村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【あらためて「マンション管理の常識」を見直すと・・・ 2】45年目の実感:管理組合のわかり方はマンション管理実務への関心次第で決まる!

「お住まいのマンションは何戸ですか」「名前と顔がわかる人は何人ぐらいですか」と聞かれてすぐ答えられる人は・・・

 同じマンションに45年も住み続けていれば、居住年月の記憶に管理組合組織との関わりの記憶が重なるのも当然だろう。

 もっとも、これは目の前の事態から目をそらすことができない人間の話かもしれない。人は様々だから、全然そんなことがない人もいるだろう。

 いや、むしろ、そっちの方が多いのではないか。

 同じマンションに住んで同じ年月の間に同じようなことを見てきたのに、そんなことどこ吹く風・・・という人は、確かにいる。それも、一人や二人ではない。どこ吹く風ではあっても、けっこう社会的な地位の高いその辺とは違う人もいるのだが・・・。

 同じマンションに住んできた人の顔ぶれを思い出すと、竣工後10年ぐらいまでは高級官僚もいたし、大学教授もいた。一部上場大企業の幹部もいたし、劇作家もいた。大メディアの人も、ハイレベルの作曲家もいた。

 みんな、いつとはなしに顔も見なくなってしまったが・・・。

 マンション住ま45年の記憶は、こんな人たちと顔を合わせてきた年月の記憶であり、いつとはなしに顔を合わせなくなってしまった年月の記憶でもある。玄関やエレベーターで出会った時に何気なくとりとめもない言葉を交わしてきた記憶の積み重ねかもしれない。

 しかし、こんな人たちとの交流の記憶が、管理組合と関わってきた記憶に重なることはまったくない。こうした人たちの記憶に管理組合との関わりは、40年以上に渡って、いつも無関係だった。

 同じマンションに住んでいても、年齢や仕事、生い立ちなどはみんな違う。人づきあいに関わる感覚も、性格に応じてかなり違う。加えて、最近は名前さえ出したがらない人が多いから、顔に見覚えがあっても誰だかわからないままの人もいる。何年も前から「○階の○○号あたりの人」といった見極め方しかできない人もいる。

 実感から言えば、そんな人たちが確実に増えている。

 決して名乗らないからどこの誰だかわからないものの、玄関などで見かけるあの不愛想な人は何号室の人だろうとか、何かにつけて見当違いのクレームを持ち込むのに名前がわからないといった人がめっきり目立つようになった。

 何かとこちらの生活感に影を落とす人が壁や床を隔てただけの至近距離のところに住んでいるのに、名前がわからないという不可解さやもどかしさは、もしかすると長期滞在型のホテル住まいと似ているのではあるまいか。

 人は「親を選べない」というのと全く同じ重さで「隣人を選べない」という固い実感がいつの間にか生まれていた。

 こうした環境であれば、マンションだの管理組合だのという言葉など、この人たちには思いも及ぶまいと思うようになる。

 黒塗りの車で送り迎えのあの人物は、自分の住戸以外のことなどほとんど関心を持ったこともないのではあるまいか。
                   ☆
 この実感には、エレベーターで始めて乗り合わせた人に会った時の感じとどこかで通じるものがある。最上階に住んでいるので、1階に着くまで1分足らずのわずかな時間でも、途中階から乗ってくる人の顔ぶれが自然となじみ深くなる。「今日、○階で乗ってきたあの人は、もしかすると昨年の秋に越してきた人だろうか…。あれは、ちょうど3回目の大規模修繕工事が終わった直後だったが…」などと、とりとめない感想がしばらく続く。
                   ☆
 でも、そういう人はマンションの管理組合のことまで確かめて買ったとは、正直なところ考えにくい。チラシの物件概要に出ている管理費や修繕積立金ぐらいは見ているかもしれないが・・。
                   ☆
 このマンションでは役員が当番階方式で決まるルールになっているから、中古マンションとして引っ越していたばかりの人と管理組合の役員会などで一緒になることがある。やり取りを重ねているうちにその人が「このごろ越してきたばかりで、管理組合のことはあまりよくわかりませんので…」などというのを聞いて、「あ、そうか、やっぱりな…」と思ったことが何度もある。

建築後年数が経ったマンションほど 自分の住むマンションの過去がわかりにくくなっていく

 実感で言うと、どこであろうと古くなったマンションでは竣工以来の居住者が確実に減っているはずだ。そうなれば、自分が住んでいるマンションの過去を知る人は間違いなく減っていきつつあるはずだ。

 竣工したあと、いつごろ管理組合が生まれて実質的に動き始めたのだろうかであろうと…。こんな疑問がわいた時「法律の考え方では区分所有者が複数いれば、そのマンションには管理組合が存在していると見なすものだ」などという理屈は全く役に立たない。

 管理組合では誰にもわからないことがあっても管理会社なら知っているはずだなどと訳知り顔で言う人がいても、その管理会社が倒産したり、企業統合などで一変したりしていることも、もう珍しくない。そんなことがなくても、古い時期のことは担当者だった社員が定年退職でいないなという話はザラにある。

 もう、やめておこう。キリがない。
                   ☆
 どんなマンションでも、竣工してから重ねられてきた管理の年月は、こうしてわからないことばかりになっていく。

 どれほどリッチでデラックスであろうと、マンション住まいは大きな建物の一角で暮らすことに変わりがない。そこに気がつかない人は、自分の住戸が位置している建物の全貌についての無知さに自覚がないまま、あたかも自分の住戸だけがぽかりと空中に浮かんでいるかのような錯覚にとらわれている…。
                   ☆
 どこのマンションにも、それぞれ固有の歴史がある。だが、今のマンション管理のシステムには、そういった人間感覚に対応できる仕組みがない。

 辛うじて自分の必要に迫られながら見つけてきたことも、だんだんおぼろげに消え失せ始めている。
                   ☆
 自分の住むマンションのことも知らないのに、物事を決める仕組みではそこにまったく関係なく意思表示できる…。

 おかしくはないか。

| muraitadao | コラム | 08:04 | comments(0) | trackbacks(0) |









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