村井忠夫のマンション管理ブログ

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【マンションに住む実感を確かめるノート】マンションに入居した年の秋の記憶には「岸辺のアルバム」が重なる〜地元感覚はまだまだ未成熟だったな、あのころは〜

マンションに住み始めて半年。9月の日曜日、11階の住まいは地震でもないのにぐらぐらと何度も揺れて・・・
 4月も終わりになる。

 今月でこのマンションの居住年数がまた1年長くなる。

 住み始めた最初の年の9月1日。二百十日の言い伝え通り、台風が襲来した。

 だが、たった半年しか過ぎていない秋だったから、住んでいる町の様子もまだ知らないところの方が多くて、台風がどのくらいのエリアに影響をもたらしたのかまだピンと来ない状態だった。

 でも、住んでいるところから歩いても行ける近くに多摩川が流れていることは承知していた。その多摩川が大水になった。

 記録的な大水だったらしい。

 だが、居住歴が半年そこそこの新住民にはまだその大きさにとても実感がなかった。

 ずっと後になって、TBSで「岸辺のアルバム」(山田太一作)という連続テレビドラマをみた。多摩川の大水で住宅が流されるシーンが毎回トップに出るこの作品は後にテレビドラマ史上の歴史に残る作品とまで評価されるようになったので、今でもときどき一シーンを見る機会があるが、ドラマの舞台となった場所はこのマンションからそれほど遠くはない。ベランダから見ても見当がつくほどの同じエリアだから、およその光景はわかる。
                   ☆
 台風襲来の翌日は土曜日で、台風一過の秋晴れだった。でもどことなく物々しい雰囲気があった。

 多摩川が大水でとうとう堤防爆破という手が打たれそうだ、というローカルニュースを聞いた。昼が近くなったころ、たびたびダイナマイト爆破となった。詳しい状況が何もわからないままドーンという爆破音が何度も繰り返されて、そのたびにこのマンションの11階がゆらゆらと大きく揺れた。

 このときの揺れの記憶は今も鮮明に残っている。

 11階の居住経験そのものが初めてだったせいもあって、このときの揺れ方の記憶は、その後の地震のたびによみがえってくる。何年たってもこの記憶が消えていないことを実感する。こういう感覚的な経験は理屈を超えた形で身体に染みついたまま残るものらしい。

 地震があるたびに、その記憶を確かめている感じがする。

 東日本大震災の時も、そうだった。

住み始めてからの10年ぐらいの記憶は今も鮮明だが、年ごとに通じにくくなるばかり

 しかし、そうは言っても、この時の記憶を語ることは年ごとに難しくなってきた。当然のことだが、住んでいる人の顔ぶれが年ごとに変わり、竣工時から住んできた人はもう僅かになった。話が通じにくくなる一方となるばかり。

 でも、当たり前だ。もう45年も昔のことなのだから。

 あの頃、まだ生まれていなかったような世代の人にいくら力み返って話してみても、一人よがりになるばかりだ。

 年甲斐もないし、みっともない。

 恥ずかしくもある。

 たまに、竣工してからずっと住み続けてきた人に会っても、45年前の話になると向こうもすっかり忘れてしまっているのが普通になってきた。

 考えてみれば、ちょっと前まで健在だったマンションの分譲会社や管理会社も、もう存在しない。個人レベルでその頃のことを記憶している人も、そのうちいなくなるだろう。

 だが、一方では、こうした記憶や感慨が残されていかなければマンションがマンションとして建ち続けるのが難しくなりそうな気もする。 
                   ☆
 おさまりがつきにくいこだわりだ。

| muraitadao | コラム | 11:24 | comments(0) | trackbacks(0) |









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