村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【44年の実感で「マンションの管理」を考える 25】「専有部分」は「共用部分」のオマケではないが、いま管理組合の視野に十分な位置を占めているのだろうか

マンション管理の仕組みで共用部分と専有部分が常にセットになっている理由は何か

 マンションが長寿命の建物であることぐらいは、誰でも知っている。だから、どんなマンションも壊される日が来るまで、何十年過ぎようと建てられた場所に劣化を重ねながら黙々と建ち続ける。

 長い年数に渡ってマンションがどういう経過をたどるのかも、およそのことなら今ではみんな知っている。10年経ったら、どこの様子がどう変わり、20年目でどんな変化が起こり、30年目には・・・といったことも、大抵の人がおよそのことを承知している。

 だから、マンション維持管理の中心となる建物劣化の予測の必要性は大抵の人の納得を得られることになる。長期修繕計画とか修繕積立金、一定期間ごとの大規模修繕工事なども、すべてこうした考え方が前提になっている。この考え方はマンション管理の中心的な位置を占めてきたし、その具体的な実現は管理組合の存在によって支えられる。

 今までもそうだったし、これからもそうだ。
                   ☆
 でも、この発想を管理組合の実情に照らし合わせると、何か足りないところがあるのではないか。

 それは、この考え方では感覚的なイメージが共用部分中心になっていて、専有部分については実感から考えてあまり明確に想定されていないように感じられるからだ。

 わかりきったことだが、分譲マンションのスペースは共用部分だけではない。すべての人は専有部分を買って区分所有者になる。共用部分は確かに存在するが、それはまず[専有部分がある]からだ。多額の金を投じて買う専有部分があるからこそ、商品としての分譲マンションが成り立ち、その中に「専有部分ではないところが共用部分」という名前で生まれるのだ。

でも共用部分と専有部分は持ち方の区別でしかない。建物の一体性という共通の基本条件を考えると切り離しようがないのだから

 だが、専有部分はそれだけで存在できるものではない。専有部分はそれ自体で単独に成り立つものではなく、一つの建物の中でつねに共用部分とつながって切り離せない形で存在しているからだ。

 専有部分とか共用部分という区別は「持ち主が誰か」という点からだけでとらえた権利的な区分に過ぎない。この区分以前の段階で、まず同一建物スペース利用の当事者としての共通関係が専有部分と共用部分の間にあるのだ。

 維持管理について、専有部分は区分所有者の個人レベルで、共用部分は管理組合の組織レベルで、それぞれに進めるという役割分担的な考え方もこうした状況が前提になっている。

 背景には、同じマンション全体の維持管理という役割分担に先立つ共通条件がある。各戸玄関ドアの内側の個人レベルの管理も、玄関エントランスやエレベーターなどを手がける組織レベルの管理と裏表になって支えあうからこそ、マンションの住みよさが確保されるのだ。

 いちいち言うこともないが、この考え方がマンション管理の仕組みの根っこにあるはずだ。共用部分あっての専有部分と、専有部分あっての共用部分とが一体の建物の中に共存するという考え方が管理組合という組織の存在理由となっている。

 ・・・などということを、今さら大まじめに並べたてることはない。今どき、そんなことは誰だって百も承知のはずだから。
                   ☆
 そう思ってきたのだが、あれっ・・・と思うことが時々ある。

 管理組合は自分の住戸の価値保全だけ考えていればいい、共用部分のことはすべて管理会社に任せておけばいいんだから・・などとこの前から見かけるようになった人がいるのを知ってやれやれと思ったからだ。

でも、共用部分が大事だといくら力説しても具体的にどこまで説明できるのか。管理規約末尾の別表第2だけで本当に大丈夫?

 昔から、そういうタイプの人は、いつも、いた。だが、時々だった。

 この頃は、違う。何しろ、週刊朝日までが、巻頭特集に堂々と「マンション富豪になる」などと見出しをつける時代なのだから。

 こうなると、マンションには専有部分と共用部分がある、などという理屈は棚に上げて、自分の住むマンションのどこととどこが共用部分なのかというリアルな事実確認を多くの人が具体的に確かめてみる必要性がかつてないほど大きいのではないか。

 たぶん大抵の人は、いざとなるとあやふやだろう。

 そう断言できる理由がある。

 管理規約に出てくる共用部分が実にあいまいで、具体的な手掛かりにはほど遠い書き方になっているからだ。

 このもどかしさをさかのぼって考えていくと、標準管理規約の大まかな定め方が浮かび上がってくる。

 標準管理規約(単棟型)の定め方を見ると、そこが、よくわかる。

 まず第8条に(共用部分の範囲)についての1行があり、それに対応するものが末尾の別表第2「共用部分の範囲」として示されている。別表とあるが、表ではない。単なる言葉の列記であって、「1 エントランスホール、廊下・・・/2 エレベーター設備、電気設備、給水設備・・・/3 管理事務室,管理用倉庫、清掃員控室・・」などが並んでいるだけだ。

 これ以外には、何もない。
                   ☆
 私のマンションの管理規約も似たような形になっているから、11階建て4棟600戸という大規模マンションで具体的な共用部分がどことどこなのかという点が管理規約では今もわからない。
                   ☆
 共用部分が具体的にどこをさすのかについての管理規約の見直しや議論があいまいなまま、もう何十年もにわたって放置され続けているような気がしてならない。

 共用部分は専有部分のオマケではないのだから。

| muraitadao | コラム | 12:07 | comments(0) | trackbacks(0) |









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