合組織の本質を早く見直さないと過去の素性不明マンションがあちこちに続出する!間に合ううちに早く議論を!

 こうなる理由はあるし、手がかりもある。いくつかあげてみよう。

●マンションのイメージを一戸建て住宅の延長上で考える時期は、もう遠い昔のものとなった。一刻も早く生活条件を共有する集合住宅独自のイメージの把握を!
→いつまでたってもマンションを一戸建て住宅の集積体と考える昔ながらの単純なイメージがある限り、集合住宅独自の視点は生まれない。今のイメージのままでは3階建ても30階建ても30戸も300戸も変わらない仕組みの無意味さが解消しない。

●『住む』ための建物には『所有』のみでなく『居住』が最大視される前提でマンション管理システムを見直すこと!マンションを資産価値重視の経済財だけで考えるのでなく、物件ごとに固有の価値を持つ生活財として一体的に考える必要がある。
→マンションを所有という権利面だけで賃貸と分譲に区別する発想のままだと、マンションもホテルも変わらないことになる。マンションは「持って住む」のか「借りて住む」のかを前提とした管理を考えないと《マンションは損が出ないように10年で売り飛ばしなさい》といった本が売れ続けることになる。

●管理組合という組織の本質を基本的に見直す時期が来ている!管理組合を「区分所有者の団体」とだけ考える何十年も昔からの発想では、マンション巨大化時代の管理組合の組織の実情に対応できなくなるばかりだから。
→組織はメンバーの状況で実情が決まる。竣工当時のまま永遠不変の区分所有者などあり得ない以上、現在の区分所有原則だけで管理組合をとらえる素朴な視点ではとうてい組織実情に対応できない。在来のマンション管理をめぐる議論で感じる現実離れした一種のもどかしさは、この点に関係があるはずだと思う。

 今さら、年数経過に伴う区分所有者の交代や年数経過による区分所有者の高齢化などを持ちだすまでもあるまい。
                   ☆
 ブログで書くにしては、いささか大上段になった。これぐらいにしておく。

 ただ、ひとつだけはっきり言っておきたい。売買段階を過ぎて居住段階に入ったマンションの複雑な現状を関係者がもっと的確に確かめることが絶対に欠かせない。

 実情確認抜きの議論は、もういい。

 何も知らないことに気づかない人たちの議論は、もう聞きたくない。

| muraitadao | コラム | 10:09 | comments(0) | trackbacks(0) |









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