村井忠夫のマンション管理ブログ

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【43年の実感で「マンションの管理」を考える 13】インフルエンザでうとうとしながら思い返した「ウチのマンション」の40年

とうとうインフルエンザにやられた・・・。そういえば あのとき・・・

 私のマンションでは、昔から1月最後の日曜日の午前10時から管理組合の通常総会が開かれる。管理規約や細則には何も書いてないが、《昔から、そういうことになっている・・》と歴代の理事長が考えて、このやり方を続けてきた。

 総会に限らず、管理組合にはこの手の不文律めいた慣習が想像以上に多い。管理規約などいくら読み返しても何一つ書いてないが、いつからこうなっているのか誰も知らないのに昔から《こうしてきた》とか《こうするものだそうだ》と聞いてあいまいなまま伝わっている慣習が想像以上に多い。

 40何年も過ぎたマンションともなれば、とりわけそうだ。

 何かというと法律論を持ちだす人も、多くの人に是認されてきた長年の事実に支えられたこの慣習には、とても歯が立たない。

 …というわけで、今年も例年通りの日曜日に通常総会が開かれた。

 「例年通り」だったのは委任状多数で形式的に総会が成立したことや、不慣れな議長による議事進行、あるいはふだん滅多に顔を見なくても総会では必ず異論を唱える常連の高齢者なども、まったく同じだった。

 それでも、総会は総会。管理組合にとって総会の開催負担は決して小さくない。

 これは、紙の上の言葉だけで一筋縄では手に負えない管理組合運営に汗を流してきた経験がない人にはまず理解できない実感だ。

 だから、今年も通常総会が何とか無事に終わって、まあ、やれやれよかった・・と思った。

 ところが、その日の夜から体調がおかしくなった。
                   ☆
 高熱で身体が動かなくなり診てもらった病院で、言下にインフルエンザと言われて、あ、やっぱりと思った。そういえば、あのときもらったような・・・
                   ☆
 結局、2月5日のブログは休んだ。もう齢も齢だからこじらせたくなかった。薬をのんでひたすら寝ていた。うとうととしながら、今度の通常総会のことを脈絡もなく思い返していた。

 そのうち、例年通りのようだったと思う一方で、今までとは違うやり取りが多かったことを思い出した。

居住歴の違いや世代差が意見の違いを拡大して、今まで通じていた話が通じにくくなる・・・

 眠るともなくぼんやりした頭でうとうとと思い返していた総会でのやり取り。

 今までは通じていた話が奇妙に通じにくくなってきたことに思い当たる。ここ数年前から漠然としていた実感が、今回はいつになく目立ったな、という気がする。

 そういえば、今日の発言者には新顔の人が多かった。新顔に交じって長広舌をまくしたてた人も、昔から顔だけは見覚えがあるものの総会でしか見かけないなという感じだった。

 そういう人が管理規約を振りかざしてルール違反を声高になじり、それをいつも総会だけに出てくる老人が怒鳴り返す。見る見るうちに会場の空気は刺々しさを増して壇上の議長は、おろおろと途方に暮れるばかり・・。

 でも、今日は、なすすべもないまま議長が成り行き任せで放っておいたことが、かえって、ガス抜きの効果を生んだらしい。なじる方もいきり立つ方もくたびれ果てたか馬鹿馬鹿しくなったか、そこはわからぬまま白けた沈黙がそのあとに続いて、このやり取りの意味は事実上わけのわからぬまま雲散霧消してしまった。

 後には、いつもながら管理組合ならではの曖昧模糊とした本質だけが残った。

 管理組合というのはいつもこうだ。40年以上も見てきた光景だから、珍しくも何ともないが・・。

 でも、どうしてこうなるのか。

 思い当たったことがある。

 《何かを言う》ために誰もが管理規約をよりどころとして持ち出すわりには、その主張に説得力がなくて、まるで支離滅裂な点だ。簡単にいうと、こうなる。

 大抵の人は管理規約の全文を読んだことがない。まくし立てられる意見を忍耐強く聞いてはいるものの、実は管理規約の存在さえも忘れている。

 それに対して《何かを言う》人は何十条もある管理規約の中のごく一部分だけを自分の主張に合わせてつまみ食い状態で持ち出す。

 だから、聞いている方には何一つピンとこない。

 まして、その管理規約の中身がウチのマンションに当てはめるとどうなるのかなど考えたこともないから、大半の人には《あの人、いったい何を言ってるんだろう》という気分になるしかない。

 ルールの有効性についてリアルな実証性のチェックをしないまま棚ざらしになり果てた管理規約。無関心のシンボルとなってしまったルールを、いったいどう考えたらいいか。

 この状態に気が付いた人は今までにもいたし、今も、いる。

 しかし、別に、何か言うわけではない。誰も言わなければ、何も動かない。

 《理屈ではそうなるが、今ごろ何か言ってもねぇ・・・》という白けた感覚が、気づいたことを目に見えないままにしてしまう。

 たぶん、管理組合世界の曖昧模糊とした状態はこうして生まれる。

組織の実情と照らし合わせながら管理規約の存在そのものを検証しないと管理組合組織の存在感は遠からず限界に直面する時期が来る!

 もともと管理規約は、それぞれのマンションが個別の実情を反映させながら独自に決めるべきものなのだ。だから、規模や新旧に対応して、マンションの数だけの管理規約があるはずである。

 だが、そんなことは全くあり得ない。個々のマンションの実情に対応して管理規約が作られているかどうかの調査など聞いたことがないから、マンション管理分野に触れてきた長年の経験だけで断言するのだが、たぶん日本中の分譲マンションの管理規約は標準管理規約の丸写し状態に近いのではないか。

 30戸しかないマンションなら小規模物件の実情に対応した管理規約があり、500戸の超高層マンションなら大規模大戸数の実情を映した管理規約がある・・。そんなことはあるまい。だから、日本中、どこのマンションの管理規約も金太郎飴状態で・・・。

 やめておこう。これが下種の勘繰りであることを切望したいから、この先は我慢して書かないことにする。
 

| muraitadao | コラム | 05:40 | comments(0) | trackbacks(0) |









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