村井忠夫のマンション管理ブログ

村井忠夫のマンション管理ブログ
【マンションに住む実感を確かめるノートぁ曠泪鵐轡腑鵑わかる人はまだ少ないと実感した時期に最初の大規模修繕工事が・・〜マンションはまだ公式名でなかったが劣化は確実に進んでいた〜

「マンション」は一戸ずつ買える集合住宅の商品名だった。昔のガソリンのように

 竣工してからの10数年は、あっという間に過ぎた。1974年(昭和49年)からの時期だから、昭和年代末期ということになる。

 マンションという言葉の通じ方が、とても中途半端な時期だったと思う。

 民間住宅ローンはまだ未成熟だったから、住宅金融公庫融資の存在感が圧倒的に大きかった。その公庫融資はもともと一戸建て住宅中心の仕組みだったが、地価が高くておいそれと手が出せない人でも集合住宅なら何とかなるという状態を無視できなくなって、政策的にとうとうマンションを融資対象とせざるを得なくなった。

 だから、最初のうちは「まあ、条件さえ揃えば一戸建て住宅用の融資がマンションにも使えるんだよ・・」という感じの仕組みだった。

 この時代は、とにもかくにも住宅といえば、まず一戸建てという感覚が主流の時代だったとあらためて思う。

 会合などで初対面の人に会って共通の話題がなくても、名刺交換などそこそこの挨拶をすませたあと「お住まいはどちらですか」ときり出せばひとしきりの会話ができたから、住まいはいつも絶好の話のタネになった。

 およその場所を聞いた後「あのへんだったら戸建てが多いですね」などと話の流れを向ける。そんな時「いやいや実はマンションなんです」などという人だったら、けっこう話がはずんだものだ。

本音は一戸建て・・。そのうち、いつかは・・と思いながら住む人には管理なんてピンと来なかった時代

 マンションがようやく公庫融資の対象になったとは言っても、まあ、普通の都市生活感覚から言えば、マンションはまだまだ・・の時代だった。住宅金融公庫とか建設省といった政策分野はまだまだ漢字の法律感覚中心の世界だったし、マンションに公的住宅ローンが使えると言っても、それはと東京と大阪を中心の一部地域だけでしか通用しない話だった。

 何百戸もある大規模マンションの一角に住んでいるうちにいろんな人とも付き合いができたが、誰も彼も、やたらに忙しくてマンションは夜更けに疲れて帰るねぐらに似た感じだった気がする。

 マンションという言葉が説明抜きで通用する人が居住者の大半だったから、それなりに理屈っぽさのある人が多かった。知っている人は知っている・・という職業や社会的な知名度のある人もいた。

 黒塗りの自動車が迎えに来ているのに気づいて驚いたこともある。

 いろんな人がいた。
 ・・・・
 後から少しずつわかってきたのだが、多くの人が腹の中で黙ったまま考えていた。

「マンションはずっと住む所じゃない。そのうち、機会さえあれば、越して出ていきたい。○○さんもこのごろ引っ越していったし、あの□□さんも、いつの間にか転出したらしい・・」

 気がついてみると、黒塗りの自動車も見かけなくなっていた。

中途半端な居住感覚のまま10年が過ぎてある日「大規模修繕工事」という話が突然持ち上がった。でも いったいうどうしたらいいのか・・・

 もともと、マンションは。集合住宅が高額商品として市場に出る状況が生んだ商品名の一つだった。商品化された集合住宅が売りだされた初期の時代は、○○ハイツだの□□レジデンスだのという名前をよく見かけたものだった。

 マンションは都市部の居住者はサラリーマンの住まいというイメージだった。本来なら一戸建てだったはずの代替イメージがマンションライフの実質的な中心だったから、「マイホーム」が実は集合住宅の一部分だっだという実感はあまりなかった。

 むしろ、ドアの内側は集合住宅も一戸建て住宅も同じ・・という感覚が、売り手にも買い手にも共通していたという時代だった。

 中途半端な居住感覚だったと言うべきだろう。

 マンションが集合住宅であるという実態を積極的に認めたがらない居住感覚だったのだから、マンション管理という意識も視点も成り立ちようがなかった。
                   ☆
 そんな中で、ある日、突然「マンションはできてから10年を過ぎたら大規模修繕工事とかいうのをやらなければならないなそうだよ」という話が持ち上がった。

 でも、管理組合の総会さえひらいたことがなかった状態でそんな話が出ても何一つわからない。
                   ☆
 マンション管理という未知不可解な世界に入りこんでしまう日が、こうして始まった。

| muraitadao | コラム | 12:18 | comments(0) | trackbacks(0) |









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