村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【44年の実感で「マンションの管理」を考える 32】45年間住んでくると エレベーターでマンションがわかるようになる。住んでいる人の様子も、管理組合のことも、管理会社のことも・・・

マンションのエレベータ―は「人は様々、十人十色」を永遠に実感し続ける空間ではないか

 マンションのエレベーターで、誰かと二人っきりになることがある。ほんの短い時間だが、誰かと密室の時間を共有することになる。

 45年間、住んできた11階。エレベーターに乗る時間はせいぜい1分足らずだから気になるほどの長さではないのだが、同じところに住む人間同士にとって、エレベーターは住み手としてお互いの顔を合わせる場所でもある。

 最上階に住んでいるから、途中階から乗り降りする人の顔ぶれで長年にわたる住み手の様子の一端もわかる。

 いつも見かける人と乗り合わせた後しばらくたって、エレベーターを降りてから「そう言えば、あの人、このごろ見かけないな」という感じで、会うことがなくなった人のことに気づく時もある。逆に、初めて見かけるようになった人の名前が気になって尋ねたりすることや、いつもと違う時間に乗り合わせて久しぶりに会った人もいるし、見慣れない人と一緒になることもたびたびある。

 10戸近い棟で4基あるエレベーターの一つを毎日のように利用してきた実感は、いつも、乗り合わせた人たちの記憶に重なる。

 その記憶は、「いろんな人がいる」という平凡だが、否定しようもない実感と確実につながっていく。
                   ☆
 エレベーターに乗って頭に浮かぶ「いろんな人がいる」という感想は、やがて「いろんな人がいた」という過去の追憶につながっていく。この頃は何かにつけて、マンションに住んできた長い年月を何となく思い起こすことが多い。

「十人十色」の意味が今までと違ってきた。「昨年の十人」は「今年の十人」と違うから「十色」の色合いが違う

 でも「いろんな人がいる」といっても、昨年の「いろんな人」は今年の「いろんな人」とは違う。「いろんな人」の顔ぶれは年とともに変わるのだから。

 いろんな人がいるから、十人十色になる。

 マンションは、まぎれもなく十人十色の世界。

 おまけに、いつも入れ替わる十人十色の世界。

 さらに、去年の十人と今年の十人が変わる世界。

 顔ぶれが変わらなくても、確実に、誰も齢をとる。齢を重ねれば、どうしても人の様子は変わる。

 会った人の様子が変わった分だけ、こちらも様子が変わっているはず。自分で気がつかなくても、たぶん自分の思っている以上に変わっているはず。

 去年の十人は今年の十人と違うし、今年の十人は来年の十人にはならない。
                   ☆
 以前は、「住まい」という言葉や住む人に何となく定型化、もっと言えば画一化されたイメージがあった。説明抜きで「マイホーム」という言葉が説明抜きで同じ光景を描き出せた時代があった。

 パパがいて、ママがいて、ボクがいて・・・というシーンで住宅業界のCMがつくれた。

 ハウスメーカーも、商品のイメージはそうした発想を前提としていたと思う。

 たぶん、そこはマンションも同じだっただろう。

 だから、いま600万戸を超えるマンションの大半にもそんなイメージでできた物件がかなりあるはずだ。

 DKとかDLKなどという言葉も集合住宅の歴史の中で生まれたのだから。

 マイホーム、終の棲家、核家族・・・。

 ある程度の年数がたったマンションでは、そういうイメージが重なる人とそんなことにはまったく無縁な人とが、いま隣り合わせて住んでいる。

 人には、それぞれに年齢相応の住居歴がある。マンションに住む人にも、それぞれ全く異なる住居歴がある。

 しかし、しばらく前まで、めったにそんなことを考えりしなかった。

 だが、この頃は違う。・・・
                   ☆
 エレベーターに乗った時、漠然とそう思うことが多くなってきた。

| muraitadao | コラム | 10:20 | comments(0) | trackbacks(0) |









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