村井忠夫のマンション管理ブログ

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【44年の実感で「マンションの管理」を考える 34】マンション管理組合の広報イメージはこれからも今のままで大丈夫なのか

新聞はもはや古臭い過去の情報源になり始めたのか・・・

 10月は新聞週間のある月だが、そんなことに気がついている人はもう激減しているのではないか。

 「新聞を読んだ」「新聞に出ていた」という言い方が、どことなく時代遅れめいた古臭い感じになってきたような気がする。

 マンションに住んでいると、毎朝ドアを開けてよその住戸の様子をちょっと見ただけで今どきの新聞購読者の激減ぶりがよくわかる。

 以前は壮観な感じがするほど大半の住戸ごとにずらりと朝刊が差し込まれていたのに、もうそんな光景はない。今では、新聞を差し込まれた住戸はほんの数戸しかない。毎月1回の古新聞回収日、玄関前に置かれた古新聞の束の数も僅かで、新聞の減り方が月ごとにはっきりしていく。

 午後4時過ぎのころエレベーターで乗り合わせた新聞配達員らしい人が持っている夕刊の束を見ても、もう本当に「小脇に挟んでいる」という程度の少なさだ。

 たまに乗る電車の車内風景でも、新聞を広げている人はもう見かけなくなった。座席の人も吊革の人も、ただ、もうスマホばかり。

 かく言うわが身も、以前とは違ってきた。

 何かを知ろうとする時、以前なら「新聞に出ているだろうか」とか「新聞はどう書いているか」と反射的に考えたものだが、今では、もうそんなこともなくなった。

 机に向かっているときはつけっぱなしのラジオが聞こえてくるし、リビングに行けば四六時中テレビがついている。

 新聞をあらためて読み直すことは、もう滅多にない。

 結局、新聞は2紙を1時間から1時間半ぐらいかけて全紙面の半分ぐらいを読む程度で終わる。一度、目を通した新聞をまた読み直して確かめることはまったくない。

 10年以上前までは、毎日のスクラップが一仕事だった。切り抜きの整理がまた一苦労だったし半年ごとの整理も厄介だった。

 でも、座り込んで独自に分類したスクラップを今の目で見直していくと、新聞が伝えようとしてきたことが情報の流れとなって見えてくる。

 そうしたプロセスで読み取れた情報の意味は、想像以上に大きかった。

 その実感は、今月で87歳になったこの身体に間違いなく染みついている。一方で、古臭さの実感もあるのだが・・・。

 あれこれ考えるにつけ、新聞は古臭くなってきたとはいえ、まだまだ手離せない情報源だという気がしてくる。

新聞を読むたびに天下り役人だった昔の上役をふと思い出すことが多いのはどうしてだろうか

 だが、一方で、もう一つの実感が湧いてくるのも否定できない。言葉で説明することが難しいのだが、あえて書くと次のようになりそうだ。

 大抵の場合、読むことの一つ一つが「確かにそうだ」と思わせるような理屈がきちんと成り立っているし、読者の実感と照らし合わせても間違ってはいない。

 しかし、書かれていることを読んでいるこちらが直面しているリアルなケースのあれこれに当てはめてみると「では、どうしたらいいのか」という具体的なことは何も見えてこない。書いてあることは確かに「わかる」のだが、「わかったからやれる」とは限らない。わかっても目の前のことをどうにかするために「何をやれるか」という点につながらないのだ。

 このもどかしさは、ずいぶん昔、住宅金融公庫で多くの人に向かい合っていたころ天下りの上役が口にしていた言葉のあれこれを思い出させる。こちらが来る日も来る日も向かい合っているのはまさに応用問題だから、答の出し方はその都度違う。でも、短い時間で何とかしてその答えを見つけなければならなかった。

 その難しさが、いつも苦労のタネだった。

 天下りの上役がそう言うときにわかった顔で並べる理屈は、どんな場合にも通用するものばかりだった。確かにそうなのだが、「では、こういうときはどうするか」という肝心かなめのことになると、もう何も言わない。

 知識としての理屈が、問題に直面した人間の求める個別条件のレベルでは効果を発揮する有効な情報とならない無力感があった。理屈で固まった総論が個別ケースに対応できる応用問題を解く鍵にならないのだ。
                   ☆
 このもどかしさに似た感じが、新聞にあるといったら言い過ぎだろうか。毎月の購読料4000円ぐらいを払って付き合ってきたのに・・と思うのだが。

マンション管理の盲点・広報が新聞を事実上のよりどころとしてきた状況は今も・・

 マンション管理では、今も相変わらず広報が盲点のまま残されている。

 大勢の人が居住条件を共有しながら住むマンションで望ましいレベルの管理を確保するための情報発信は欠かせないから広報は間違いなく管理組合の組織維持を左右する基本条件の一つなのだが、管理組合向けに有効な広報活動のための情報が送り出された試しがない。

 だから、法律論に熱をあげる人ばかりで広報を語る人は滅多にいない。

 そんな状態だから、何かを知らせる必要にいつも迫られ続けている管理組合は、有効な情報が何もないまま、自分たちの知恵で何とかしなければならなくなる。

 しかし、管理組合は組織運営の素人集団だから、何とかしなければとは思っても、具体的な取り組み方がわからない。

 そこで、大抵の管理組合はなけなしの知恵を傾けて、おぼつかない感覚の広報を進めようとする。

 こう言うときに、情報発信に不慣れな管理組合が《知らせ方の目安》として考えるのが、新聞である。

 しかし、実は、そういうふうに思っているのは年配層の管理組合役員だけであって、知らされる方の立場ではもう新聞を読んでいない人が大半なのだ。

 「知らせる」立場と「知らされる立場」の間に、こういうギャップが生まれているのだが、そのギャップはそれほど気づかれていないことが多い。

 そこで、どうなるか。

 知らせ方に慣れていない管理組合が、不慣れなまま「これなら大抵の人に知らせられるはず」と考えて発行する広報は新聞スタイルになる。

 しかし、イメージのモデルに想定される新聞は、今もそれほどのものになってはいない。情報発信側は経験もないまま費用と時間とエネルギーを傾けて何かを知らせようとするのに、肝心の居住者、区分所有者には有効に情報が届く見込みが極めて薄いという状態が生まれる。

 こんな状態が生まれる理由の一つは、今もなお新聞が《何かを知らせる》情報の有効手段として想定されているからではあるまいか。

| muraitadao | コラム | 09:47 | comments(0) | trackbacks(0) |









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