村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【あらためて「マンション管理の常識」を見直すと・・・ 1】年が変わっても昔からの常識は今までと同じように通用するのだろうか

お住まいは戸建てですか、それとも・・・と聞いて大ざっぱに話が展開したものだが・・・

 この頃はあまり顔を出さなくなったが、年が変わるこの時季は何かと集まりで初対面の人と会話をする機会が多い。

 初めて会ったばかりの人と向き合うとあまり共通の話題がないが、幸いにして住宅やマンションの関係の集まりの場合であれば《お住まいはどちらですか》と聞くと、そこそこに会話のきっかけがつかめる。

 地名を聞けば、ごく自然な形で住宅やマンションに話題を持っていけるからだ。

 「お住まいは・・・」と問いかけると大抵の人は大ざっぱに地名をあげて「○○です」と答えるから、その地名でおよその見当がつく。これで話のきっかけができれば「あ、なるほど」とか何とか意味不明の相槌を打ちながら《戸建てですか、それともマンションですか》と聞いて会話のイメージを絞っていくことができる。

 でも、このやりとりができたのは、戸建てとマンションという住宅スタイルの対比で誰にも共通するイメージがあったからだ。

 以前は住宅双六といったイメージがあって、上りは「庭付き一戸建て住宅」だった。この語り方にはマンションにも戸建て住宅にも定型化されたイメージがあったものだ。

 だが、この頃は、ちょっと違う。

 向かいあってやり取りしている同士が頭の中で考えている戸建てとマンションのイメージが必ずしも同じようなものとは限らない場合が多くなってきたからだ。

 特に、マンションは規模の大小、経過年数の新旧を考えると、もはや単純な言い方ができなくなったと思う。

言わず語らずのうちに新築か中古かを探る微妙な展開が自分の住まいの光景を決める・・・

 戸建てかマンションかの区別に話が展開すると、その先が微妙な展開になる。新築か中古かの違いがあるからだ。集合住宅でも一戸建て住宅でも、今や新築か中古かの違いでそこから先の話の進み方が微妙に違ってくることになる。

 マンションの場合は、物件の場所や建築時期で、ここから先の展開がさらに細かく決まってくる。戸数や階数がはっきりすると、もっと話の展開が大きく変わる。場合によっては、管理の様子や建て替えなどにまで話が及ぶ。

 そうした会話の展開は、対話の相手が分譲マンションに持っている関心の度合いによってかなり違う。戸建てにはないマンション特有の生活感覚をどの程度に持ち合わせているかによって、それまでの《どうでもいい》といった取り留めのなさが現実的な共鳴感に絞られていく予感を帯びてくるからだ。

 マンションのイメージに共有できる見込みがありそうだと思わせる感じになると、話の展開によっては、お互いの持っている《住宅への関わり方》も分かってくる。いま住んでいるのが持ち家か借家か、今のところには何年ぐらい住んでいるのか、今の住まいにこれからも永住するのか、それとも・・・といったことにまで話が及ぶことだってある。

 こんな会話を重ねるほどになると、初対面だった相手との距離がぐっと近くなってくる。会ったばかりの人への親近感が生まれてくるという思いがけなさが、こうした会合への期待を大きくする。
                   ☆
 住まいへの関わり方、とりわけマンションなのか戸建て住宅なのかによって対話の展開は一変するのは、当事者としての関わり方が感覚的にまるで違うからだ。住んでいる当事者としての関わり方という意味では、マンションと戸建て住宅との形態的な違いに加えて、住んできた居住年数の長さも大きく関係する。

 新築か中古かという物件条件は、実は、生活感覚の深さや幅の広さを浮かび上がらせる指標にもなるからだ。

 新築か中古かを意識しながら住まいをどんな言葉で語るかによって、暮らしてきた年数の長さがきわめて自然な形で浮き彫りになってくる。

 特に、壁や床を隔てただけの至近距離で多くの人と生活空間を共有するマンションでは、そういう感じになる。

 例えば、年末年始のマンションのゴミ置き場を考えてみるだけでいい。

 《人が生きていく》というのは、実は《ごみを生みだしながら生きていく》という意味にほかならない。それほど住まいにごみの問題は表裏一体なのに、建前やルール、仕組みの上では、具体的なことが何も示されていない。

 標準管理規約の別表の中に「ごみ集積所」という言葉が出てくる一例を除けば。

「自分の言葉で自分の住まいをどのくらいまで語れるか」―この問いかけの常識感覚が難しくない人はどのくらいいるだろうか

 「住む」ことは「生活する」ことに裏付けられなかったら、意味を失う。住んできた年数の長さは生活してきた年月の長さで支えられてこそ意味を持つ。さらに、もともとは個人レベルの意味だけだった「住む」という言葉に、生活展開の背景となる居住環境というバックグラウンドの意味を重ねると、それなりの広がりを持つエリアの変遷が経過年数によって一場面のシーンとなって、えも言われぬ現実感を持ち始める。
 ・・・・
 自分の住まいが過ごしてきた年数は、そこに生きてきた人間の物語でもある。物語の展開はどんな場所に住んできたかというステージによっても大きく異なる。

 自分の住まいを、どんな言葉で、どう語るか。

 簡単ではない難しさがあるが、時間をかけながら、答探しをしなければなるまい。

 《当り前》の一語でわかっているつもりだった常識を、あらためて見直したい気持ちが、今さらにして強くなってきた。

 齢甲斐もなく・・・。

| muraitadao | コラム | 06:11 | comments(0) | trackbacks(0) |









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