村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【あらためて「マンション管理の常識」を見直すと・・・】一戸建て住宅との違いをわかった上でマンションを語るジャーナリズムは今までにあったか?そして これからは・・・

マンション管理専門紙の草分けの頃から書いてきた原稿が終わって次から次へ思い出すことは・・・

 「マンションタイムズ」というマンション管理専門紙に連載していた最終回の原稿を送って、一息ついた。最終回のナンバーは209回だった。

 何度か休んだこともあったが、17年あまり書いてきたことになる。掲載紙の名前も、最初は「マンション管理研修情報」というあか抜けしないものだった。

 この専門紙を創業した佐藤量一さんとの縁で、初期からのボランテイア寄稿者だった。

 そんなこともあって、彼はいつも年末になると故郷青森のワカサギの佃煮を必ず送ってくれた。これが年の暮れの楽しみだった。

 高度経済成長期のころマイホームコースという双六まがいのイメージがあり、一戸建て住宅にゴールインするまでの途中にマンションがあるが、いずれはここを抜けだしてこそ一人前・・というのが世間の常識だった。

 マンションなんて、いつまでも住んでいるところじゃないと誰もが考えていた時代だった。

 そんな時期に生まれた数少ないマンション管理専門紙の一つが、のちに「マンションタイムズ」と改名する「マンション管理研修情報」だった。

 世が世ならマンションなんて・・という時代に、早くも佐藤量一さんは専門紙の送り出し手となっていた。

 あらためて、マンションを説明抜きで語れた数少ない一人だったと思う。

 そんなころに書き始めたのが「マンション管理研修情報」の連載だった。正直にいって、最初の頃はせいぜい1年ぐらいもてば・・と思っていたが、そうならなかった。

 1年たっても2年たっても、そうならなかった。・・・・・

 マンションは着実に増え続けて、国会で語られるような時期がやってきた。

 原稿の位置づけも、もうボランテイアではなくなり、それなりの原稿料をくれるようになった。

 その後、もう年末の楽しみだった青森のワカサギはもうこなくなったが・・・。

 でも、でも、連載原稿は相変わらず書き続けていたし、時々急にやってきて会うこともあった。

  先年、そんな佐藤量一さんは、外出先で突然亡くなった。

  言葉もなかった・・・・・。

 そんないきさつで書いてきたマンション管理関連の連載も、これで一区切りついた。たぶんマンション管理だけに焦点を絞って連載原稿を書く機会は、もうないだろう。

マンション専門のジャーナリズムなんて、今だってあるかどうか。ましてマンション管理専門ジャーナリズムなど・・

 思えば、市販の新聞や雑誌に原稿を書くようになってから久しい。

 最初のころ、原稿執筆者として「○○評論家」などと書かれるのが、嫌で仕方がなかった。でも、この頃、すでに「住宅評論家」というクレジットで活動していた人は何人もいた。

 その一人から「もうそろそろ住宅評論家と自分で名乗ってもいいんじゃない?」と言われたことがある。

 それで、腹をくくった。不動産ジャーナリスト会議のメンバーにもなった。発足したばかりのマンション学会にも入った。87歳のいま発言している基盤が揃ったのはこのころからだった。

 もう30年をはるかに超える昔だが、胸の底には、いつも屈折した思いがあった。

 ・・・マンション専門のジャーナリストなんかいない。まして、マンション管理ジャーナリストなんているはずがない。・・・

やがてマンションが増え「買った後のマンション」を気にする人が増えてくると「マンション管理」という聞き慣れない言葉を聞くようになったものの・・・

 「マンションは広い意味での住宅の中の一項目に過ぎない。マンションは一戸建て住宅イメージの延長線上にあるものなのだから・・・」と誰もが考えていた時代だった。

 そんな時代、どうしても住宅評論家は一戸建て中心の活動になるから、住宅ローンの実務を取り上げる人は少なかった。

 そうでなければ、都市問題とか地域開発が中心の天下国家を論じる感じだった。日本列島改造論がどうだとか、ニュータウンがどうだとか・・・。そんなことが主流のテーマだった。

 そうした時代は、いつも長々とした議論があってもしばらくすると「理屈はわかるが、そう言っても土地がねぇ・・」というため息交じりのつぶやきが出るのが常だった。

 何しろ土地価格がこんなに高いのだから立体的な土地活用を考えるしかないという発想が広がった。そんな雰囲気の中で、昭和40年代前半にマンションという言葉が生まれた。

 マンションというのは、しかし、最初は商品名だった。

 発足後20年目だった住宅金融公庫がマンションを融資対象にした頃も、全国各地で生まれた住宅公社が住宅公団といっしょにニュータウンづくりに乗り出したときも、まだ正式用語として認知されていなかった「マンション」は使わないようにと周到に遠ざけられて、「分譲住宅」の名称で供給された・・・。

「ドアの中」の室内中心の時代感覚は「ドアの外」への無関心を生んだ。一戸建て住宅そっくりそのまま感がマンションのイメージを支えた時代だった

 この記憶とともに浮かんでくるのは、集合住宅であるマンションを一戸建て住宅に何とかして似たものに見せかけようとしたことである。

 芝生の庭こそないが、満員電車にもまれてウチに帰っても、わが家のドアを開けて一息つけば、もう一戸建て住宅もマンションも同じではないかという感じだ。

 この感じに『土地価格の高騰や都市への人口集中といった事態をどうにかする決め手は一戸建て住宅へのこだわりを捨てることだ。だから、これからの住宅は上に伸ばして高層化するのが一番だ』という呼びかけが重なった。

 この流れの背景に《一戸建て住宅の代替機能を担うもの》としてマンションが描かれていた。いわば、一戸建て住宅そっくりなイメージづくりに支えられてマンションが登場したことになる。

 こうした感覚づくりの工夫は室内の作り方で集中的に行われた。こうして、ドアの中はもう一戸建て住宅もマンションも変わらないという感じが全国に広がっていった。
                   ☆
 今にして思えば、大きな建物の一角に住みながら玄関ドアの外に広がる共用部分をほとんど視野に入れない発想の産物だった。

 集合住宅も一戸建て住宅も同じという居住実感は、言い換えれば、共用部分を抜きにした生活感覚である。
                   ☆
  この経過が、いまのマンション管理の実情に様々な影を落とすことなった。現在も続くマンション管理の実情は、こうしたいきさつが生みだしたものだった。

 マンション管理を語る専門ジャーナリズムの様子との関わりについても、感想は尽きない。

| muraitadao | コラム | 14:05 | comments(0) | trackbacks(0) |









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